こるね酒

原則毎日AM11時更新+α。日本酒好きのホルン吹きです。飲んだお酒を、ジブリ映画のキャラやシーンに例えながら紹介します。異論反論大歓迎。日本酒に詳しくない方でも、ジブリ作品に詳しくない方でも楽しんでいただけるように書いていきます。

雅楽代 > トンボ(魔女の宅急便)[ジブリ酒]

雅楽(うたしろ) 玉響( たまゆら) 真吟

桃甘の 奥にしっかり 芯があり

雅楽代

雅楽代

お久しぶりの雅楽代さん。新潟県佐渡市天領盃酒造のお酒です。
飲むのは約1年ぶりなんですが、天領盃酒造さんは設備投資をがんばっていて、今年からさらに美味しくなっているという噂。楽しみです。

天領盃酒造さんは、なんと言っても、蔵元杜氏の加登仙一さんの経歴が面白い!

以下、前回のレビューの時の文章を一部修正して再掲します。

加登さんは大学時代、スイスに留学します。そこで、ブレイクダンス仲間が自国の文化を自慢しているのを聞き、自分が日本のことを語れない事にショックを受けんだとか。この時点でいろいろツッコミどころがあるんですが、ひとまず続けます。

帰国後、初めて日本酒専門のバーに行って飲んだお酒に感動し、日本酒業界で起業することを決意。そして大学卒業後、就職したのは証券会社でした。起業したときに活かせる財務や経営の知識を学べるからだと言いますが、やっぱりツッコミたくなる。でもまだまだ続きます。

で、起業するにも日本酒製造の免許は新規にはおりないことを知り、蔵をM&Aで買い取ることにします。それが社会人2年目の時。そして目を付けたのが佐渡天領盃酒造さん。理由は、財務状況がダントツで悪かったから。
なんでやねん!! もう、意味がわかりません。ツッコミどころが多すぎてパンクしそうです。

だけどそこから加登さんは、銀行の融資を取り付け、2018年に本当に蔵を買い取ってしまいます。当時24歳。当然のように全国最年少の蔵元でした。しかも当然、酒造りも経営も未経験。そこから蔵を改革し、発売したお酒・雅楽代はまたたく間に人気銘柄になります。異次元すぎて全く理解ができません。いろんな経営者のエピソードを聞くことはありますが、その中でもダントツで意味がわからない。だからめちゃくちゃ面白いし、カッコいい。

雅楽代というブランドの由来は、お蔵さんの住所・佐渡市加茂歌代(かもうたしろ)。それと、「雅びで楽しい代(とき)」を掛けています。
定番商品の玉響は「ほんの少しの時間」という意味の大和言葉。振り返ればアッという間に終わってしまった、というような楽しい時間を彩るためのお酒です。

今回のお酒は、その玉響の真吟精米バージョン。真吟精米とは、要するに扁平精米。従来のお米を丸く削る球形精米とは違い、お米を平らに削る方法です。そうすることで、お米をあまり削らなくても、効率的に雑味の元となる外側のタンパク質を除去できます。

とまあ、語りたいことが多すぎるお酒なんですが、ようやく飲んでいきましょう。

香りはきれいなほの苦で、甘くないラムネのような爽やかさ。それからお米の旨さもほわん。お!カッコいい!!

口に含むとピリシュワと、桃の豊かな甘酸味。奥から爽やか苦味がじわり。そしてきれいに消えていく。
うっっま!!!
フルーティーモダンなのに、しっかりとした芯もあって、じんわりウママ。アルコールは15度と普通で、しかも原酒なのに、軽やかです。いつまでも飲めそう。凄い!!


アテは、突き出しで出てきた冷や汁。出汁が効いててめちゃくちゃ美味しい。突き出しじゃなくて、これ単体で注文したい美味しさ。そして、その出汁の旨味がお酒と合わさって、激ウマ!!
この冷や汁、あまりに美味しかったから、作り方のコツを聞いて、後日、家で再現してみました。とあるひと手間を加えることで美味しさがぐっと深まります。


ジブリで例えると「魔女の宅急便」のトンボ。甘くて軽く見えるのに、意外にしっかりしています。しかもまだ14歳(原作設定)なのに、仲間と一緒に人力飛行機を作り上げるくらい優秀で、そのパイロットを任されるくらい人望もある。若くて凄い奴です。

好き度:★★★★☆

雅楽代

雅楽代

【DATA】
蔵元:天領盃酒造株式会社(新潟県佐渡市)
造り:原酒
原料米:佐渡ヶ島産米
アルコール度数:15% ・・・ 普通
製造年月:2023年6月

 

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