【夜明け前 純米吟醸 生一本 しずく採り】
やさしくて おだやかきれいな フルーティー

宴友会のお酒。1年ぶりの夜明け前さん。長野県上伊那郡辰野町・小野酒造店さんのお酒です。
銘柄名の由来は、島崎藤村の小説「夜明け前」。「木曾路はすべて山の中である」との書き出しで始まるこの小説は、信州木曾谷の馬籠宿を舞台に、幕末から明治維新前後の歴史に翻弄される人間群像を描いた大作です。主人公のモデルは、国学者として幕末を生きた藤村の実父。この方、藤村が14歳の時に、精神を病んで島崎家家中の座敷牢で亡くなっているんですよね。家に座敷牢があるのも凄いですが、Wikipediaを見るだけでもその壮絶な生きざまに圧倒されます。
この銘柄が生まれた1972年は、藤村生誕100年の年。小野酒造店さんは、この銘柄を付けるにあたり、藤村のご子息から作品名を銘柄として使用する許可を得られています。その時のご子息から求められた約束が、「命に代えても本物を追求する精神を忘れることなく、一生を通じて味にこだわる」こと。これは生半可な覚悟では名前を使えませんね。そして小野酒造店さんはその約束を違えることなく、夜明け前は鑑評会で上位入賞し、一気に注目を集めるようになりました。
そんなお酒、夜明け前さん。前回の「絹華」は、日本酒度+14の大辛口で酸が中心でフレッシュなのにとてもやわらかいという謎のお酒でした。美味しかったし、それ以上にびっくりした。
今回のお酒は、夜明け前の銘をはじめてつけた代表的なお酒「生一本」の、季節限定しずく採りです。しずく採りとは、雫取り・雫酒・袋しぼり・吊るししぼり・斗瓶取りなどとも言う、圧力をかけずにしたたり落ちる雫だけを集める方法。雑味のないきれいな酒質になります。雫取り大好きなんですよね。楽しみです。
ちなみに生一本とは、国税庁の「清酒の製法品質表示基準」で「ひとつの製造場だけで醸造された純米酒」と定められています。今では普通のことですね。でも、昔は他の蔵から買ってきたお酒をブレンドする「桶買い」があたりまえだったから、「生一本」には価値がありました。夜明け前さんの場合は、銘柄名を立ち上げたお酒ということで、思い入れがあるんでしょうね。
それでは飲んでいきましょう。
香りおだやか、米旨マスカット。はああ、きれいですねえ。雑味なんて全くなさそう。
口当たり、きれいな甘酸するっと入り、やさしくふわっと広がって、おだやかきれいに消えていく。
あああ、やさしい。そしてめちゃくちゃ美味しい。バランスがとても良いですね。やさしくておだやかで美しい。モダンフルーティーなんだけど、ほんのり米旨クラシックさもあって、やっぱり雑味は全くありません。うまああああ。
ジブリで例えると「On Your Mark」の、翼の生えた少女。「On Your Mark」は、チャゲ&アスカのMVとして作られた7分弱の短編。チャゲアスの歌をバックに、2人が翼の生えた少女を助ける物語が、映画1本分をまるまる詰め込んだような超高密度で描かれます。
翼の生えた少女は、女神のような天使のような不思議な存在。美しくて、純粋で、天国的。最後に浮かべる笑みがとてもやさしいです。
好き度:★★★★☆
君と僕、並んで夜明けを追い抜いてみたい
— SOL (@Sol__wco) 2025年5月25日
On Your Mark#chageandaska #onyourmark #ジブリ pic.twitter.com/dEaaaQYmjm



【DATA】
蔵元:株式会社 小野酒造店(長野県上伊那郡辰野町)
造り:純米吟醸 生酒 しずくどり
原料米:兵庫県下東条地区 山田錦 特等米
精米歩合:55%
アルコール度数:15% ・・・ 普通
製造年月:2025年5月
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