【永平寺白龍 純米大吟醸 三世 】
なめらかな お米と蜜の 甘ふわり




お久しぶりの白龍さん。福井県吉田郡永平寺町・吉田酒造さんのお酒です。前回飲めたのは2023年なんですが、しばらく飲めていない間の2024年に、永平寺白龍という銘柄名にリブランディングしていました。
吉田酒造さんは文化3年(1806年)の創業以来、地元の米と水にこだわった酒造りを続けてきました。1990年には、6代目蔵元の故・吉田智彦さんが山田錦の自社栽培にも着手。山田錦の栽培は福井県では初めてで、当時は山田錦栽培の最北端でした。
現在酒造りを牽引されているのは、智彦さんの二女の吉田真子さん。真子さんは、2015年春に関西大学経済学部を卒業。智彦さんが体調を崩されていたことで、大学卒業後すぐに実家に戻って酒造りの道に入ります。しかし同年12月、智彦さんは残念ながら54歳の若さで亡くなってしまいました。
そこで、智彦さんの奥さんの由香里さんが蔵を継いで7代目蔵元に就任され、真子さんのお姉さんの祥子さんも営業責任者として蔵を支えます。しかし、翌年には高齢だった杜氏さんが腰を痛めて引退。大ピンチです。それでも2016年度の造りは真子さんが杜氏代理としてなんとか乗りきることができました。
翌2017年、家族会議の結果、真子さんが杜氏に就任することが決定。北海道にできたばかりの上川大雪酒造さんで修行した後に、戻ってきて正式に杜氏としての酒造りが始まります。その時、真子さんはまだ24歳。当時最年少の女性杜氏だったそうです。とんでもないプレッシャーだと思います。最初に上槽したときのことは緊張であまり覚えていないそうですが、祖母の澄子さんは、思わず涙をこぼしたんだそう。
そうして家族ぐるみで酒造りをされている吉田酒造さん。真子さんが杜氏になってから全量純米酒化を実現し、智彦さんの夢であった、永平寺の水・米・人で醸す「永平寺テロワール」をコンセプトとして掲げられます。そしてその思いの表れが、2024年の、「白龍」から「永平寺白龍」へのリブランディングに結び付くのでした。
とまあ、ここまではいろんな記事で語られている感動ストーリー。でもこのリブランディングには、日本酒に詳しい方なら気付いている理由があと3つあります。
1つは、同じ永平寺町にある黒龍酒造さんの存在。黒龍さんは、日本酒マンガの金字塔「夏子の酒」で最大のライバルとして登場する銘柄「美泉」のモデルになったくらいの超有名高品質銘柄。黒龍と白龍でちょうど良い対比にはなっていましたが、ブランドとしてのバランスは気にされていたかと思います。
そして2つ目が、新潟にある白龍酒造さんの白龍。おなじ銘柄を造っていますが、吉田酒造さんと白龍酒造さんは、お互い尊重し合う良好な関係です。とは言え、消費者にとってややこしかったのは事実でしょうね。
3つめは、永平寺というお寺のブランド価値。お蔵さんのある永平寺町は、その名の通り、鎌倉時代に建立された曹洞宗の大本山・永平寺の門前町です。永平寺は年間50~60万人が訪れる、福井を代表する観光地。そりゃあやからなきゃ。
そんな普通の記事では書かない事情にも触れましたが、だからと言ってこのリブランディングの価値が下がることはありません。僕は、ブランド価値を上げるとともにテロワールというコンセプトも明確にした、素晴らしいリブランディングだと思います。
今回いただくのは、リブランディング後の永平寺白龍の最高峰クラスの純米大吟醸・三世です。お米は、自社および契約栽培の田んぼからその年最高の出来となる山田錦を厳選。35%まで磨いて白山水系の伏流水で醸しています。「三世」という銘柄名には、永平寺町の「米・水・人」、「過去・現在・未来」という悠久の時間の流れ、そして「祖母・母・娘」の三世代という、三つの世界観が込められています。お値段は四合瓶で5500円の高級酒。
そんな想いのこもったお酒を、リブランディング後に初めていただくんです。心して飲んでいきましょう。ちなみに酒器は、越前焼のぐい飲みです。
上立ち香、米旨酸と、アルぽわん。ほんのり甘コクも感じます。ひとつ前の立山さんに続いての35%磨き高級酒ですが、性格はけっこう違いますね。
口当たり、なめらかとろんと酸甘味。甘味は最初はお米が中心だけど、それがほわっとふくらんで、はっきりとした蜜の甘味に変化します。
含み香はおだやかな甘さがふんわり立って、それを後半の辛口感がズバッと切って、渋味がじんわり。
美味しいです。ただこれ、少し違和感を感じて裏ラベルを見たら2025年9月製造。瓶に残ったお酒も黄色く色付いてますし、蜜の甘味も少し熟成っぽい。老ねてはいないんだけど、元々の味わいからは変化してる可能性があります。本来はもう少しフルーティーなんじゃないかな? このお酒を飲んだことのある方、よろしければどんなだったか教えてください。
ジブリで例えると「カリオストロの城」のルパン。実力のある甘口なんだけど、中年としての苦渋がクラリスを抱きしめるのを躊躇させます。人間的には成長しているということなんですけどね。
はい。ご想像の通りです。三世という名前に引っ張られていることは否定しません。
好き度:★★★★
教員やってたらわかる人多いと思うんだけど、
— toちゃん(十勝で子育てどうでしょう) (@aerolitkurofune) 2023年11月14日
先生に憧れる(恋愛感情を持つ)生徒って一定数いて、その子に対して、カリオストロの城のルパンみたいに優しく諭したり、正しい道に導いてあげるのが、大人だと思うんですよね。 pic.twitter.com/phVHpWWL4Z


【DATA】
蔵元:吉田酒造株式会社(福井県吉田郡永平寺町)
造り:純米大吟醸
原料米:福井県永平寺町産 山田錦
精米歩合:35%
アルコール度数:16.5% ・・・ 高め
日本酒度:-3 ・・・ ちょい甘
酸度:1.6 ・・・ 高め
製造年月:2025年9月
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