【磐城壽 イーストトラベラー 伍 純米吟醸生】
酵母の旅 やさしい米甘 じわり旨
こないだアカガネを飲んだ磐城壽さん。今回は、イベリコ豚専門店さんで面白いお酒を見つけました。このお酒の名前、イーストトラベラーというのは東(east)ではなくてイースト菌(yeast)・つまり酵母の旅人です。
ちょっと解説が必要ですね。例によって前置きが長いです。
磐城壽を醸す鈴木酒造店さんは、元々福島県浪江町の海沿いにあったんです。でも、2011年の東日本大震災の際、津波で全てが流されてしまいました。その後、避難していた山形県長井市で、縁あって酒造りを再開。そして2020年、ついに浪江に戻ってきました。
そして運が良いことに、元の蔵から分離された酵母が福島ハイテクプラザに保存されていたんです。現在は、その保存されていた酵母を中心にお酒を醸されているそう。
でも、この酵母、前に使ってたものとは特性がちょっと違う。だから、元の酵母のルーツを探す旅に出ることにされました。
旅と言っても、もちろん実際に旅に出るわけではありません。元々の蔵付き酵母のルーツは、もしかしたらもう頒布していない協会1桁の酵母にあるかもしれないと推測。日本醸造協会に相談したら、保存していた酵母を出してもらえることになったんだとか!
というわけで、このイーストトラベラーは、既に頒布が終了している協会1,2,3,4,5,8号酵母を使ったシリーズです。ほんとは1号から飲み比べてみたかったんですが、出会えなかったんですよね。5号にしてやっと会えました。
5号酵母は、広島の賀茂鶴さんから分離された酵母。大正14年から昭和11年まで頒布されていました。もちろん、飲むのは初めてです。1号と8号は飲んだことあるんですけどね。
ちなみに、この前飲んだアカガネは、長井蔵で仕込まれた熟成酒でした。だから僕にとっては、この子が初めて飲む浪江のお酒です。それも感慨深い。
こういう、ストーリーのあるお酒は、語りたいことがたくさんありますね。
でも、いよいよ飲んでいきましょう。
香りは、おだやかなお米の旨さとほの甘さ。良い意味で純米っぽい
口当たりは、とろん。やさしいお米の甘味とほの旨味がふわん。からの旨じわん。うまん。
やさしいなあ。そしてじわじわ旨い。さわやかさもあるのに、どこか懐かしい感じもします。
これ、普通に冷酒でいただいたんですが、温度が上がっても美味しそう。常温くらいまでは全然大丈夫でしたし、燗にもしてみたい味わい。
スペックは、
造り:純米吟醸 生酒
原料米:浪江町産 コシヒカリ
精米歩合:55%
アルコール度数:15% ・・・ 普通
酵母:協会5号酵母
え、コシヒカリなんですね。飯米だと雑味が出やすい印象なんですが、全然そんなことありません。
ジブリで例えると「魔女の宅急便」のオキノさん。キキのお父さんです。とても優しいお父さん。
満足度:★★★★☆
#オキノ「いつの間に こんなに大きくなっちゃったんだろう…うまくいかなかったら帰ってきていいんだよ」#金曜ロードショー#魔女の宅急便#スタジオジブリ pic.twitter.com/o3FpgHbhVu
— アンク@金曜ロードショー公式 (@kinro_ntv) 2022年4月29日
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