【帆波 ピンク 純米吟醸 生酒】
華やかな 甘味としっかり 米旨味





はじめましてのお酒、帆波さん。富山県魚津市・魚津酒造さんのお酒です。北洋のお蔵さんですね。
今回は、魚津酒造の代表取締役を務められていて先日事故で急逝された田中文悟さんの追悼です。田中文悟さんは、魚津酒造さんをはじめとしたいくつもの酒蔵を再生させてきた日本酒業界の偉人。僕も何度も取り上げていますが、ここでもう一度田中文悟さんについて振り返りましょう。
田中さんは1976年生まれ。関東学院大学経済学部を卒業後、アサヒビールに就職し、営業職の傍らアメリカンフットボール社会人チーム・アサヒビールシルバースターの一員として、2000年に日本一の栄冠に輝きます。社会人プロアメリカンフットボールリーグ・Xリーグが発足して3シーズン目のこと。ちなみにシルバースターは2024年からオリエンタルバイオがメインスポンサーになって、現在はオリエンタルバイオシルバースターという名前になっています。
その後、2010年から酒蔵再生の事業会社で12の酒蔵を再建。そして独立して、酒蔵再生の専門企業・日本酒キャピタルを設立されました。
日本酒キャピタルでは、秋田の(株)大納川(銘柄名:大納川 天花)、富山の魚津酒造(銘柄名:北洋・帆波)、岩手の紫波酒造店(銘柄名:紫宙・廣喜)、鹿児島の焼酎蔵・日當山醸造(銘柄名:アサヒ)を再建され、2025年からは5番目の案件として三重の平和錦酒造(銘柄名:平和錦)の再建に取り組まれていました。
去年6月に公開された資金調達会社の出資募集のYouTube動画で、田中さんのインタビューとプレゼンを見ることができます。これを見ると、田中さんがBIGBOSSと呼ばれて慕われていた理由がよくわかります。
日本酒キャピタルという名前からは、酒蔵を買収して経営だけ行うようにも思われますが、田中さんが再建を行う際は、必ず現場に入られるんだそう。また、地元とのつながりをとても大切にされていました。さらに、買収後も社員は誰も辞めさせないということをポリシーにされていたんだとか。本当に惜しい人を亡くしました。
帆波を醸す魚津酒造さんは、大正15年(1926年)の創業。北洋の銘柄名で愛されてきたものの、近年は長く続く赤字や設備の老朽化、後継者問題で酒蔵の存続が危うい状態でした。そんな中で日本酒キャピタルに声がかかったんですが、状況は田中さんが再生を手掛けた中でも最悪レベル。この件を引き受けるかどうかは最後まで迷われたそうです。しかし、行政や地元の応援を受けて再生を決意。設備も造り方も大幅に変えて、再生の道を歩み始めました。
今回いただく帆波は、全て純米で無濾過生原酒の特約店限定銘柄。2022年に田中さんの手で生まれた、魚津酒造さんの再生を象徴するブランドです。
なお、今期から、杜氏に
それでは、田中さんを偲びながら飲んでいきましょう。
香りは米旨、ほんのり青バナナ。わずかに洋梨もいる、米旨フルーティー。
口当たり、やわらかするっと甘酸味。バナナの甘味とグレフル酸。それがぽわっと開くとともに、米旨ぐぐっと膨らみます。
やわらかいけどはっきりと、甘味酸味が主張する、少しクラシック寄りのモダンフルーティーです。華やかなのに芯が太くて力強さもあります。美味しい!


アテに合わせたのは、まずはマグロの漬け。マグロの旨味と醤油とゴマ油、それにほんのりニンニクのパンチが効いててめっちゃ美味しいです。そこにお酒を流し込むと、お酒の甘味を残しつつ、お米の旨さがやさしくふわり。うっま!!
砂ズリの塩ダレ焼きにも合わせました。お酒の味がしっかりしてるから、砂ズリのスパイシーで濃い味付けにも全く負けません。旨塩系の味にも合いますね。
ジブリで例えると「魔女の宅急便」のコキリさん。かわいくて素敵なキキのお母さんです。コキリさんも、涙ぐみつつもキキをしっかり送り出します。母としての芯の強さがありますね。
好き度:★★★★☆
キキ、そんなに形にこだわらないの、大切なのは心よ。
— もも@まったり日常🍙 (@momo_kabu1) 2024年10月10日
そしていつも笑顔を忘れずにね。
ジブリ映画『魔女の宅急便』より
主人公キキの旅立ちの準備中に魔女の格好は真っ黒だと気にする娘を母コキリが諭す。揃って前を見つめる横顔が印象的なシーン✨
ちなみに娘にラジオ持ってかれた父はオキノさん。 pic.twitter.com/THzYsA3uoV


【DATA】
蔵元:株式会社 魚津酒造(富山県魚津市)
造り:純米吟醸
原料米:富山県産 雄山錦
精米歩合:55%
アルコール度数:15% ・・・ 普通
日本酒度:-6 ・・・ 甘口
酸度:1.6 ・・・ 高め
酵母:協会701号酵母
製造年月:2026年2月
最後にあらためて、田中文悟さん、たくさんの美味しいお酒をありがとうございました。安らかにお休みください。
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