こるね酒

日本酒ブログ。原則毎日昼12時更新+α。飲んだお酒を、ジブリ映画のキャラやシーンに例えながら紹介します。日本酒に詳しくない方でも、ジブリ作品に詳しくない方でも楽しんでいただけるように書いていきます。

菊勇 > ナトル(猫の恩返し)[ジブリ酒]

菊勇(きくゆう) 辛口純米酒

穏やかで 後味酸旨 ほわあああ

菊勇

菊勇
菊勇

はじめましてのお酒、菊勇(きくゆう)さん。神奈川県伊勢原市吉川(きっかわ)醸造さんのお酒です。吉川醸造さんというと、最近では別銘柄の雨降(あふり)の方が有名ですね。例の裁判は、若干の進展はありましたが、まだまだ長引きそう。

菊勇というと、山形県三十六人衆を醸す菊勇(きくいさみ)もあります。というかありました。菊勇さんは、売上減少による業績悪化のため、昨年2024年9月に自己破産を申請されてしまいました。とても残念。菊勇(きくゆう)菊勇(きくいさみ)がややこしいという話ももうできないんですね。

まあ、そんな暗い話しはこれくらいにして、明るい話題に変えましょう。
吉川醸造さんは、大正元年(1912年)創業。しかし近年は売上も低迷し、2020年春には酒造りを休止。その後、不動産やホテルなど幅広い事業を展開するシマダグループに売却されてしまいます。
全然明るくないって? 大丈夫、ここから明るくなります。

シマダグループから社長として吉川醸造に派遣された合頭義理(ごうとうのりみち)さんは、当然ながら酒造りに関しては全くの素人。でも、ただひとり蔵に残っていた水野杜氏に、「好きなように酒造りをしてほしい。酒質向上のために必要なことはなんでもする」と伝えたそうです。

水野杜氏は若くして杜氏に就任するほどの優秀な蔵人でした。しかし売却前の蔵元は毎年同じように酒を造るという方針で、設備投資にも消極的。思い通りの酒造りをすることはできませんでした。
でもその枷が外れた水野さんは奮起。酒造りを復活して2021年4月に発売されたお酒はすぐ完売します。その後の吉川醸造さんは、土田酒造さんに触発されて低精白をしてみたり、水酛に手を出してみたり、酵母無添加とか白麹・黒麹とか花酵母とか古代米とか、良い意味でやりたい放題。設備も更新され酒質も上がり、ファンもどんどん増えています。

今回の「菊勇」は、かつての吉川醸造で造っていた銘柄。一旦は終売になっていたようですが、復活させたんですね。どんなお酒が楽しみです。それでは、いただきます。

 

菊勇

色はクリアな黄褐色。
上立ち香、透明感ある酸旨アル。おだやかだけど、爽やかです。

口当たり、するりなめらか水のよう。控えめな酸旨に続いて、ほのかな渋味も出てくるけれど、淡いまんまで流れていきます。

淡くておだやかで、主張はしないけど、薄くはない。含み香ほんのり乳酸アル。そして後味は、酸旨の風味が味わいよりも豊かにほわあああ。

温度が上がってくると、酸旨の飲み応えが少し出てきますね。冷酒よりも常温くらいの方が本領発揮っぽい。ただ、酸も強くなるので、個人的には雪冷え(5℃)の方が好き。

アテは、引き続き漬物盛り合わせ。ひとつ前の朝日榮さんにはあんまり合いませんでしたが、菊勇さんにはばっちり合います。特に、少し甘めのたくあんに合わせると、お酒の酸旨甘がふんわり立ってきます。
淡白な白身のお刺身にも良さそうですね。逆にあんまり濃いものだとお酒の良さが活きなそう。

ジブリで例えると「猫の恩返し」のナトリ。猫王の第一秘書です。有能な官僚タイプだけど、わがままな猫王に振り回されています。でも猫王を嫌っているわけではなくて、一緒に引退するくらいの忠臣。ナトリも意外に人気があるんですよね。

好き度:★★★☆

朝日榮

朝日榮

【DATA】
蔵元:吉川醸造株式会社(神奈川県伊勢原市)
造り:純米
原料米:岡山県産 雄町
精米歩合:60%
アルコール度数:16% ・・・ 高め
日本酒度:+4.5 ・・・ 辛口
酸度:1.6 ・・・ 高め
酵母:協会7号酵母
仕込み水:雨降山地下水(硬度150)
製造年月:2024年9月


※吉川醸造さんの事業譲渡に関しては、日本酒メディア・SAKE Streetさんの『事業譲渡が、杜氏の夢を実現。日本酒「雨降」は神奈川随一の個性を目指す - 神奈川県・吉川醸造』という記事を参考にさせていただきました。とても面白い記事。今回はだいぶ端折ったので、ぜひ元記事もご覧ください。

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