天賦＞クシャナ(風の谷のナウシカ)［ジブリ酒］

【天賦(てんぶ) 純米酒】

力強いかっちり酸旨辛口酒

半年ぶりの天賦さん。鹿児島県日置市・西酒造さんのお酒です。
西酒造さんは元々、芋焼酎「富乃宝山」「吉兆宝山」が有名な焼酎蔵さん。それが、2020年に突然日本酒製造に参入しました。しかも、日本酒造りにあたっては、大学の先輩である十四代・高木酒造の高木社長の技術指導を受けたというから大ニュース。デビューからいきなり美味しかったし、日本酒界隈ではけっこう話題になっていました。僕が特に好きなのは赤磐雄町で、2021年の美味しかったお酒Top10にも入っています。

今回は、純米酒。純米酒はなぜか300mlの小瓶しかないので、飲食店ではまず見かけないんですよね。今回は、出張ついでに寄った東京駅のはせがわ酒店さんで買ってきました。

それでは飲んでいきましょう。

上立ち香、米と穀物、旨アルぼん。これは力強い！

口当たり、するりほんのりクラシック酸。そこから一気に旨味がどんっ！鋭く硬い旨酸アル。
後味ほんのり酸を残し、きれいにすうっ溶けていきます。力強くてキレも良い。苦味は控えめ渋味はじわり。15度にしてはしっかりアルコール感があって、旨味とともに飲みごたえにつながっています。

これまで飲んだ天賦さんとはひと味違う、かっちり酸旨辛口酒。甘味は気配とやわらかさのなかに感じられるけど、味にはほとんどありません。味わいの方向性としてはあんまり得意じゃないんだけど、美味しいぞ、これ！

この感じは、燗にしても良さそう。久しぶりに温度計を出してきて、月桂冠 THE SHOTの空き瓶で湯煎します。酒質が丈夫そうだから、いきなり60℃まで上げて飛び切り燗でいただきます。
おお！！やっぱり燗が合いますね。旨味がまろやかになって、酸が鮮やかにほわあああ。特に好きだったのは、45℃上燗～50℃熱燗くらい。なめらかな旨味とやわらかい酸のバランスが気持ち良い。

アテに合わせたのは、ナス味噌パスタ。なんとなく味噌味のパスタが食べたくなって考えました。味噌に合わせるなら具材はナスかな。それなら豚肉も入れたい。とやってて、炒めてる最中に気付きました。これナスの味噌炒めやん！そりゃ美味しいよね。当然のようにお酒にもばっちり合います。
それと、鯵のなめろうもめっちゃ合いました。魚の美味しい生臭さを辛口のお酒がズバッと切って旨味がほわああああ。

ジブリで例えると「風の谷のナウシカ」のクシャナ。ナウシカの対極にいる、力強くて苛烈なお姫様です。甘さはほとんどなくて、芯から固く強い。でも兵士たちからは、絶大な信頼を得ているカリスマです。

クシャナって、この物語のもうひとりの主人公なんですよね。冒頭のタイトルバックのタペストリーでも上はナウシカだけど下側はクシャナを表すトルメキアの紋章だし、クシャナ(Cusianaa)とナウシカ(Nausicaa)のスペルもアナグラムになっています。映画版では十分に描かれていませんが、原作漫画版ではその魅力が10倍以上です。

好き度：★★★★