こるね酒

日本酒ブログ。原則毎日昼12時更新+α。飲んだお酒を、ジブリ映画のキャラやシーンに例えながら紹介します。日本酒に詳しくない方でも、ジブリ作品に詳しくない方でも楽しんでいただけるように書いていきます。

播州一献 > ナウシカ(風の谷のナウシカ)[ジブリ酒]

播州一献(ばんしゅういっこん) 七宝 純米 澱絡み生】

米甘苦 豊かでかわいく カッコよく

播州一献

播州一献
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播州一献

お久しぶりの播州一献さん。兵庫県宍粟(しそう)市・山陽盃(さんようはい)酒造さんのお酒です。前回いただいたのは2年前で、同じ新酒の澱絡み生でした。

山陽盃酒造さんは天保8年(1837年)10月創業。以来、山陽盃酒造さんは日本酒発祥の地と言われる播州宍粟で酒造りを続けられてきました。

実は、日本酒発祥の地というのはいくつもあります。
まずは、奈良の正暦寺室町時代の「御酒之日記」という文書が残っており、この時代に諸白仕込み・三段仕込み・菩提酛造り・火入れなど近現代の日本酒造りの基礎となる製法が完成しました。正暦寺については、こないだ菩提酛清酒祭の特集記事を書きました。

島根の佐香神社は、奈良時代に編纂された「出雲国風土記」に「この地に神々が集まって酒造りを行い、180日にわたり酒宴を開いた」という記述があることから、日本酒発祥の地を主張しています。製法が近代以降の日本酒とはだいぶ違いますが、ルーツと言えばルーツ。
また、兵庫の伊丹は、「鴻池稲荷祠碑」という石碑に、「慶長5年(1600年)に山中新六幸元が初めて双白澄酒(もろはくすみざけ=清酒)を造ったと刻まれていることから、清酒発祥の地としています。
そして播州宍粟。こちらも奈良時代の「播磨国風土記」が根拠。庭田神社で初めて麹を使用した酒が造られたという記述があるそうです。確かに麹を使った酒造りは日本酒の根幹ですね。

まあ、専門家でもない人が、どこが本当の発祥の地なのかを議論することには意味はありません。大事なのは、山陽盃酒造さんが日本酒発祥の地であることに誇りを持ち、それに恥じない酒造りをされていることですね。

ちなみに普段僕は、お蔵さんの創業年を書くことがあっても月までは書いていません。でもこの年は、創業した月にも意味があります。
天保8年というと、前年まで続いた天保の大飢饉の直後。つまり、食べるお米すら足りていません。しかも2月には大阪で、大塩平八郎の乱が発生します。乱はすぐに鎮圧されますがその影響は大きく、宍粟郡から目と鼻の先の加東郡で、大塩残党を名乗る一揆が発生しています。そんな激動の年の10月に創業できたということは、その年にはある程度の収穫はあったのでしょう。良かった。

播州一献という銘柄名は、公式サイトから引用すると、
播州地域(兵庫県南西部)で作られたお米、氷ノ山系の清らかな水を使い、寒暖差のある気候風土を生かして、手間ひまかけて、心をこめてつくった「播州を詰め込んだわたしたちのお酒を一杯どうぞ」という意』だそうです。

その中の「七宝シリーズ」は、2019年より始まった、酒米・兵庫北錦を使った生原酒のシリーズ。七宝には、仏教における七つの宝とか、七宝焼きとか、織姫と彦星が会うときに使う枕(七宝枕)とかのいろんな意味がありますが、こちらの七宝は七宝紋。円が連鎖して繋がる、円満・調和・ご縁などの願いが込められた縁起の良い柄です。

播州一献
そして、その年の第一弾の新酒にだけ、ロゴ右下に「感謝」の文字が記されます。この「感謝」と七宝シリーズの誕生には深い理由があるんです。
2018年の11月8日、山陽盃酒造さんは火事により半焼してしまいました。幸いなことに人的にも醸造設備にも大きな被害はなかったとのことですが、新酒が出始める時期の火事ということで、とても大変だったとお察しします。
その火事と、その際の応援への感謝を忘れないようにするため、それ以来毎年の新酒発売は11月8日とし、感謝の文字を入れるようにしているのだそうです。七宝には感謝の連環という意味も込められているんですね。
それを聞くと、感謝の文字の重みが違ってきます。

例によって、語りたいことが山のようにありますが、そろそろ飲んでいきましょう。

色はきれいなうすにごり。
上立ち香、かわいいにごりの米甘乳酸。でもかわいい中にほんのり固いカッコよさもあります。

口当たり、きれいなにごりの甘酸苦。お米シロップやさしい甘味、かわいく爽やか乳酸の酸、にごりの苦味もやわらかで、良いアクセントになっています。そこからお米の甘旨が、ぽわっと広がるのも気持ちいい。
最期は甘味も残しつつ、純米辛口感でスパッと切れる。そして素晴らしいのが含み香と後味。にごりの良い部分を集めたような甘旨乳酸アルコールの香りがふわっと抜けて、米甘苦の豊かな後味がじんわり残ってやさしく溶ける。
これは感動! めちゃくちゃ美味しい!!

 

また、苦味のおかげで食事にも合わせやすいです。引き続きの肉じゃがと、追加で頼んだ舞茸の天ぷら、どちらも、食事の良さを残しつつ、お酒の米旨味でやさしく塗り替えていきます。素晴らしい!!

ジブリで例えると「風の谷のナウシカ」のナウシカ。かわいくてカッコよくて爽やか。それだけじゃなく、奥深い苦味もあるし、主張があるのに誰とでも合う。

好き度:★★★★★

播州一献

播州一献

【DATA】
蔵元:山陽盃酒造株式会社(兵庫県宍粟市)
造り:純米 おりがらみ 生酒 真吟精米
原料米:兵庫北錦
精米歩合:65%
アルコール度数:14% ・・・ 低め
製造年月:2025年11月

 

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