【灘菊 無ろ過 純米大吟醸 柔道】
米旨が やわらかいのに しっかりと
はじめましての灘菊さん。兵庫県姫路市・灘菊酒造さんのお酒です。
灘菊酒造さんは、明治43年(1910年)創業。創業者はその名も川石
川石本家酒類さんは、文久3年(1863年)創業の老舗。灘菊酒造さんから300mほどのところにあり、手柄山本みりんというみりんを造られています。川石本家酒類さんの現社長は川石
話を今回のお酒に戻しましょう。
今回のお酒は「柔道」。お店で見た時、まったく意味不明でした。首ラベルには「フランス柔道の父・川石酒造之助」って書いてますがなんのことやら???
で、調べてみたら、これがめちゃくちゃ面白かった!
川石
ただ、年号を見るとわかる通り、この後、第2次世界大戦が勃発します。それでも酒造之助さんはそのままパリに残留。1940年にパリがナチスによって占領されてもパリに残ります。しかし1944年、パリの日本大使館が在仏日本人に避難命令を出したため、ベルリンに移り、そこで終戦。酒造之助さんはモスクワに送られ、満州経由で帰国することになりました。って簡単に書いてますが、おそらくとんでもない苦労があったのでしょう。
それでも酒造之助さんの情熱は消えません。1948年には再びパリの土を踏み、フランス柔道連盟の技術指導に就任。1969年に亡くなるまで、フランスで柔道の指導を続けられました。
実は現在、柔道の競技人口が世界で最も多いのはフランス。日本の柔道人口は20万人ほどですが、フランスは50万人~80万人とも言われています。日本より多いのか! その礎を造ったのが酒造之助さんなんですね。凄い偉人!
余談ですが、柔道の創始者にして日本体育の父・嘉納治五郎さんも、白鶴酒造・菊正宗酒造を経営する嘉納家の分家筋。柔道と日本酒って意外に関係が深いですね。
で、やっとお酒の話しに戻ります。
このお酒「柔道」は、そんな川石酒造之助さんを記念して造られた、輸出用のお酒。それがなんでこちらのお店にあるのかというと、パリ五輪を記念して期間限定で直売所で販売したんだそうです。
そしてなんとこのお酒、フランスで開催されている日本酒コンテスト・Kura Masterで、2022年と2023年の2年連続でプラチナ賞を受賞しています。Kura Masterの審査はブラインドで行われるので、受賞は完全にお酒の実力ですね。
調べたら面白すぎてだいぶ寄り道をしましたが、ようやく飲んでいきましょう。
香りふんわり旨苦さ。しっかり感はあるけれど、やわらかさもあり、美味しそう。
口に含むとやわらかく、お米の旨味とやさしい乳酸。甘苦アルもふわっと出てきて、じんわり旨味で幕を引く。後味に、ほんのり苦味は残るけど、その苦味がまた魅力的。
うっっま!!!
苦味がこんなに気持ち良いのはなかなか珍しいですね。その余韻の苦味のおかげで、食事にもよく合います。今回でアテでは、ポテサラにもわかめの白和えにもばっちり!
やわらかいのにしっかりしている、めちゃくちゃ美味しいお酒でした。まさに柔よく剛を制す!
ジブリで例えると「風立ちぬ」の主人公・二郎。人当たりはやわらかいけど、芯がしっかりしていて超優秀。
ちなみに、実在の堀越二郎も柔道が得意だったんだそうです。
好き度:★★★★☆
二郎は柔道でガキ大将を投げ飛ばしていますが、実際の堀越二郎も柔道が得意で、最も打ち込んだスポーツだそうです。#風立ちぬ pic.twitter.com/7ESZprgHgg
— ジブリのせかい【非公式ファンサイト】 (@ghibli_world) 2021年8月27日
【DATA】
蔵元:灘菊酒造株式会社(兵庫県姫路市)
造り:純米大吟醸 無濾過
原料米:兵庫県産 兵庫夢錦
精米歩合:50%
アルコール度数:15% ・・・ 普通
製造年月:2024年3月
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