【神鷹 純米酒 水酛仕込み】
ツンデレの 気持ちがわかる 酸苦味



はじめましてのお酒、兵庫県明石市・江井ヶ嶋酒造の神鷹さんです。
この子は、酒屋さんでぶらぶらしててたまたま見つけたお酒。水酛なのに税抜980円・税込1078円という安さにびっくりしました。むしろ安すぎて心配になったんですが、製造年月見ても古くないし、興味が抑えられずにレジ直行です。
水酛というのは、約600年前から奈良の菩提山正暦寺で行われていた酒母作りの方法です。菩提酛とも言いますね。これまでにも水酛/菩提酛のお酒はいろいろ飲んできましたが、まあだいだいどれも良い意味で変態。普通の速醸酛のお酒と山廃/生酛のお酒を1m離して置いたら、生酛のさらに1m向こうにあるのが水酛/菩提酛というイメージ。だいたいは強い酸旨甘味が特徴的です。
ちなみに一番強烈だった菩提酛は、みむろ杉の地元銘柄・三諸杉の菩提酛。ジブリにはとても例えられずに、田中角栄氏に例えました。
さて、それでは、神鷹さんを飲んでいきましょう。
色は、ラベルに書いてある通りの、濃い山吹色。
香りは、控えめ乳酸ほの蜜甘。お? 意外に普通?
口当たりは、するする入って酸ぽわん。酸が単体で立ってて、甘味も旨味も苦味もない、シンプルな酸味です。でも、どこかやさしくて、刺激の少ない飲みやすい酸味。フルーティーではない、乳酸の酸味ですね。水酛は複雑な味わいのものが多いから、ちょっと意外。
そこからさらに酸味がふくらんで、奥から苦味を中心に、ほのかな甘旨も現れます。そして、含み香も後味も酸苦じゅわん。
正直、あんまり得意なタイプじゃありません。ないはず。・・・ないんだけどなあ。なぜか飲み飽きないし、次の1杯を注ぎたくなります。
燗にもしてみました。これもアリ。熱燗(50℃)以上になると、甘味がさらに減って、すっきり酸味になります。ここは好みが分かれそう。僕は、常温か、ほの甘やさしいぬる燗(40℃)くらいが好きでした。
アテは、濃い方が良いですね。脂の乗ったカレイの煮つけが美味しかった。スパイスと塩をたっぷり効かせたポークソテーなんかも良さそう。
今回いちばん合ったのは、お昼ごはんに作った「しらたき餃子鍋」。いろいろアレンジ加えたけど、元ネタはいつものバズレシピだから、お酒に合わないわけがありません。しかもしらたきを使ってて低糖質なのに満腹! レシピも載せておきます。
でも逆に、生野菜サラダとか甘めの切り干し大根には壊滅的に合わなかった。好き嫌いの激しい子です。
このレビュー書いたの、実は飲んでから3週間ほど経ってからです。で、不思議なんですが、レビュー書いてたらまた飲みたくなってるんですよね。「あ、アンタみたいに酸苦な子、別に好きでもなんでもないんだからね! ご飯に合ったのだってたまたまなんだから、誤解しないでよね!」(くやしい! でも美味しい! ビクンビクン)っていう気分。なにこの気持ち?
ジブリで例えると「魔女の宅急便」の、ニシンのパイが嫌いな女の子。好き嫌いがあって、「私、この切り干し大根嫌いなのよね」とか言っちゃう。でも実はおばあちゃんのことは大好きなんじゃない?
好き度:★★★☆
と思ってたけど、★★★★に修正。
後からじわります。
夫が静岡出張でうなぎパイを買ってきたので、「私このパイ嫌いなのよね」をやった pic.twitter.com/YvA7gpSL3v
— ame (@ame_koneru) 2018年12月1日


【DATA】
蔵元:江井ヶ嶋酒造株式会社(兵庫県明石市)
造り:純米酒 水酛仕込み
原料米:兵庫県産米
精米歩合:70%
アルコール度数:15% ・・・ 普通
製造年月:2022年11月
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