こるね酒

原則毎日AM11時更新+α。日本酒好きのホルン吹きです。飲んだお酒を、ジブリ映画のキャラやシーンに例えながら紹介します。異論反論大歓迎。日本酒に詳しくない方でも、ジブリ作品に詳しくない方でも楽しんでいただけるように書いていきます。

わかむすめ > 松崎良子さん(コクリコ坂から)[ジブリ酒]

【わかむすめ 燕子花(かきつばた) 純米大吟醸 無濾過生原酒】

上品で カッコいいのに 色っぽく

わかむすめ

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どれを飲んでも甘じゅわで、めちゃくちゃ美味しい わかむすめさん。
今回は、ちょっと気合が入ってます。だってこちら、精米歩合40%の純米大吟醸。お値段もそこそこお高いです。正直、買うかどうか迷ったんですよね。でも、お高いからこそ居酒屋さんにはなかなか入らない。だったら自分で買うしかない。というわけで、売っているお店を調べ、電車を乗り継いで初めての酒屋さんに伺い、買ってきました。

と、ここでひとつだけ言い訳。トップ写真のお花、これ実はカキツバタじゃなくてアヤメです。お花屋さんに聞いたら、カキツバタが入るのはもうちょっと後になるとのことだったので、近所で育ててたアヤメさんと一緒に撮らせてもらいました。

ただ、この燕子花という名前、花の名前じゃなくて、わかむすめさんの他のお酒と同じで平安装束のかさねの色目です。わかむすめさんのことをもっと知りたくて読んだ「素晴らしき装束の世界」という本にもちゃんと出ていました。

このあたりのことは、語りたい雑学がたくさんあるんです。でも、いつまでたってもお酒にたどり着けなくなるので、下の方に載せておくことにします。
まずは、燕子花さんを飲んでいきましょう。

上立香、ほんのり上品フルーティー。メロンとキウイと青リンゴ。爽やかミントとフローラル。かすかに感じる青草の苦さも爽やか心地よい。
おだやかだけど、品があって素晴らしいです。

口に含むと、フルーツ甘酸やさしくじゅわん。そこから、甘酸がふわんと上品にふくらみます。奥の苦味もまた品が良くて、それが最後にじわっと主張するのも素敵。これは惚れる!!

含み香は、甘酸苦アル優しくツン。口いっぱいに広がって、ふわっと鼻に抜けていきます。

はああああ、好きすぎる。優しいのに芯があってしっかりしてて、カッコいいのに色っぽい。

お!! 今ちょっと席を外してて戻ってきたんですが、常温くらいまであたたまっても、めちゃくちゃ美味しい!

2日目も、ますます色っぽいですね。とは言え、とろ甘エッチな感じじゃなくて、上品で抑制が効いているのに艶やかな香りを隠し切れない、知的な色っぽさ。
派手じゃないし、突出した何かがあるわけじゃない。でも、全てにおいて非の打ち所がない。
凄いお酒です!!

いぶりがっことクリームチーズのおつまみポテトサラダ
アテは、ファミマで見つけた新商品・いぶりがっこクリームチーズのおつまみポテトサラダ。なにこの日本酒を飲めと言わんばかりのポテサラ。ファミマさんわかってるなあ。味わいがそんなに強くないのも良い感じ。フルーティーなお酒に合わせたいですね。もちろんわかむすめさんにも合います。

他にも、フルーティー系のお酒が合うアテならまあだいたい合いそう。でも、どこか物足りなかったんですよね。そこで思い出したのが、2021年に423杯中1位になったお酒「梵 超吟」。このお酒、いちばん合ったのは白米だったんです。この時と同じように、ご飯を噛んで噛んで噛んで噛んで、甘味をしっかり出したところに、わかむすめさんを流し込みます。するとその瞬間から、華やかぱああああ! お酒の甘さがお米の甘さと溶け合って、艶やかアルコールが花開きます。うおおおお、これだ!!! 至福!!

ジブリで例えると「コクリコ坂から」の松崎良子さん。主人公・海ちゃんのお母さんです。こんな知的で美人で優しくて色っぽいお酒、例えるのは彼女しかいないでしょ。
戦後すぐの時代に、単身留学するくらいの才女。でも、海ちゃんの感情にも細やかに気が付くし、そこからの行動も早い。
なにより彼女、自分のやりたいことにとても正直なんですよね。子供を置いて留学もするし、その昔は結婚を反対されたら駆け落ちしちゃうくらい情熱的。そして、高校生の娘がいるのにめっちゃ美人さん。そりゃ惚れるわ。

好き度:★★★★★


©スタジオジブリ

わかむすめ

わかむすめ

【DATA】
蔵元:新谷酒造株式会社(山口県山口市)
造り:純米大吟醸 無濾過生原酒
原料米:山田錦(特等)
精米歩合:40%
アルコール度数:15.5% ・・・ 普通
製造年月:2023年3月

 

さて、ここから、雑学コーナーです。


まずは、平安装束のかさねの色目・燕子花(杜若)。
かさねというのは2種類あります。ひとつは、狩衣(かりぎぬ)などの裏地のある生地で、表と裏の色の違いを楽しむ「重ね」。もうひとつは、女房装束の五衣(いつつぎぬ)のように重ね着した時の色の違いの「(かさ)ね」です。
杜若の色目は、「重ね」では表:二藍(ふたあい)/裏:萌黄(もえぎ)。ただし、色合いは着用者の年齢などによって色調が異なり、二藍なら赤紫から薄い青に近い青紫までの幅があるようです。
「襲ね」では、表:淡紫・薄色・薄色・青・淡青・紅/裏:淡紫・薄色・薄色・青・淡青となっています。どちらも、基本はカキツバタの花の色・紫が中心ですね。


 (八條忠基著「素晴らしい装束の世界」より引用)

 

次は、花の方のカキツバタとアヤメについて見ていきましょう。このふたつって、似ていてややこしいんですよね。さらに、アヤメの漢字・菖蒲と同じ字を書くショウブもそっくりだからもっとややこしい。見分け方については、Chiikというサイトに詳しい解説がありました。気になるかたは[こちら]をクリックして開いてください。

(写真出典:photoAC)

さらにそこから発展。本日5/5はこどもの日。こどもの日にはお風呂に菖蒲(しょうぶ)の葉を入れて菖蒲湯にする風習があります。昨日スーパーに行ったら、ちゃんと菖蒲の葉が売ってました。ところがこの葉っぱ、花の菖蒲(しょうぶ)とは全然違う植物なんだとか。経緯としては、お風呂に入れる方の菖蒲がまずあって、それと葉っぱが似てるから、花菖蒲という名前を付けたようです。アヤメに似ている方はハナショウブが正式名称なんですね。

もうひとつ余談を加えると、慣用句に「いずれ菖蒲(あやめ)杜若(かきつばた)」という言葉があります。これ、僕は、「まだ幼いのに美しいから、いずれはアヤメやカキツバタの花のように美人になる」という意味だと思ってました。でも本当は全然違って、アヤメもカキツバタも似ていて美しいことから、「どちらも優れていて優劣が付けられない」という意味だった。ずっと間違って覚えてました。まあ、こんな言葉を使うシーンなんてなかったからセーフ。それにしても、育成系かと思ったら優柔不断なだけだったとは!

かきつばたの色目ってどんなのだろうと調べただけのはずなんですが、知らない知識が芋づる式にどんどん出てきて、楽しかったです♪

 

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