こるね酒

日本酒ブログ。原則毎日昼12時更新+α。飲んだお酒を、ジブリ映画のキャラやシーンに例えながら紹介します。日本酒に詳しくない方でも、ジブリ作品に詳しくない方でも楽しんでいただけるように書いていきます。

土佐深海 > 女(レッドタートル)[ジブリ酒]

土佐深海(とさしんかい) 吟醸酒】

含み香が 華やかだけど 淡い酒

土佐深海

土佐深海
土佐深海

はじめましてのお酒、土佐深海さん。高知県安芸郡芸西村・仙頭酒造場さんのお酒です。土佐しらぎくのお蔵さんですね。

このお酒、深海という名前がついているのは、海洋深層水で仕込んでいるから。
海洋深層水とは、太陽光が届かない水深200mより深いところにある海水のこと。人の生活排水や産業排水も届かないし、日光が届かないので植物プランクトンも生きていけません。だからかなりきれいな水。そして、ミネラルが豊富です。
今回のお酒に使うのは、室戸岬沖合2600m・深さ320mの深海から汲み上げられた深層水。もちろん海洋深層水そのままでは塩分が含まれているので、逆浸透膜で淡水化したものです。そして酵母も、深海6300m・600気圧のなかに沈めた深海酵母です。

ちなみにこのお酒、スペックが書いてあるラベルが破れていて、銘柄名以外全く何もわからない状態でいただきます。どんなお酒なんでしょう?

土佐深海

それでは飲んでいきましょう。

上立ち香、まろやか米旨ほの酸ぽわん。乳酸グレフルおだやかな酸。大きくないけど良い香り。

口当たり、やわらかするんと水のよう。ほんのり酸と、続いて旨甘。とても淡くて儚い薄口。アルコール感も控えめです。でも含み香が、やわらか華やかに開いて豊か。

温まってくると、だんだん味が開いてきます。こっちが本領かな? 手で温めて常温まで上げてみます。
常温だと、味わいがはっきりしてきました。雪冷えだとほとんど感じなかった苦味が、後半にくっきり出てきて、それがなぜかとても気持ちいい。

冷酒だと淡すぎて食事に合わせにくかったんですが、常温だどやさしい辛口で食中に良くなります。


アテで、合ったのは、ひき肉のニョクマム炒め。インドっぽいスパイス感があって美味しいです。そして、お酒が一段奥深くなります。

ジブリで例えると「レッドタートル」の女。
「レッドタートル」は、2016年公開の、ジブリの中では飛びぬけてマイナーな作品です。監督は、オランダ出身のマイケル・デュドク・ドゥ・ヴィットさんで、日本・フランス・ベルギーの3か国による合作。カンヌ国際映画祭の、独自で特異な作品に与えられる「ある視点」部門特別賞を受賞しています。
全編通して一切セリフがないという、かなり前衛的でアーティスティックな作品。でもとても美しいし、見終わった後に、不思議な深い後味が残ります。秋の独りのちょっと寂しい夜なんかにおススメですよ。あと、カニがかわいい。
「女」にも名前はありません。存在もいろいろ謎なんですが、おだやかな女性です。

好き度:★★★★


©スタジオジブリ

土佐深海
土佐深海

【DATA】
蔵元:有限会社 仙頭酒造場(高知県安芸郡芸西村)
造り:吟醸酒
原料米:土佐錦
精米歩合:60%
アルコール度数:15~16% ・・・ 普通
日本酒度:+6 ・・・ 辛口

 

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雅楽代 > ハク(千と千尋の神隠し)[ジブリ酒]

雅楽代(うたしろ) 花明かり】

おだやかで 爽やか酸の 淡麗酒

雅楽代

雅楽代
雅楽代

ついこないだ鳴神を飲んだばかりの雅楽代さん。新潟県佐渡市・天領盃酒造さんのお酒です。
蔵元の加登さんの超絶面白い経歴とか、歴史の悲哀と美しさを感じる雅楽代の由来とかは、鳴神のときにたっぷり語ったから、今回はこの「花明かり」について。

花明かりは、雅楽代シリーズの代表作・月華をベースにした春酒です。
加登さんの中では「春は梅のイメージ」なんだそう。で、梅→梅干→クエン酸→クエン酸と言えば白麹! というわけで、白麹を使っています。花明かりは、4年前にはじめて飲んだ雅楽代さんです。

瓶の絵は、最近の雅楽代さんのプリント瓶シリーズと同じで、佐渡在住のイラストレーター・浦川海汐さんの作品。今年からプリント瓶になったんだそうです。雅楽代の銘柄名の由来になった順徳上皇が春を楽しんでいる様子です。桜の木の上でお酒飲んでるのも優雅ですし、木登りしたり下りたりする上皇を想像したらちょっとかわいいですね。

それでは飲んでいきましょう。

香りはおだやかやさしいレモン。わずかなお米の旨さがそれをやわらかくしています。

口当たり、チリチリ細かい炭酸感。ライムの酸味がふくらんで、ミネラル苦とみかんの甘味、控えめじんわり現れます。
含み香、苦アルほんのりわずか。後味、苦味が心地よく、食事に合わせてくれそうです。

低アルおだやか甘味も控えめ。こちらも新たな淡麗酒。でも薄っぺらさは全くなくて、ほろ苦酸の深みがあります。めっちゃ美味しい!!

 

アテは、手羽元揚げ。控えめスパイシーな肉旨で、お酒が華やかにぱああっと開きます。

ジブリで例えると「千と千尋の神隠し」のハク。おだやか爽やかカッコよくて、ほんのりやさしい美形です。

好き度:★★★★☆

雅楽代

雅楽代

【DATA】
蔵元:天領盃酒造株式会社(新潟県佐渡市)
アルコール度数:13.5% ・・・ 低め
製造年月:2026年2月

 

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男山 > キキのお父さん(魔女の宅急便)[ジブリ酒]

男山おとこやま 純米生貯蔵缶】

クセのない おだやかやさしい クラシック

男山

男山
男山

お久しぶりの男山さん。北海道旭川市・男山(株)さんのお酒です。いただくのは3年ぶり2度目なんだけど、前回は低アルスパークリングだったから、実質はじめましてみたいなもんですね。

男山さんは、明治20年(1887年)創業。元々は山崎酒造という社名でしたが、1968年に男山の名を継承して社名変更しました。改名したの、意外と最近なんですね。

男山が付くお酒は、Wikipediaに載っているだけで全国に20以上もあります。僕が飲んだだけでも、北から順に、今回の男山、陸奥男山(青森/八戸酒造・代表銘柄:陸奥八仙)、陸前男山(宮城/男山本店・代表銘柄:蒼天伝・美禄)、会津男山(福島/男山酒造店)、越乃男山(新潟/阿部酒造・代表銘柄:あべ)、知多ねのひ蔵 男山(愛知/盛田・代表銘柄:子乃日松)、男山(山口/永山本家酒造場・代表銘柄:)。どちらかというと、代表銘柄を他に持っているお蔵さんの方が多いですね。それに対して北海道の男山さんは男山ブランドを前面に出しています。

元々の男山は、寛文元年(1661年)に伊丹(現在の兵庫県伊丹市)で生まれた、造り酒屋・木綿屋山本本家のブランドでした。ネタ元は、現在の石清水八幡宮の旧称・男山八幡宮。しかしそれが大人気となったことで、それにあやかって男山と表示するお酒が横行します。その後、明治初期に木綿屋山本本家が廃業したことで、さらに各地に男山を冠する銘柄が乱立。明治17年(1884年)に制定された商標条例によって日本の商標制度が始まりますが、男山を冠する銘柄が多すぎたために、「男山」は普通名称として商標登録は認められませんでした。「正宗」と同じ流れですね。

時は流れて1968年、山崎酒造蔵元の3代目山崎與吉さんは木綿屋さんの子孫を訪ね、正統を伝承する印鑑ならびに印鑑納め袋を受け取ります。木綿屋さんの廃業は明治初期ということなので、1868年の明治維新からのそれほど経ってはいないとすると、廃業から100年近く後のことですね。

もちろん、その印鑑は法的には何の効力もありません。「男山」の商標も取れないままです。でも新生男山酒造さんは「男山の銘柄を使う以上は良い酒を造る」という精神で酒造りをされています。そういう意味で、印鑑を継承したということは、単にブランドを使用する以上の意味があるのでしょうね。

今回は、いただきものの1合缶。缶って瓶より軽いし紫外線は通さないし、デザインの自由度が高いのも良いですね。今回のお酒のデザインは、絵本作家・あべ弘士さんの描くクマゲラ。味がありますね。あべ弘士さんは、名作「あらしのよるに」の絵を描いた人。この方なんと、旭川にある旭山動物園で25年間飼育係をされてたんです。その中で、飼育員達の間で話し合った行動展示の夢を絵として残し、それが旭山動物園復活の鍵となったんだとか。絵本作家として独立するきっかけも、動物園の機関誌などに描いていたイラストが注目されて、福音館書店から声がかかったんだそうです。凄い人やった!!

さて、それでは飲んでいきましょう。

上立ち香、米甘旨がやわらかく。
口当たりも、とろんとやわらかく入ってきて、旨酸じんわり現れます。お米の旨味とクラシックな酸。甘味はほとんどなけれど、やわらかいから飲みやすい。
含み香ほんのり乳酸アルが、やさしくふんわり鼻から抜けて、後味じんわり酸渋味。美味しい!

燗にもしてみましょう。少量だから簡単にレンジ燗で。熱燗(50℃)くらいに上げると、かなりすっきり。酸味中心ほのかな旨味。これはこれで美味しいんだけど、個人的には常温の方が好みです。

おだやかやさしいクラシック。晩酌酒ですね。クセもないから単体でも飲みやすいけど、食事に合わせた方が映えそうです。

 

アテは、大根と厚揚げの煮物。薄味なんだけど、いただきものの能登の魚醤を使ったからか、風味が豊か。お酒を合わせると、お米の旨味がほわあああっと一気に広がります。凄い!! ビンチョウマグロの漬けにも、当然のように合いました。

煮物の出汁が良い感じだから、出汁割りにもしてみましょう。すると味わいがさらにやさしくなって、後半に出汁とお酒の合わさった旨味がほわわん。
こないだ菊姫の素晴らしい出汁割りをいただいてから、自分の中の出汁割りの扉がちょっと開かれた感じ。奥が深そうで楽しいです。

ジブリで例えると「魔女の宅急便」のオキノさん。主人公・キキの優しいお父さんです。

好き度:★★★★

男山

男山

【DATA】
蔵元:男山株式会社(北海道旭川市)
造り:特別純米 生貯蔵
精米歩合:58%
アルコール度数:13% ・・・ 低い
製造年月:2025年6月

 

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丹波櫻 > ゴンザ(もののけ姫)[ジブリ酒]

丹波櫻たんばざくら 特別純米】

やわらか酸 ずどんと旨口 クラシック

丹波櫻

丹波櫻
丹波櫻
丹波櫻

はじめましてのお酒、丹波桜さん。兵庫県丹波篠山市・櫻酒造さんのお酒です。
櫻酒造さんは、1956年創業。戦後ですね。創業は山口県宇部市だったんですが、1963年に兵庫県明石市に移転、1985年に現在の丹波篠山市に移転しました。代表銘柄は「桜一文字」で「丹波櫻」は2021年に63年ぶりに誕生した新銘柄です。

そして、櫻酒造さんは、白鶴酒造さんのグループ会社。社長は、白鶴酒造社長の嘉納健二さんが兼任しています。ちなみにグループ会社には他に、桃川(株)や梅錦山川(株)などがあります。桃川も梅錦も、スーパーで時折見かける銘柄ですね。今回の丹波櫻さんもスーパーで購入しました。やっぱり流通に力を持ってるんでしょうね。

というわけで、今回の特別純米も、使っているお米は自家栽培の白鶴錦です。
白鶴錦は、その名の通り、白鶴酒造さんが開発した酒米。山田錦のお母さん・山田穂(やまだぼ)と、山田錦のお父さん(短稈渡船)の近縁種・渡船2号の間に生まれた子です。お父さんは行方不明だからお父さんと似てる親戚の男を連れてきたわけですね。つまり、白鶴錦ちゃんは山田錦の妹になるわけです。なんで弟じゃなくて妹かというと、妹の方がかわいいから。超優秀なお兄ちゃんにあこがれる妹です。

それでは飲んでいきましょう。

上立ち香、ほんのり乳酸、穀物旨甘。

口当たり、するっときれいにやわらか酸。それがふわっとふくらんで、後半一気に旨苦ずどん。
旨口クラシックですね。甘味は香りの中にはちゃんといるけど、味にはそれほど主張しません。

旨味も苦味もあるクラシックだから、やっぱりアテと合わせて本領発揮するタイプ。お酒を味見してからスーパーに買物に行って、用意したのはカツオの漬け。これ、30分ほど漬けただけで完成。でもお手軽なわりには、ごま油とニンニクと醤油が効いていて美味しい。そしてお酒を合わせると、あれだけ主張していたお酒の中の苦味がふわっと溶けて、お米の甘旨がほわわ!!うっま!! 予想通りの大当たりでした。

ジブリで例えると「もののけ姫」のゴンザ。エボシ様の側近の大男です。質実剛健。男くさくて、いかついけど、ちょっとかわいさもあります。

好き度:★★★☆

丹波櫻

丹波櫻
丹波櫻
丹波櫻

【DATA】
蔵元:櫻酒造株式会社(兵庫県丹波篠山市)
造り:特別純米
原料米:丹波篠山市産 自家栽培 白鶴錦
精米歩合:70%
アルコール度数:15~16% ・・・ 普通
日本酒度:+3 ・・・ ちょい辛
酸度:1.6 ・・・ 高め
アミノ酸度:1.2 ・・・ 低め
製造年月:2026年2月

 

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わかむすめ > 松崎良子さん(コクリコ坂から)[ジブリ酒]

【わかむすめ 薄花桜うすはなさくら 純米吟醸 無濾過生原酒】

甘苦が 色っぽいのに 上品に

わかむすめ

わかむすめ
わかむすめ
わかむすめ
わかむすめ

毎度おなじみ、わかむすめさん。山口県山口市・新谷酒造さんのお酒です。しょっちゅう飲んでる大好きな銘柄。今回は、日本酒系VTuber・おコメちゃんの生け花企画「 #酒月華ぷろじぇくと 」のテーマがお花見だったから、そりゃ薄花桜を飲むしかないと思って買ってきました。ちなみにこの写真、枝は啓翁桜、下の方の花はシレネ桜小町、お酒は薄花桜で桜づくしです。

薄花桜を飲めるのはこれで4年連続。薄花桜というのは、平安装束のかさねの色目。表は白・裏は薄紅(#f0908d)というい色の組み合わせで、白から透けた薄紅が桜色になるのが風情があります。ちなみに単色の薄花桜という色もあって、そちらはなぜか青っぽい色(#5a79ba)なんです。この場合の「花」は桜ではなくツユクサのことで、その花の色の青を指しているそう。

薄花桜
薄花桜

 

それでは飲んでいきましょう。

上立ち香、やわらか爽やか桃ライチ。ほんのりラムネのフルーティー。

口当たり、やらわかほの苦フルーティー。マンゴー甘味と甘夏酸味。ミネラル苦味もくっきりあって、おだやかガス感が舌をくすぐります。フルーティーな甘味ときれいな苦味がふんわりやさしくふくらんで、苦味がさらにじんわりと。
含み香ほわんと苦甘アル。ミネラル苦さとスイカの甘さ、きれいな爽やかアルコール。後味は、じんわり長いほの苦と、奥にわずかに甘い気配。それがふんわり溶けていき、すっときれいにいなくなります。
うっま!!!
苦味がはっきりあるのに、全体の印象がやわらかでかわいらしい。豊かな甘味があって色っぽいのに上品で、奥には芯があります。

少し放置したら、落ち着いてさらに美味しくなりそう。
っと思って1週間後。
あれ? 確かに苦味は少し落ち着いてるんだけど、味わい全体ではむしろ濃くなってる。面白っ!! 開栓直後と放置後、どっちも好きです。

 

ベビーチーズ いぶりがっこ
アテは、イオンのPB・ベストプライスのベビーチーズ「いぶりがっこクリームチーズ仕立てのベビー」。今いちばん推しているアテです。これ、税込113円とは思えない超コスパ。チーズがやわらかくて、ちゃんとクリームチーズ感とほんのりいぶりがっこ感があります。そして特に甘旨フルーティーなお酒に合います。わかむすめさんなんてばっちりすぎる!

ジブリで例えると「コクリコ坂から」の松崎良子さん。主人公・海ちゃんのお母さんです。やさしくて包容力のある超絶美人さん。しかも戦後すぐの時代に女性で単身留学するくらい優秀。苦味もあるんだけど、それよりも媚びない上品な色っぽさが印象的。

好き度:★★★★☆

わかむすめ

わかむすめ

【DATA】
蔵元:天領盃酒造株式会社(新潟県佐渡市)
アルコール度数:14.5% ・・・ 低め
製造年月:2025年12月

 

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雅楽代 > 翔(借りぐらしのアリエッティ)[ジブリ酒]

雅楽代(うたしろ) 鳴神(なるかみ)

新しい きれいな淡麗 辛口酒

雅楽代

雅楽代
雅楽代
雅楽代

半年ぶりの雅楽代さん。新潟県佐渡市・天領盃酒造さんのお酒です。
実は去年11月から蔵元の加登さんがYouTubeチャンネルでの配信を本格的に始められていて、最近よく見てるんです。自社のお酒だけじゃなく他社のいろんな美味しいお酒の紹介もされていて、それでいて蔵元ならではの視点もあってとても興味深いんです。

そんなこともあって、雅楽代さんを飲みたい熱が上がっていたところだったんです。そしたら立ち寄ったお店にちょうど置いてたから、ここぞと飛びつきました。

今回いただく鳴神はレギュラー銘柄なので、ここで天領杯酒造さんについて復習しておきましょう。

蔵元の加登仙一さんは、酒蔵の跡継ぎでもなんでもない一般家庭の生まれ。酒造りをしたいと思っていたわけでもありません。転機になったのは、大学時代のスイス留学。そこで、ブレイクダンス仲間が自国の文化を自慢しているのを聞き、自分が日本のことを語れない事にショックを受けんだとか。この時点でいろいろツッコミどころがあるんですが、ひとまず続けます。

帰国後、初めて日本酒専門のバーに行って飲んだお酒に感動し、加登さんは日本酒業界で起業することを決意します。そして大学卒業後、就職したのは証券会社でした。その理由は起業したときに活かせる財務や経営の知識を学べるからだと言いますが、やっぱりツッコミたくなる。でもまだまだ続きます。

で、起業するにも日本酒製造の免許が新規には下りないことを知り、蔵をM&Aで買い取ることにします。それが社会人2年目の時。そして目を付けたのが佐渡の天領盃酒造さん。理由は、財務状況がダントツで悪かったから。
なんでやねん!! もう、意味がわかりません。ツッコミどころが多すぎてパンクしそうです。

だけどそこから加登さんは、銀行の融資を取り付け、2018年に本当に蔵を買い取ってしまいます。当時24歳。当然のように全国最年少の蔵元でした。しかも当然、酒造りも経営も未経験。そこから蔵を改革し、発売したお酒・雅楽代はまたたく間に人気銘柄になります。異次元すぎて全く理解ができません。いろんな経営者のエピソードを聞くことはありますが、その中でもダントツで意味がわからない。だからめちゃくちゃ面白いし、カッコいい。一般人の常識的なツッコミなんて何の意味もなかったということですね。

なお、こんな経歴を見ると、加登さんはバリバリ意識高い系の尖がった若者というイメージになりますが、YouTubeチャンネルで話されているのを見ると、やわらかい話し方が親しみやすい好青年でした。イケメンですし。目先の売上のために流行の酒質に合わせるのではなく、自分たちの造りたい酒質を追求する姿勢にも共感します。

 

さて、雅楽代という銘は、お蔵さんの住所・佐渡市加茂歌代(かもうたしろ)に由来し、それと「びでしいとき」を掛けています。

そしてそもそもの加茂歌代という地名の由来は鎌倉時代、後鳥羽上皇の息子の順徳上皇にまで遡ります。1221年、順徳上皇は後鳥羽上皇と共に鎌倉幕府に対して挙兵します。それが世に言う承久の乱。ご存じのように承久の乱は鎌倉方が勝利を収め、後鳥羽上皇は隠岐に、順徳上皇は佐渡に流されてしまいます。
その佐渡で、順徳上皇は島の人々の歌(和歌)を気に入り、その返礼として土地を与えました。それが、歌の代わりの土地・歌代です。

ちなみに順徳上皇は歌人としても有名で、小倉百人一首には順徳院の名で「百敷(ももしき)や 古き軒端(のきば)の しのぶにも なほあまりある 昔なりけり」という和歌を残しています。これは百人一首の100番目、最後の歌です。昔の栄華を懐かしく思う歌なんですが、都に帰れないまま佐渡で生涯を終えた順徳上皇の気持ちを考えると、この歌の痛切さが身に沁みます。
また、小倉百人一首の撰者・藤原定家も、後鳥羽上皇・順徳上皇に仕えた人。この歌を100番目にすることで、かつての栄華に想いを馳せるとともに、百人一首1番目の天智天皇から始まった貴族社会の終わりを痛感していたのかもしれません。

雅楽代という銘は、そんな歴史も背負っているんですね。

そんな雅楽代さんは、流行の甘旨フルーティーではなく、「新しい新潟淡麗」、すなわち、「佐渡のやわらかな天然水と農家さんの努力が詰まった減農薬米によって造られた、キレイで軽くフレッシュなお酒」を目指して酒造りをされています。
その中でも今回の「鳴神」は、雅楽代の中で最も辛口のお酒とのこと。新しい新潟淡麗の辛口がどんなお酒なのか、楽しみです。
それでは、いただきます。

上立ち香、ごくおだやかに、お米の旨さ。

口当たり、小さくかわいい乳酸と、控えめピリっと微炭酸。酸が少し広がったかと思った次の瞬間にすっと消えて、やさしい旨味がじんわり残る。
含み香はほとんどなくて、後味も少し旨味があるけどすぐに溶けて消えます。

なるほど淡麗辛口。甘味も苦味もほとんどない、とてもきれいな辛口酒でした。淡いのに薄っぺらさは全くないのが不思議。これは確かに新しさを感じます。

 

合わせたアテは、ゴマかんぱち。これが大当たり。強くはないけどしっかりした魚の旨味と、ほんのり生臭さがあって、それがお酒に合います。お酒の旨味がアテの旨味によって、大きさは変わらないけど、奥行きが深くなりました。

ジブリで例えると「借りぐらしのアリエッティ」の翔。やさしくてきれいな男の子です。

好き度:★★★★

雅楽代

雅楽代

【DATA】
蔵元:天領盃酒造株式会社(新潟県佐渡市)
アルコール度数:14.5% ・・・ 低め
製造年月:2025年12月

 

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花風> 風になる(猫の恩返し)[ジブリ酒]

交酒(こうしゅ) 花風(はなかぜ)

華やかで 爽やかかわいい 酸苦味

花風

花風
花風
花風
花風

はじめましてのお酒、花風さん。秋田県男鹿市・稲とアガベさんのお酒です。クラフトサケのトップランナーですね。ようやく飲めました。ちなみに交酒とは、稲とアガベの岡住さんが提唱するクラフトサケの新しい呼び方です。

クラフトサケとは、クラフトサケブリュワリー協会の定義によると、「日本酒の製造技術をベースとして、お米を原料としながら従来の日本酒では法的に採用できないプロセスを取り入れた、新しいジャンルのお酒」。つまり、日本酒ではありません。日本酒の製造免許って、既存事業者保護のため、新規発行がほぼされない状況なんです。その是非はここでは一旦置いときますが、その状況でも酒造りを志す醸造家たちが選んだ手段が、日本酒っぽいけど日本酒じゃないお酒を造ること。多くは、日本酒造りの工程で副原料を使って、あえて日本酒を名乗れなくしています。日本酒じゃないなら、比較的取得しやすい「その他の醸造酒」の製造免許で造ることができるんです。僕もこれまで、LIBROMさん翔空さん平六醸造さんWAKAZEさんなんかを飲んできました。

そして稲とアガベを設立した岡住さんは、そのクラフトサケの草分けの一人で、クラフトサケブリュワリー協会の会長も務められています。岡住さんの物語もとても面白いんですが、それを語り出すとそれだけでめちゃくちゃ長大な記事になってしまうので、今回は割愛します。ただ、クラフトサケは今日の日本酒業界にとってとても大きな動きになっているんです。

でもそんなクラフトサケにも、ひとつ大きな弱点があります。それが、価格。クラフトサケの醸造所は小規模なところが多く、スケールメリットを出せないためにどうしても価格が高くなってしまいます。それが僕があまりクラフトサケを飲めてない理由のひとつ。他にも買いたいお酒がたくさんある中で、高価格だとどうしても後回しになるんですよね。また、高いお酒は飲食店では置きにくいので、外飲み中心の僕のような飲み手は出会う機会が少ないです。

その弱点は、もちろん造り手の方々も重々ご存じです。そしてその回答として開発されたのが、この花風。副原料としてホップを使ったお酒です。
岡住さんは、「量産できて価格も低いクラフトサケをリリースすることによってクラフトサケを文化にする」という志を掲げ、2024年2月に花風を発売されました。ちなみにリリース時の価格は、四合瓶(720mL)で税抜2100円。今は少し値上がりして、税抜2200円になっています。安いとまでは言えませんが、今日日これくらいの価格のお酒は普通にありますね。

どのように低価格を実現したか?
稲とアガベさんのWEBメディア「海と」の2024年2月21日付記事によると、通常は30~35日かけてゆっくり発酵を進めていたものを、20日間くらいの発酵期間でも美味しいお酒を造れるように試行錯誤したんだそう。その分、タンク1本あたりの製造量は大きくなり、価格を下げることが可能になります。無理に速く製造すると質が落ちるんじゃないかとの懸念もありますが、「これまでの「稲とホップ」より美味しいものができている自信がある」んだそう。

 

それでは飲んでいきましょう。

色は、わずかに薄くオレンジ色。
香りは爽やかレモンとホップ。かわいらしくて気持ち良い酸苦ふわっと立ってます。

口当たり、くっきりレモンと微炭酸。はっきり主張する酸の後ろから、ピチピチ炭酸弾けます。遅れて苦味もぐぐっとふくらみ、豊かにふわっと抜けていく。甘味旨味は控えめで、グレープフルーツのような華やか酸苦がくっきりと。

苦味がやっぱり特徴的。爽やかホップが活きています。ビールで言うと、日本で一般的なピルスナータイプではなく、エールタイプのフルーツビールのような苦味です。

アテは、今回は閉店間際だったから見送ったけど、ポテサラが絶対合いそう。ここのお店のポテサラはめっちゃかわいいんですよね。前回の分を貼っておきます。

 

ジブリで例えると「猫の恩返し」の主題歌「風になる」。爽やかで軽やかな名曲です。映画本編よりも好きなくらい大好きな曲です。爽やかで、かわいいけれどあんまり甘くない。フレッシュだけどちょっと大人になった感じ。

好き度:★★★★

 

花風

花風

【DATA】
蔵元:稲とアガベ株式会社(秋田県男鹿市)
造り:原酒 にごり酒
原材料:米、米麹、ホップ
原料米:秋田県産米
精米歩合:90%
アルコール度数:14% ・・・ 低め
製造年月:2026年1月

 

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