こるね酒

原則毎日AM11時更新+α。飲んだお酒を、ジブリ映画のキャラやシーンに例えながら紹介します。異論反論大歓迎。日本酒に詳しくない方でも、ジブリ作品に詳しくない方でも楽しんでいただけるように書いていきます。

灘菊 > 堀越二郎(風立ちぬ)[ジブリ酒]

灘菊なだぎく 無ろ過 純米大吟醸 柔道】

米旨が やわらかいのに しっかりと

灘菊

灘菊
灘菊
灘菊
灘菊

はじめましての灘菊さん。兵庫県姫路市・灘菊酒造さんのお酒です。

灘菊酒造さんは、明治43年(1910年)創業。創業者はその名も川石酒造作みきさくさん。まさに酒造りをするために名付けられたようですね。ちなみに、川石本家酒類合資会社からの独立とのことなので、長男ではなかったのかな?

川石本家酒類さんは、文久3年(1863年)創業の老舗。灘菊酒造さんから300mほどのところにあり、手柄山本みりんというみりんを造られています。川石本家酒類さんの現社長は川石酒造治みきじさん。酒造の字を受け継いでるんですね。ただ、酒造治さん、下戸でお酒は飲めないんだそうです。

話を今回のお酒に戻しましょう。
今回のお酒は「柔道」。お店で見た時、まったく意味不明でした。首ラベルには「フランス柔道の父・川石酒造之助」って書いてますがなんのことやら???
で、調べてみたら、これがめちゃくちゃ面白かった!

川石酒造之助みきのすけさんは、創業者・酒造作さんの実弟。1899年生まれで、18歳のときに柔道の初段を取ります。その後、早稲田大学政治経済学部を卒業。1927年にはアメリカのコロンビア大学に留学してアメリカで柔道の指導。1935年にパリでも柔道の指導を始めます。ここまでで既に波乱万丈。

ただ、年号を見るとわかる通り、この後、第2次世界大戦が勃発します。それでも酒造之助さんはそのままパリに残留。1940年にパリがナチスによって占領されてもパリに残ります。しかし1944年、パリの日本大使館が在仏日本人に避難命令を出したため、ベルリンに移り、そこで終戦。酒造之助さんはモスクワに送られ、満州経由で帰国することになりました。って簡単に書いてますが、おそらくとんでもない苦労があったのでしょう。
それでも酒造之助さんの情熱は消えません。1948年には再びパリの土を踏み、フランス柔道連盟の技術指導に就任。1969年に亡くなるまで、フランスで柔道の指導を続けられました。

実は現在、柔道の競技人口が世界で最も多いのはフランス。日本の柔道人口は20万人ほどですが、フランスは50万人~80万人とも言われています。日本より多いのか! その礎を造ったのが酒造之助さんなんですね。凄い偉人!

余談ですが、柔道の創始者にして日本体育の父・嘉納治五郎さんも、白鶴酒造菊正宗酒造を経営する嘉納家の分家筋。柔道と日本酒って意外に関係が深いですね。

で、やっとお酒の話しに戻ります。
このお酒「柔道」は、そんな川石酒造之助さんを記念して造られた、輸出用のお酒。それがなんでこちらのお店にあるのかというと、パリ五輪を記念して期間限定で直売所で販売したんだそうです。

そしてなんとこのお酒、フランスで開催されている日本酒コンテスト・Kura Masterで、2022年と2023年の2年連続でプラチナ賞を受賞しています。Kura Masterの審査はブラインドで行われるので、受賞は完全にお酒の実力ですね。

調べたら面白すぎてだいぶ寄り道をしましたが、ようやく飲んでいきましょう。

香りふんわり旨苦さ。しっかり感はあるけれど、やわらかさもあり、美味しそう。

口に含むとやわらかく、お米の旨味とやさしい乳酸。甘苦アルもふわっと出てきて、じんわり旨味で幕を引く。後味に、ほんのり苦味は残るけど、その苦味がまた魅力的。
うっっま!!!

苦味がこんなに気持ち良いのはなかなか珍しいですね。その余韻の苦味のおかげで、食事にもよく合います。今回でアテでは、ポテサラにもわかめの白和えにもばっちり!

やわらかいのにしっかりしている、めちゃくちゃ美味しいお酒でした。まさに柔よく剛を制す!

ジブリで例えると「風立ちぬ」の主人公・二郎。人当たりはやわらかいけど、芯がしっかりしていて超優秀。
ちなみに、実在の堀越二郎も柔道が得意だったんだそうです。

好き度:★★★★☆

灘菊

灘菊

【DATA】
蔵元:灘菊酒造株式会社(兵庫県姫路市)
造り:純米大吟醸 無濾過
原料米:兵庫県兵庫夢錦
精米歩合:50%
アルコール度数:15% ・・・ 普通
製造年月:2024年3月

 

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