こるね酒

日本酒ブログ。原則毎日昼12時更新+α。飲んだお酒を、ジブリ映画のキャラやシーンに例えながら紹介します。日本酒に詳しくない方でも、ジブリ作品に詳しくない方でも楽しんでいただけるように書いていきます。

SOT > ジコ坊(もののけ姫)[ジブリ酒]

SOT(そっと) 純米無濾過生原酒】

コク甘酸→苦旨どどん 熟成酒

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はじめましてのお酒、SOTさん。はじめましてだけど飲むのはたぶんこれが最後になりそう。
こちらは、新潟県長岡市・葵酒造さんのお酒です。

葵酒造さんをご存じの方は、日本酒のニュースに詳しい方ですね。今年2025年の2月2日に、高橋酒造から社名変更して生まれたお蔵さんです。
高橋酒造さんは安政年間(1854~1860年)の創業。大正時代に造られた煉瓦造りの酒蔵が国の登録有形文化財に指定されているような歴史のあるお蔵さんでした。ただ、経営状況は厳しく、事業譲渡を検討することに。高橋酒造さんと言えば、前に日本酒専門居酒屋・日本酒原価酒蔵さんのPB・81(エイトワン)を飲んだお蔵さんですね。

そこに手を挙げたのが、現在葵酒造で代表取締役を務める青木里沙さん。この方の経歴が抜群に面白い!

青木里沙さんは中学卒業後、高校には進学せずに独学でデザインを勉強。その3年目に大検を受けて、そのまま東京大学に合格します。東大卒業前には、アメリカの投資銀行に就職も内定。しかしその会社というのがよりにもよってリーマン・ブラザーズでした。せっかく内定したのに、里沙さんが4年生の秋に史上最大の負債額をたたき出して破綻してしまいます。世に言うリーマン・ショックですね。でも里沙さんはそのまま、同社の欧州・アジア部門を買収した野村證券に無事新卒入社します。その後は、米系運用会社や、米系ヘッジファンドのアナリスト、不動産投資会社のIPOを担当。家族の転勤に伴って移住したシンガポールではM&A事業、コロナで帰国してECコンサル企業のIPO準備などを手掛けてこられたそう。

そして、日本酒が好きなこともあって2021年8月、楯の川酒造さんに経営企画担当として入社されます。そして2022年9月、楯の川酒造さんが執行役員制度を新設されたのと同時に、青木里沙さんは経営企画室室長兼、上場準備・法務・子会社担当の執行役員に就任。ただその後、経営方針の変更により楯の川酒造さんを退職されます。そして、1年半のフリーランスを経て、経営者として日本酒業界に戻ってこられました。

そうして生まれたのが葵酒造さん。現在の社員は、青木里沙さんを含めて4人で、全員が30代の移住者です。そう聞くと、そんな酒蔵って大丈夫なのかと不安になりますね。ただ、この4人、凄いチームです。

営業・マーケティング担当は土居将之さん。東京大学農学部卒業後、2018年に博報堂へ入社され、日系大手自動車メーカーの商品コンセプト開発・販売戦略立案の他、食品メーカーのSDGsアクション開発、自社事業の都市農園事業のコンセプト開発などを手掛けられます。そして2021年10月に楯の川酒造に入社。2022年9月に、楯の川酒造の子会社である奥羽自慢株式会社の取締役に就任されます。その後2024年頭にベルリンに移住され日本酒・焼酎のインポーターと日本食ビストロで勤務しつつ、ポップアップで焼酎バーを実施されていました。

米作りを担当するのは、青木里沙さんの実弟の魁人さん。三重県で米農家をされていました。ただこの方も、農業の勉強をするために1年半アメリカに行かれていたっぽい。

そしてさいごのひとり・醸造責任者は阿部龍弥さんです。阿部龍弥さん!!?
阿部龍弥さんと言えば、奥羽自慢で「吾有事」を造っていた方。奥羽自慢さんは、経営難と後継者不足と蔵元の病気で廃業の危機になっていたところを楯の川酒造さんに救われ、2017年度に酒造りを再開されたんです。その製造責任者が、縦の川酒造の若手蔵人だった当時26歳の阿部龍弥さん。吾有事も良いお酒で、僕も7種類ほど飲んでいます。ただその後、グループ会社内の転籍で、阿部龍弥さんは酒造りからは離れていたんだそうです。そうした時に青木さんに声をかけられ、家族を山形県に残して単身新潟県へ引っ越しされました。
肝心の酒造りを担うのが阿部龍弥さんなら間違いない!

とまあ、さんざん煽ってみたんですが、実は今回のお酒は、この4人が作ったお酒じゃありません。なんせ7年ものの古酒。しかも無濾過生原酒???
おそらくごく少数しか残っていなかったんでしょうね。検索してみても2件しかヒットしない上に、売り切れていてそのページを開けません。さらにこれを飲んだ時はスマホが壊れかけで、撮ったはずの裏ラベルが残っていない。
というわけで、詳細がわからないんですが、このお酒は、高橋酒造と長岡の日本酒愛好家たちが共同で醸した【S(特別な) O(独創的な) T(挑戦)】酒のようです。
それでは飲んでいきましょう。

色はほんのり薄山吹。
上立ち香、やわらか酸甘熟成感。乳酸コク甘アーモンド。

うん、これは間違いなく熟成していますね。

口に含むとやわらかく、くっきり熟成コク甘酸。
甘味はぱっと広がって、このまま甘いと思わせといて、意外にすうっと引いていき、苦旨どどんとふくらみます。
含み香は、ほんのりカラメル甘アルで、後味酸苦ずずんと響く。それがふんわり溶けていき、後に残るは辛口感。

甘→辛なしっかり熟成酒でした。苦味が大きいからアテに合わせたいです。

アテは、引き続きミンチカツ。うーん、悪くはないけどちょっと違いますね。広東料理のようなこってり中華に合わせたいお酒でした。ブルーチーズのような臭いの強いチーズなんかも良さげ。

誰にでもお勧めできるお酒じゃありません。でも僕は嫌いじゃない。
ただ、調べてみてめちゃくちゃ面白かったから、葵酒造さんとして造ったお酒も飲みたい! 

ジブリで例えると「もののけ姫」のジコ坊。最初はアシタカに優しいかと思ったら、けっこうな辛口です。かなりえげつない悪役。でも不思議な愛嬌があって映画の印象をまとめてくれます。この映画の最後のセリフって、アシタカでもサンでもエボシ様でもなく、ジコ坊の「いやぁーまいった、まいった。バカには勝てん」なんです。


余談ですが、僕はジコ坊の上司にあたるであろう謎の組織・師匠連は、比叡山延暦寺の指導者層だという説を唱えてます。ちゃんと根拠と考察を積み重ねた説でなかなか面白いので、よろしければご覧ください。

好き度:★★★☆

SOT

【DATA】
蔵元:葵酒造株式会社(新潟県長岡市)
造り:純米 無濾過生原酒 熟成

※すいません、スマホ故障により、裏ラベルの写真が残っていませんでした。代わりにと言ってはなんですが、居酒屋さんのメニューカードを置いておきます。

 

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