【あべ×棘玉 貴醸酒製法 おりがらみ生】
シュワシュワで ドライな柑橘 フルーティー
こないだ青あべをいただいた あべさん。新潟県柏崎市・阿部酒造さんのお酒です。
が、
こちらのあべさんはちょっと特別。埼玉県川越市を中心に展開する酒販店・(株)マツザキさんのプライベートブランド(PB)です。マツザキさんはただの酒販店ではなく、クラフトジン・棘玉(とげだま)を製造する醸造所も運営されています。
今回のあべ×棘玉は、日本酒を仕込む際に、この棘玉ジンを加えて造られたお酒。仕込み水の一部をお酒に変えた貴醸酒と同じような造り方になりますが、規定以外の材料を加えるため、お酒の種別としては日本酒ではなく雑酒となっています。
僕、昔はジンをよく飲んでたんですよね。オールドトム系が好きでした。その後はジンから離れて、クラフトジンのブームにも完全に乗り遅れてしまいましたが、最近でもサントリーの六や、「風の森」の油長酒造さんが造った橘花ジンなどは飲んでいます。これは棘玉も飲んでおきたい。というわけで、棘玉ジンも一緒に買いました。
そもそもジンとは、穀物などを糖化発酵蒸留して作ったスピリッツに、ジュニパーベリー+αのボタニカル(香りづけに用いられる植物)で香りと風味を付けた蒸留酒。棘玉は、通常のジンの約3倍のジュニパーベリーを使い、一般的な蒸留所の5倍以上の時間をかけて造られるんだそう。「ワールドジンアワード2023」で国内最高金賞を受賞するなど、注目を集める銘柄です。
棘玉さんを飲んでみると、かなりパンチの強い味わい。アルコール度数が47%ということもありますが、香りも風味も力強い。針葉樹の葉のような濃い緑と、山椒ピリピリスパイシー。ほんのり柑橘の爽やかさ。華やかで強くて美味しいですね。ただ、これをお酒に加えるとどうなるのか、全く想像がつきません。
それでは飲んでいきましょう。
まずは開栓。通常の打栓やスクリューキャップではなく、栓抜きが必要な王冠タイプですね。
でも実はここに罠があります。
このお酒、おりがらみなんですよ。よく見ると瓶の底の方に澱が溜まってる。王冠は再度ちゃんと栓をすることができないので、澱に気付かず開栓してしまうと混ぜるのに苦労します。
僕もこの罠にはまって、ラップで押さえながら瓶をひっくり返して混ぜる羽目になりました。
やっと澱を混ぜたところで、改めて飲んでいきましょう。
色はレモンジュースのような薄い白。
香りはほんのりレモンと米旨。かすかな乳酸と、アンズの甘さも感じます。
口当たり、ピリシュワ炭酸、グレフル酸味。グレープフルーツの酸に加えて、柑橘苦味とフルーティーな甘味、不思議な旨味も現れて、ふわっとふくらみ、ズバッと切れる。
おお!美味しい。貴醸酒のような造り方なのに甘味は控えめで、炭酸感も相まってドライに感じます。最後は柑橘とクレソンの心地よい苦味で締める。後味もじわわんグレフル苦。
お酒に合わせて作ったアテは、「トマトジュースで作る鶏煮込み」。参考にした元レシピが僕には少し薄味だったので、お好み焼きソースを足してみました。そしたら、甘味とコクと複雑味が加わって激ウマ。そしてこれが、あべさんに合う! お酒の酸旨とトマトの旨味の相乗効果が凄い! お酒の複雑さがほわあああっとふくらみます。
王冠でちゃんと栓ができないから、他の瓶に移し替えて保管。2日目、3日目と、ほんのり柔らかくなってさらに美味しくなりました。フルーティーな酸苦がほんと気持ち良い。容量500mlで低アルだから、1日で飲み切ることも無理ではないけど、栓できたらいいですね。
ジブリで例えると「風の谷のナウシカ」でナウシカと服を取り換えたペジテの女の子。キリっとつり目が意思の強さを感じさせます。若くてフレッシュだけど甘くはなくて、しっかり苦味を抱えている美人さん。
好き度:★★★★☆
ナウシカと身代わりになったペジテの女の子は、魔女の宅急便の先輩魔女に通じる良さがある。 pic.twitter.com/5vd4CQT4vv
— りこりす (@rico_risu) 2023年7月7日
【DATA】
蔵元:阿部酒造株式会社(新潟県柏崎市)
造り:貴醸酒製法 おりがらみ生
原料米:五百万石、こしいぶき
精米歩合:60%
アルコール度数:12% ・・・ 低い
酒類:雑酒
製造年月:2024年11月
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