【大七 純米生酛 生酒】
生酛コク やさしい旨味が やわらかく
お久しぶりの大七さん。福島県二本松市・大七酒造さんのお酒です。
僕の中での大七酒造さんのイメージは、福島のイメージとは真逆のクラシックで、凄い技術を持ったお蔵さん。それを最も表しているのが、生酛と超扁平精米です。
大七さんと言えば生酛というイメージがあるくらい生酛造りにはこだわられていて、杜氏の佐藤孝信さんは生酛造りの全国第一人者とも言われる方。卓越した技能者が表彰される「現代の名工」にも選ばれている方です。
そして大七さん、生酛造りの純米酒で全国新酒鑑評会の金賞を2度も獲っています。これ、ほんと凄いこと!! よく誤解されているんですが、全国新酒鑑評会は酒造りの技術を競う鑑評会。美味しさではなくて求める品質に近いものが金賞に選ばれます。その多くはきれいな吟醸酒。純米で、しかも生酛で金賞を取れるなんて驚くべきことです。
そしてもうひとつの特徴が、超扁平精米。従来のお米を丸く削る球形精米とは違い、お米を平らに削る方法です。そうすることで、お米をあまり削らなくても、効率的に雑味の元となる外側のタンパク質を除去できます。⼤七酒造さんは1993年、全国に先駆けて、しかも精⽶機メーカーの助けを借りずに、独⾃に扁平精⽶への挑戦を開始します。そしてその技術を磨き、2008年には尾形義雄精⽶部⻑が、精米部門で初の「現代の名工」に選ばれます。こちらもとんでもなく凄い!
今回のお酒も、超扁平精米。大七酒造さんの公式サイトによると、超扁平精米の精米歩合70%は通常精米の51.3%に相当するんだそうです。てことは、今回のお酒の精米歩合69%はほぼ50%、つまり純米大吟醸クラスにあたるわけですね。
大七酒造さんのサイトではその技術の説明がしっかり書かれていて、めっちゃ面白いです。他にもお酒の酸化を防ぐ無酸素充填システムなど見どころたっぷり。
それではお酒に戻って、飲んでいきましょう。
香りは生酛の酸とコク。でもそれが、爽やかきれいな良い香り。
口に含むと酸ぽわん。乳酸のしっかり華やかクラシック。直後に蜜の甘ぽわん。一歩遅れて旨苦じわん。
うっま!!!
生酛らしい酸とコクがしっかりあるのに、それがなぜか品があるんです。後味は、やさしい旨味がやわらかく、長く残って気持ちいい。
なにこれめちゃくちゃ美味しい! 酸→甘→旨コクの味わいはくっきりしているのに、どれも突出せずにバランスが良いんです。
吉田蔵uがモダン山廃なら、こちらはモダン生酛ですね。
アテで合ったのは鮎の甘露煮。この甘露煮自体がめちゃくちゃ美味しいです。合わせると、お酒の甘味は消えるけど旨味がさらにぐっと際立ちます。
ジブリで例えると「となりのトトロ」の中トトロ。通称・青いヤツ。本名・ズク。679歳。爽やかでかわいいくて、しっかり自然のコクも感じます。
好き度:★★★★☆
◎本日、3月2日は語呂合わせで「#ミニの日」だそうです。
— ジブリのせかい【非公式ファンサイト】 (@ghibli_world) 2022年3月2日
ということで、ミニサイズの小・中トトロです。pic.twitter.com/GGxLzgRSC8
【DATA】
蔵元:大七酒造株式会社(福島県二本松市)
造り:純米酒 生酛 生酒
原料米:五百万石、他
精米歩合:69%(超扁平精米)
アルコール度数:16% ・・・ 高め
日本酒度:+2.5 ・・・ ちょい辛
アミノ酸度:1.0 ・・・ 低い
酵母:協会7号酵母
製造年月:2024年4月
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