【江戸開城 純米吟醸 原酒】
柑橘の 爽やかやさしい くっきり酸
はじめましてのお酒、東京都港区・(株)若松の江戸開城さんです。江戸開城というと、戦国時代最初期に無双の強さを誇った武将・太田道灌が江戸城を造ったことか、幕末の西郷隆盛・勝海舟らによる江戸城無血開城かどちらかですね。太田道灌の方は、その子孫の方が兵庫で太田酒造を営まれています。調べてみたら、こちらの江戸開城さんは幕末の方みたいですね。その歴史がめちゃくちゃ面白かった。
(株)若松さんは、江戸後期の1812年、若松屋として創業。元々は信州信濃で紙問屋をしていたのが一揆で打ちこわしにあって、その次男が江戸に流れてきて造り酒屋をはじめたんだそうです。
その後、若松屋は薩摩藩の御用商人となります。当時、若松屋には要人を接待するための奥座敷があって、その利用者には、西郷隆盛や坂本龍馬、幕末の三舟として知られる幕臣・勝海舟・山岡鉄舟・高橋泥舟の名も伝わっています。今でも若松屋には、彼らが飲み代の代わりに書き残していった書が残っているのだとか。そのことから、諸説あるものの、江戸城無血開城の交渉の舞台が若松屋だった可能性も大いにあるとのこと。うおおお! 幕末好きとしてはこれは熱い!
ところが明治42年(1911年)、蔵元の他界などにより、若松屋は酒造業を廃業してしまいます。その後は酒販店や飲食業・雑貨業をされていたそう。しかし、酒蔵復活の可能性は模索し続けており、平成23年(2011年)、創業から200年、酒造業廃業から100年を経て、酒造業の免許を取得し、ついに酒蔵として復活。拍手を送りたくなりますね。
現在は、鉄筋コンクリート4階建てのビルで、徹底した温度管理の下、都心唯一の酒蔵として酒造りをされています。
実は歴史については、これでもだいぶ端折っています。もっと詳しい情報は公式サイトに載っていますので、興味のあるかたはぜひ。
例によって前置きが長くなりましたが、今回のお酒・純米吟醸原酒を飲んでいきましょう。
香りは、ほのかな柑橘の酸が爽やか。
口当たりは、ほのピリ 酸ぽわん。グレープフルーツのような酸と控えめ甘。酸味はくっきりだけど、刺さってこないやさしい酸で、爽やかです。その後、甘味はふわっと広がるけど、旨味はほとんど出てきません。グレープフルーツの苦味が奥にほんのり。
酸特化型ですね。でも、春の日差しのような、やさしく爽やかな酸です。もしかして白麹?
アテは「大きい鶏軟骨塩焼き」。その名の通りの大きいコリコリ軟骨の旨塩味を、お酒の酸がきれいに切ってくれてさっぱり。美味しかった~。
ジブリで例えると「猫の恩返し」の主人公・ハル。のんびり&爽やかな女の子。
好き度:★★★★
猫の恩返しの猫状態のハルを見て世界が変わった人俺以外にもいるはず pic.twitter.com/gFuDqPb1w1
— 快軍態将アヘキジ イクザン (@midorin_Ivon) 2021年1月5日
【DATA】
蔵元:株式会社 若松(東京都港区芝)
造り:純米吟醸原酒
精米歩合:60%
アルコール度数:14% ・・・ 低め
製造年月:2022年12月
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