【白龍 純米大吟醸 越後育ち】(はくりゅう)
コク旨クラシカル辛口
このお酒、スーパーで似たようなラベルのシリーズがいくつか売ってます。前に飲んだ「加賀纏」も同じシリーズですね。どうやら、三菱食品のPB(プライベートブランド)のようです。多分三菱食品の流通力でスーパーに入ってるんでしょう。大企業強し。
まあともあれ、飲んでいきます。
香りは、穀物+蜂蜜+土の感じの甘旨さ。
口に含むと、乳酸の酸味と、穀物感と木質感の深いコク。なんとなく熟成感に近いものもあります。爽やかさやフルーティーとは対極にある、どっしりした旨味。ラベルには端麗辛口と書いてありますが、淡麗というより、しっかり旨口と言った方がしっくりきますね。
アテには、塩辛なんかが合いそうです。"へしこ"なんかもいいなあ。濃い塩味のものをほんの少しずつ口に入れ、お酒をオーソドックスな蛇の目猪口からくいっと。それをちびちびだらだら。そんな飲み方をしたいお酒です。
黒龍は有名ですが、白龍は初めていただきました。ややこしいことに、白龍という銘柄はふたつあるんですよね。ひとつは今回いただいた、新潟・白龍酒造さんの白龍。もうひとつは福井・吉田酒造さんの白龍。両方、1800年代前半から続く老舗です。亀齢と信州亀齢はパッと見て見分けがつきますが、こちらは両方ただの白龍なので知らなきゃ見分けがつきませんね。こうなったら吉田酒造さんの白龍も飲んでみたい。
ちなみに、気になって特許情報プラットフォームで調べてみたら、「白龍」の商標を持ってるのは今回いただいた白龍酒造さんの方でした。びっくりしたのは、その出願日。なんと1910年。明治ですよ。さらに調べてみると、それ以前に出願された商標でまだ生きてるのは、たった147件だけでした。その中には、日本酒が結構入っています。例えば、亀齢(広島の方・1902年出願)、北の誉(同1903年)、竹鶴(1906)、三河武士(「二兎」の丸石醸造・1908)、千曲錦(1908)、仁勇(「不動」の鍋店・1909)など。おそらく全部で31件。実に5件にひとつは日本酒でした。当時、ブランドと言えば日本酒だったんですね。商標って面白いなあ。
閑話休題。
白龍をジブリで例えると「もののけ姫」のじいじ。冒頭のタタリ神襲来のシーンに登場する、見張り台にいる老人です。エミシの里にしっかり根付いている感じ。ちなみにこないだ飲んだ黒龍はアシタカに例えてますね。
白龍なので「千と千尋の神隠し」のハクにしたいところだったんですが、このどっしりさはやっぱり違いました。
満足度:★★★
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