【天平 上撰 本醸造五年古酒】
旨苦渋 ズドンと響く 熟成酒
はじめましてのお酒、石川県七尾市・布施酒造店さんの天平です。
これ、「てんぴょう」じゃなくて「てんぺい」なんですね。なんでも、かつて近くにあったお寺・天平寺に由来するそうです。天平寺は、かつては末社80余社、坊院360余、僧坊3000人を従える一大山岳霊場でした。でも、戦国時代の2度の全山焼き討ちと、明治の廃仏毀釈によって衰亡したんだとか。
布施酒造店さんは、明治9年(1876年)創業。近年は長期貯蔵専門として、3年・5年・10年古酒を販売されています。ラベルの絵は、東京芸大出身の長男さんのものだそう。
お蔵さんがある七尾市は、能登半島の中ほど。
地図を見た感じ、1月1日の地震では、震度はおそらく6弱。海のすぐそばなので津波も来たかもしれません。公式サイトもなく、Xでの発信もされていないので、詳細が全くわからなかったんです。でもその後、別の方にXで情報を教えていただきました。その方によると、建物にひびが入り、酒造機器も損傷したものの、建物自体はご無事だそうです。良かった。
今回のお酒は、5年熟成。製造年月は2023年12月なので、ついこないだなんですよね。それからすぐ後に大変なことになりましたが、応援したいと思います。
それでは、飲んでいきましょう。
色は、若めのウイスキーみたいな金色。
香りはやさしい熟成酸旨。乳酸と、なぜかほんのり干し椎茸。まちがいなく熟成はされてるんだけど、おだやかな香りですね。ただ、甘くはなさそうです。
口に含んでも、やっぱりおだやか酸旨味。
でも、お酒が口の中で空気に触れた瞬間、熟成旨苦酸が爆発します。旨味苦渋ズドンと響き、酸もフレッシュさなんて全くない乳酸と酢酸。やっぱり甘味はほとんどなくて、いかにも熟成辛口普通酒。
最後は、アル旨熟成含み香が鼻に抜けつつ、渋旨後味がズズズン。
これは単体で飲むお酒じゃないですね。中華のようなしっかり味の食事に合わせたい。
ここで食べたわけじゃないけど、僕が自分のレシピから合わせるなら「至高のチンジャガロース」。リュウジさんの「至高のチンジャオロース」のタケノコをジャガイモで置き換えたものです。味付けがバズレシピだからもう間違いない。ほんのり甘味のあるしっかり旨味に合いそうです。
ジブリで例えると「天空の城ラピュタ」のハラ・モトロ。タイガーモス号の機関士の「怒らせるとママより怖い」じっちゃんです。ツン熟成分が多めの職人気質で、海賊の中でも怖がられている存在。でも実はちゃんとパズーを心配してる。ラストシーンで、パズーとシータが乗った凧がドーラ一味と再会するとき、ほかのみんなが「シータだ!」って言ってる中、このじっちゃんだけが「小僧だ!」って叫んでるんです。
好き度:★★★☆
本日のお絵描きは
— 猫山オモチ (@nekoyamaomochi) 2023年7月9日
「天空の城ラピュタ」より
整備士ハラ・モトロでした
#REALITYで描いてみた
#REALITYイラスト部 pic.twitter.com/xppZwbfssF
【DATA】
蔵元:合資会社 布施酒造店(石川県七尾市)
造り:本醸造 5年熟成
アルコール度数:15~16% ・・・ 普通
製造年月:2023年12月
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