こるね酒

原則毎日AM11時更新+α。日本酒好きのホルン吹きです。飲んだお酒を、ジブリ映画のキャラやシーンに例えながら紹介します。異論反論大歓迎。日本酒に詳しくない方でも、ジブリ作品に詳しくない方でも楽しんでいただけるように書いていきます。

巖 >ニシンのパイを作るおばあちゃん(魔女の宅急便)[ジブリ酒]

(いわお) 十一代 旨味純米酒

おだやかな やさしい蜜に 包まれて

巖

巖
巖

はじめましてのお酒、巖さん。群馬県藤岡市・高井(株)さんのお酒です。
「巖」は「巌」の旧字体。意味としては、岩とか、ゴツゴツした大きな石とかです。巌窟王とか、君が代の歌詞に出てくる「巌となりて」くらいでしか見たことのない字。漢検1級 / 準1級レベルの漢字です。

銘柄名の由来は、西郷隆盛の甥であり、日清日露戦争の英雄にして「陸の大山、海の東郷」と云われた大山巖 元師・陸軍大将の名前だそう。なるほど、漢字のイメージに違わずいかついですね。

高井(株)さんは享保14年(1729年)に初代・高井作右衛門さんが創業。最盛期は3000石(一升瓶換算で30万本)を造っていたのですが、最近はかなり生産量を落としていたそうです。そんな中、2022年に10代目高井作右衛門さんが逝去。その頃には既に資金繰りが破綻し、会社存続の危機に直面していました。

そんな酒蔵を継いだのが、現在の社長・伯耆原幹夫さん。それまでホームページはおろかチラシさえ作っていなかった蔵を救うべく奔走し、昨年はクラウドファンディングも立ち上げて目標比145%の433.8万円を調達されています。
僕はそのクラファンは知らなかったのですが、読むと応援したくなりますね。ぜひ無事に300周年を迎えてほしいです。

今回のお酒「十一代」は、高井家11代目・高井幹人さんのこと。いろいろ調べると、高井幹人さん、凄い方みたいですね。慶應義塾大学商学部に入学後、京都大学文学部へ転学。卒業後は一般企業の営業職として働きますが、29歳で家を継ぐ決意をして実家に戻られます。そこから酒造りを始められて、かなりファンも付いていたよう。ファッション・カルチャー雑誌・GQ JAPANに、2013年の記事が残っていました。

しかし、2020年頃、高井幹人さんは実家を離れられます。何があったのかはわかりません。でも、それを残念がる声をあちこちで見ました。現在はどこかの酒蔵で酒造りをされているようです。

このお酒は、2023年に発売されたもの。上記クラウドファンディングの活動報告によると、「高井家十一代目が精魂込めて仕込んだお酒に、満を持して陽の目を浴びる機会が訪れました」とのこと。群馬県前橋市の酒販店・高橋与商店さんのサイトには『高井の営業さんと問屋の担当者と以前会話した内容から察すると高井幹人氏が醸した純米酒ブレンドしたものと思います』と書かれていました。『蔵に眠っている当時の幹人氏が醸したお酒は、恐らくこれが最後になるのではないかと推測します』とも。

実はこのお酒を選んだのは、単に11という数字が入ってたから。僕は数字の付いたお酒をいろいろ飲んでるんですが、11~20では11と15だけがまだだったんです。でも偶然に、とても貴重なお酒に巡り合えたみたい。心して飲んでいきましょう。


香りはとてもおだやかで、ほのかに蜜甘熟成感。熟成感がやさしくて、ほわほわ気持ち良い。あ、これは美味しいやつ。

口当たりはきれいにするり。そこから軽い熟成っぽい蜜甘酸がふわり。味と言うより含み香が熟成な感じですね。甘味酸味がほわっとふくらんできれいに消えていきます。
うっま!!!

熟成感はありますが、劣化はまったく感じず、おだやかな蜜甘と乳酸がやさしく包んでくれます。美味しかった~。


アテには、さつま揚げを注文。ここのさつま揚げ、やさしい甘味としっかり旨味で好きなんですよね。お酒にもばっちり合いました。

ジブリで例えると「魔女の宅急便」の老婦人。ニシンのパイや、キキへのプレゼントのケーキを焼いてくれる人。きれいな歳のとり方をしていて、上品なやさしさで包んでくれます。

好き度:★★★★☆

巖

巖
巖

【DATA】
蔵元:高井株式会社(群馬県藤岡市)
造り:特別純米
精米歩合:60%
アルコール度数:16~16.5% ・・・ 高め
日本酒度:+2 ・・・ ちょい辛
酸度:1.5 ・・・ 普通
製造年月:2023年8月


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