【吾有事 純米大吟醸 尖鋭辛口(黒ラベル)】
旨味だけ 一点突破の 尖鋭酒
山形・奥羽自慢の吾有事さん。これまで2回飲んで2回とも美味しかったお酒です。尖鋭辛口って、あんまり得意じゃない感じなんですが、そこはお蔵さんを信頼して注文しました。
「吾有事」とは、曹洞宗開祖・道元禅師の言葉で、「自分という存在と時間が一体となること」。そこから、時間や自分という存在を忘れて酒造りに没頭するという気概を込めたんだそうです。
ちなみにこの言葉を使おうと思ったきっかけは、僕も大好きなマンガ「センゴク」の森蘭丸の台詞から。このエピソード、日本酒ニュースメディア・SAKETIMESさんの2018/1/23の記事で読んだんですが、他にも廃業寸前だった奥羽自慢さんが縦の川酒造の力を借りて存続したエピソードなど、めちゃくちゃ読み応えのある熱い記事でした。
さて、飲んでいきましょう。
口当たりは、するっとほのかな旨味だけ。甘味は全然ないし、酸味もほんのわずかだけ。純粋に旨味に特化したシンプルな味わいです。最後にはほんの少し苦味も入るけど、ほぼ旨味だけ。こんなの初めてです。含み香も旨味ほわん。
尖鋭辛口というけど、味わいに尖っているところはありません。飲みやすい。でも味わいの方向性は尖鋭的ですね。味わいグラフもめっちゃ尖ってます。
ジブリで例えると「レッドタートル」の”男”。名前はありません。先鋭的な作品の中で、旨味がじんわり心に残り、いろんなことを考えさせられるようなキャラクターです。
この作品、ジブリとは言え、観たことない人が多いんじゃないでしょうか? 難破して無人島に漂着した男を描く物語。なにより特徴的なのは、全編通して、一切セリフがないんです。息遣いや叫びや効果音や音楽は入るんですが、言葉としては全く語られない。それなのに、感情がとても自然に伝わってきます。叙情的で美しく、アーティスティックな作品。あと、カニがかわいい。
監督は、オランダ出身のマイケル・デュドク・ドゥ・ヴィットさん。ジブリからは、アーティスティック・プロデューサーとして高畑勲さんが参加されています。日本・フランス・ベルギーの3か国による合作で、カンヌ国際映画祭の、独自で特異な作品に与えられる「ある視点」部門特別賞を受賞しています。
とても美しい作品ですし、81分しかありません。秋の夜長、ちょっとセンチメンタルな気分に浸りたいときなんかにおススメですよ。
満足度:★★★★
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