【梵 超吟 氷温熟成 純米大吟醸】
至福の甘ほろ苦
凄いお酒をいただいてしまいました。
これまでに刈穂や水芭蕉、紀土・無量山をいただいた、日本酒検索サイト・SAKEdatabankさんのキャンペーン賞品です。
この「梵 超吟」は、皇室献上酒。精米歩合なんと20%! 僕がこれまで飲んだお酒の中で、段違いに磨かれています。しかも、マイナス10℃で約5年間熟成したお酒を中心にブレンドしているのだとか。あえてここには書きませんが、値段も凄い。なかなか自分で買えるお酒じゃありません。本当にありがとうございます。
こんな凄いお酒をいただく機会はめったにありません。心していただきましょう。
開封から緊張しますね。封の組紐が絢爛。紐とくるみ紙を取ると、「厳封之証」というラベルが現れます。そしてなんと、この瓶、栓はコルクでした。しかも、手で開けられる特殊形状。こういうところにも高級感があふれていますね。
グラスに注ぐと、色はほんのり薄黄金色。5年熟成にしては色づいていませんが、それはマイナス10℃で寝かせたおかげでしょうね。とても美しいです。
香りは、お米の甘さと上質なアルコール感。かすかにある苦さが良いアクセントになっています。フルーティーさとは反対方向の至極。嗅いでるだけでも幸せだけど、あまりに美味しそうで、口を付けるのを我慢できません。
口に含むと、最初からお米とサトウキビの甘味、それとほんのりカラメルの苦味がほわぁぁーーー。なんだこの力強いのに上品な甘さ!
精米歩合20%って、勝手にとても繊細な味わいを予想してたんです。でも予想に反してめちゃくちゃしっかりしてる。
その甘苦さは最後まで続いて、甘アルコールの含み香に乗ってふわぁっと飛んでいきます。至福。後味もふわふわ消えていって、とてもきれい。
僕の好みのど真ん中を突く、、、いや、違いますね。僕の好みを、このお酒がど真ん中になるようにぐいっと曲げてくれました。感動的に美味しいです。
せっかくの素晴らしいお酒です。合わせるアテは何が良いかと考えました。でも、そんなの打ち砕く、単体で完成されたお酒ですね。お酒だけと真剣に向き合って、隅々まで味わい尽くすのが良いです。というより、本当のところは、お酒が素晴らしすぎて、食事にはちょっと合わせにくいです。お酒を邪魔しちゃう。
ただ、そんなお酒に唯一合わせられる食事を見つけました。正直、アテとしては一般的ではないと思います。これに合うお酒も無くはないけど、まあ稀。普段はアテには選びません。
だいぶもったいぶってますね。そのアテは、ご飯。普通の白ご飯です。
ご飯をたっぷり噛んで噛んで噛んで噛んで、口の中に優しい甘さが広がったところに、梵を含みます。そしたらお米の甘さとお酒の甘さがさらに複雑に増幅されて、脳天じゅわわわ! うわぁぁぁ、美味しくて涙が出そう。今まで、マリアージュと言える素晴らしい組み合わせはいくつかありましたが、その中でもずば抜けたカップリング。ご結婚おめでとうございます。「お幸せに」なんて言わなくても、幸せの波動で失神しそうです。
温度帯は、公式サイトには0~10℃の冷酒が良いと書いてあります。まあ、間違いない。でもこれ、常温くらいまでぬるくなっても、全然味が崩れないんです。常温でも変わらずめちゃくちゃ美味しい。
もしかしたらぬる燗くらいでも大丈夫じゃないかな? っと思ってやってみました。もったいないからほんのちょっとだけ。温めると、酸味が開いてちょっと面白いですよ。冷酒には勝てないけど、美味しいです。
ジブリ例えると「紅の豚」。キャラクターやシーンではなく、作品そのもの。甘くてほろ苦い大人の極上エンタテイメント。何も考えなくてもとにかく美味しい。でも、その奥にある、当時の世界情勢や幅広い知識に基づいた深い世界観を知ると、さらに楽しい。
今まで、このパターンで作品そのものに例えたのは、去年の年間No.1の不動と、今年の暫定No.1のくどき上手だけ。間違いなく、今まで飲んだお酒の中でも最高級に美味しいお酒でした。
満足度:★★★★★
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