このブログは日本酒ブログです。でも、今回は日本酒は全く出てきません。
今日、長年疑問に思ってたことが解決したから、その興奮のまま、この記事を書いています。
アニメのエンディングって、なぜか走る/歩くやつ多いですよね。昔の作品だけでなく、今でも時々見かけます。そしてその多くが、左向きに走ってるんですよね。これ、なんで? ってずっと思ってたんです。その理由がやっとわかりました!
左は、前向き?
原則として、アニメの演出では、右→左の方向はポジティブで物事を進める方向、逆に左→右の方向はネガティブで物事を元に戻そうとする動きが表すことが多いそうです。
アニメで走る描写は、右に向かってると過去や失望などのネガティブな意味を表していたり、左に向かってると未来や希望などのポジティブな意味を表していたりするのが演出の基本なんだけど… pic.twitter.com/y0Xp4ycFAu
— シン・かわうそ (@bossakawauso) 2024年5月30日
だから、ポジティブな印象を残したいエンディングでは左向きに走ってるんですね。
この演出自体は、前に岡田斗司夫さんも解説されていて、知識としては知っていました。富野由悠季監督はこの演出をかなり意識していて、ガンダムでも基本的にこの演出方法なんだそうです。
でもこれ、すごく違和感があったんです。だって、
・横書きの基本は左→右
・グラフを書くときも原点は左で、左→右
・横スクロールゲームも左→右
ですよね。進化の方向だって普通は左→右で描かれます。
(素材はillustACさんより)
なのになんでアニメ演出では反対なの?
漫画も左が前向き
でも、漫画の場合も左向きがポジティブです。
し・・・知らんかった・・・
— KAKERU (@BARKAKERU) 2024年5月31日
ちなみに漫画でも、ページやコマの配置に沿うので、
「右から左に動くのは進行、進撃、スピード」
「左から右に動くのは逃走、帰還、敗北」を意味することが多いよ!!
ふかダンとかでもよくやってるよ!! https://t.co/YGoSR6CrPl
これは理由がはっきりしてるんですよね。ほとんどの漫画は右綴じで、右→左に読み進めるからです。だから進行方向が左向きになる。
縦書きor横書き
漫画が左向きの理由は簡単です。ほとんどの漫画は文字が縦書きだから。日本語の縦書きでは右→左に読み進めるから、縦書きの小説でも漫画でも右綴じで左に進むんですね。日本語の本でも横書きなら左綴じで右向きに読み進めます。めったに見かけませんが、漫画でも横書きのものは左綴じになります。僕が読んだ中では、手塚治虫先生の「ユニコ」が横書きでびっくりした記憶があります。アメコミのような海外のコミックは左綴じ右向きです。
日本のアニメは漫画の進化版だった!
ここでようやく、疑問への回答です。
日本のアニメは、ディズニーのように映画のバリエーションではなく、漫画がまず存在して、そこから進化したものなんです。だから、漫画の作法を引き継いだんですね。そういう理由で、ポジティブな印象を残したいエンディングではみんな左向きに走っているんです。
ちなみに上記のポストをされたシン・かわうそさんに教えていただいたんですが、左向きがポジティブなのは日本のアニメだけで、舞台演劇や映像作品では基本的に右向きがポジティブなんだそうです。
本来古くからある舞台演劇や映像作品における演出法は全て逆です
— シン・かわうそ (@bossakawauso) 2024年6月2日
日本のアニメに限って漫画の読み進める方向に合わせる形で逆にしてあるとの事
もちろんスタジオや作家によって考え方はそれぞれなので決まり事という訳はありませんが、アニプレックス系や京アニ等のメジャー作品で採用されています pic.twitter.com/0ehgf3q8vW
映画の演出でもやっぱりポジティブなのは右向きです。
スタジオや作家によって考え方はそれぞれとのことですし、今後、アニメのグローバル化が進むと日本のアニメの演出も右向きが進行方向になるかもしれませんね。
日本では古来左向きだった?
(2024.6.3追記)この件、一晩寝て起きたら、日本古来の文化で左向きなものを思いつきました。それが絵巻物。絵巻物も文字は縦書きだから当然ですが、右→左に向かって読み進めます。時系列も基本は右から左に流れます。このことから、日本では古来、時間の流れを右→左の方向でとらえていた可能性も出てきました。上記「映画のトメダ」の著者さんはポーランドで活躍されているとのことで、西洋の演出理論を解説されていますが、東洋と西洋の違いもありそうな気がしてきました。このあたり、詳しい方がいらっしゃったら教えていただけると助かります。
右向きに走るエンディングも
なお、僕が知っている中で、ひとつだけ右向きに走っているエンディングがあります。
それが「機動戦士Zガンダム」。よりにもよって、アニメの演出を熟知している 富野監督の作品ですよ。富野監督が逆向きなことに気付かないわけがない。ってことは、この方向にも意味があるはずです。
走っているのは、主人公・カミーユのガールフレンド・ファ=ユイリィ。最終回ではカミーユがあんなことになっちゃうわけですし、もしかしてファはポジティブに前を向いて走ってるんじゃなくて、後ろ向き? 状況を元に戻そうと過去の方向に向かって走ってる? そう思うと、上のサムネにも出ているカミーユのカットインで、カミーユがファと目線を合わせていないことも深い意味があるように思えてきます。この唐突なカットインにはずっと違和感があったんですが、このカミーユは既に、、、。さすが富野監督、ポジティブな歌に隠れてとんでもない演出をかましてた!?
というわけで、突発の特集でした。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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前に書いた、アニメ考察記事を貼っておきます。