こるね酒

原則毎日AM11時更新+α。日本酒好きのホルン吹きです。飲んだお酒を、ジブリ映画のキャラやシーンに例えながら紹介します。異論反論大歓迎。日本酒に詳しくない方でも、ジブリ作品に詳しくない方でも楽しんでいただけるように書いていきます。

[特集]鬼ころし

鬼ころし

鬼ころしというお酒をご存じの方は多いでしょう。コンビニやスーパーで普通に売ってますしね。僕は、鬼ころしはパックで売ってる安いお酒で、年配の方が飲むものという印象を持っていました。同じような印象を持っている人は多いんじゃないかな?
でも、実際にはどうなんでしょう? 僕も鬼ころしを飲んだことはないですし。というわけで、コンビニで売ってるメジャーな鬼ころし3種類を買ってきました。これを飲み比べするとともに、鬼ころしについて深掘りしたいと思います。

 

鬼ころし、飲んだことある?

と、その前に、みなさん鬼ころしって飲んだことあるのか?美味しかったのかのアンケートを取ってみました。ご協力いただいたみなさん、ありがとうございました。

これは面白い結果が出ましたね。最も多いのは、「飲んだことある&好き」という回答。飲んだことがある人の中では過半数が好きと答えていますが、苦手という方もけっこういます。一方、飲んだことのない人では「苦手そう」が圧倒的。つまり、大多数が飲まず嫌いということです。飲んだら意外に美味しいかもしれませんよ。
ただし、このアンケートの回答者は、僕のブログの読者さんやフォロワーさんを中心に、日本酒が好きな方が多いと思われます。日本人全体の意見とは異なる場合があることにご注意ください。

 

鬼ころしってどんなお酒

さて、まずは鬼ころしとはどんなお酒なのかについて調べてみましょう。鬼ころしは辛口のお酒の代名詞ともなっており、実際に辛口が多いようですね。
Wikipediaによると、鬼ころしは「鬼のように頑強な男でも酔い潰れてしまうほど純度の高い酒」とのこと。
ちなみに元ネタは平安時代にまで遡ります。実在の武将・源頼光大江山に住んでいた鬼・酒呑童子(しゅてんどうじ)を酔わせて打ち取ったという伝説が元々の由来。そこから、鬼も退治できるほどのお酒を鬼ころしと呼ぶようになりました。

ただ、個人的にはひとつ疑問があるんです。
「大江山絵詞」でも「御伽草子」でも、酒呑童子を酔い潰したお酒って、毒酒なんですよね。そんな名前を付けていいのかな?

 

鬼ころしの歴史

先程「3種類買ってきた」と書いた通り、鬼ころしは単一の銘柄ではなく、いろんなお蔵さんから発売されています。Wikipediaには19種類が載っていますね。一説には100を超えるとも言われています。でもこの「鬼ころし」という名称、いつからあるのでしょう?
調べても確実な答えは見つからなかったけど、ある程度の目星は付けることができました。

元祖・鬼ころしを称しているのは、岐阜県高山市老田(おいた)酒造店さんの「飛騨自慢 鬼ころし」。老田酒造店さんは1720年(享保5年)創業。第8代将軍・暴れん坊・徳川吉宗公の治世で、享保の改革の真っ只中。江戸に町火消「いろは組」が作られたのがこの年です。老田酒造店さんの公式サイトには、年代は明記されていないものの、『古い時代より辛口の酒を造り、地元の方々より「老田の鬼ころし」として愛飲され続けています』と書かれています。また、exciteニュースに老田酒造店に伺ったという記事があり、そこでお蔵さんが「おそらく当社が“鬼ころし”を作った最初の蔵だと思います」と語られています。

そしてもうひとつ参考になるのが、同じく多数のお蔵さんから出ている「正宗」。前に櫻正宗さんの記事で書いたように、正宗という銘柄も多数のお蔵さんが使っています。その発祥も1840年と江戸時代。元祖・櫻正宗さんの正宗が有名になったため、マネをする酒蔵が次々に現れました。まあ、商標の制度もない時代ですからね。その後、明治17年(1884年)に日本最初の商標法である「商標条例」が制定されます。でもその頃には、あまりに正宗というお酒が多すぎて普通名称扱いされていまい、櫻正宗さんは正宗の商標を取れなかった。鬼ころしもこれ同じじゃないでしょうか?
つまり、鬼ころしが誕生したのは、江戸中期から明治初期までのどこかという推測ができるわけです。

 

鬼ころしを飲んでみよう

今回飲んだのは、清洲城信長日本盛武蔵之国一之宮の3本。いずれもコンビニで買ってきたものです。細かいレビューやお蔵さんの紹介については個別の記事を見ていただくとして、ここでは比較表を見てみましょう。

鬼ころし 比較

価格はどれも1合で100円ちょっと。かなり安いですね。今回は紙パック3種だけですが、ほかにいくつか調べた他社の鬼ころしも、安いものが多かったです。
製法については、清洲城信長さんと日本盛さんが糖類・酸味料を添加している典型的な安酒なのに対して、武蔵之国一之宮さんはアル添のみというところがとても好印象。
味わいはどれもやっぱり辛口寄りですが、清洲城信長さんは日本酒度が普通の範囲の+1ですし、比較的飲みやすかったです。後味は、武蔵之国一之宮さんが、妙なべたつきが無くて良いですね。
好き度は3本で見事に分かれました。ちなみに2023年に僕が飲んだ372杯の好き度分布はこんな感じ。
  ↓

好き度

これを見ると、鬼ころしは全体的に低いのがわかります。ただこれは、僕がどちらかと言うと甘口の方が好きだからということが影響しています。

 

鬼ころしはどんな人におすすめ?

もちろん僕が飲んだのは今回の3本だけです。他にタイプの違う鬼ころしもあるかもしれません。でもあえて、今の状態で鬼ころしをおすすめするとしたら、普段から日本酒を飲み慣れていて、辛口が好きな人、もしくは、単に速く安く酔いたい人です。
初心者さんにはおすすめできません。正直、あんまり飲みやすくはない。辛口のお酒は、単体で飲むよりも料理と合わせて力を発揮するタイプが多いので、より美味しく飲むなら合うアテが欲しいですね。お店ならそのあたりを店員さんに頼ることもできますが、鬼ころしって居酒屋ではあんまり見ないんですよね。
ちなみに、1円あたりのアルコール含有量で言うと、どれもだいたい0.2ml/円くらいで、ストゼロとだいたい同じです。どちらを飲むか、またはどちらも飲まないかはお好みで。


という訳で、鬼ころしの特集でした。僕の好みではないものもありましたが、ひとえに鬼ころしと言っても思った以上に差があったのが面白かったです。
なお、僕の好みのお酒を知りたいという方がいらっしゃったら、こちらの記事をご覧ください。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


更新履歴:2024/4/14 アンケート集計完了を受け、「鬼ころし、飲んだことある?」の部分を改訂しました。

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