【又兵衛 いわき郷 純米酒】
やわらかい どクラシックな 辛口酒
ひとつ前の黒田武士 太兵衛からの又兵衛!!
歴史に詳しい方ならピンとくるはず。これ、ただの兵衛つながりじゃないんです。
太兵衛は、銘柄名・黒田武士が示す通り、軍師黒田官兵衛に仕えた戦国武将・母里太兵衛のことでした。そして黒田家臣団の中で母里太兵衛と並んで勇名を轟かせていたのが後藤又兵衛。関ヶ原の戦いでも活躍し、16,000石の城持ちになるものの、主君・黒田長政との不仲から出奔し浪人になってしまった武将です。その後、大坂の陣に参戦。大活躍して真田信繁(幸村)や長宗我部盛親と共に大阪五人衆に数えられます。奮戦むなしく夏の陣で討ち死にするものの、その活躍は講談や軍記物語などで描かれ、豪傑として知られています。
そんなわけで、黒田家臣飲み比べです。冷蔵庫の中に太兵衛と又兵衛の両方を見つけたときには、ちょっと興奮しましたね。こんなことあるのかと。
ただ、母里太兵衛も後藤又兵衛も、そこまで有名な武将というわけでもありません。僕も大河ドラマ「軍師官兵衛」を見るまで知りませんでしたし。お店でも気づいてる人はいなかったっぽい。
ついでに言うと、こちらの又兵衛は福島県いわき市・四家酒造店のお酒。後藤又兵衛とは全く関係ありません。名前の由来は、創業者の四家又兵衛さん。よくある創業者の名前を銘柄名にしたパターンですね。
四家酒造店さんの創業は1845年。初代又兵衛さんが、お酒が好きすぎるあまりに自分のために酒造りを始めたんだそうです。うん、母里太兵衛さんに劣らず酒好きだった。
主要銘柄は今回の又兵衛。全く知らなかった銘柄ですが、地元消費率95%とも言われ、地元いわき市では知らない人はいないほどの知名度を持っているそうです。
そんな銘柄に会えたのはありがたい。それでは、いただきます。
香りは控えめで、ほんのかすかに酸と旨。クラシックっぽいですね。
口当たりは太兵衛と同じく水のよう。でも、太兵衛よりもだいぶやわらかいですね。そこから旨酸がほわっと出てきて、旨酸じわんと残ります。甘味のほとんどない、どクラシックな辛口酒。含み香もほとんどなくて、後味渋味がじわじわん。
この渋味はやっぱり食中酒ですね。でも、赤カブ漬けはあんまりでした。脂の乗った赤身のお刺身なんかが良さそうです。
ジブリじゃないけど例えると、手塚治虫先生の描く後藤又兵衛。僕も今回調べててはじめて知ったんですが、手塚先生、後藤又兵衛の漫画を描いてるんです。クラシック辛口で武将らしさがありつつ、手塚タッチのやわらかさがちょっとかわいい。
好き度:★★★☆
©手塚治虫
【DATA】
蔵元:合名会社 四家酒造店(福島県いわき市)
造り:純米酒
アルコール度数:15% ・・・ 普通
日本酒度:+4 ・・・ 辛口
酸度:1.7 ・・・ 高め
製造年月:2024年2月
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