【渡舟 大吟醸 無濾過原酒 袋吊り雫酒】
丸みある きれいな酸辛 香りほわん
はじめましてのお酒、茨城・府中誉さんの渡舟です。
府中誉さんの中でも、この渡舟は、短稈渡船というお米を使ったシリーズ。短稈渡船、詳しい方なら名前を聞いたことがあるかもしれません。酒米の王様・山田錦の父親にあたると”言われている”酒米です。
この”言われている”というところが微妙なところ。じつは山田錦の父親の短稈渡船は、その正確な品種もはっきりしておらず、既に失われてしまった酒米だそうです。だから、現在「山田錦の父親」とうたっているものは全て不正確。ちなみに府中誉さんはどこにも「山田錦の父親」とは書いていません。渡船の中で短稈、つまり背が低いものであるのは確かですから、あえて書かないのは正直ですね。書いたら宣伝になることはわかっているはずなのに、正直なところに好感が持てます。(一部マスコミや酒販店には、渡舟さんが山田錦の父親を使っているという表記がある場合もあります)
そして、府中誉さんがこのお米にかける情熱は本物です。地域の80歳近い老人の証言をもとに、研究所に保管されていた種籾を探しあて、そのわずか14gの種籾から短稈渡船を復活させます。この品種は野生種に近く、とても栽培が難しいそう。こういう品種って、現代のお米に比べて収穫量も少なく、儲けが出にくいんですよね。でも、府中誉の山内社長は「短稈渡船から造られる酒は山田錦に比べてジューシーな味わいに仕上がる」と語られています。
そうやって、ネームバリューや利益よりも味わい・クオリティを優先させたお酒。これは気になります!
(と言っても、これを調べたのは飲んだ後なんですけどね。飲む前はあんまり予備知識を入れたくないので、調べずにまずは味わうことにしています)
さあ、飲んでいきましょう。
香りは乳酸と米旨。
口に含むと、きれいな酸がほのかな甘味を連れてぽわん。そして豊かな旨味が含み香とともにほわああん。後には旨じわりな後味が残ります。
酸味中心だけど、丸みもあって飲みやすいですねえ。美味しい!
スペックは、
造り:純米吟醸 直汲み
原料米:短稈渡船
精米歩合:55%
アルコール度数:15% ・・・ 普通
ジブリで例えると「もののけ姫」のサン。甘さはほとんどなくて、酸が多めの性格。でもきれいだし、デレると性格に丸みも見えます。
満足度:★★★★
※短稈渡船や渡船2号と山田錦の関係については「米っ娘~桜源郷~」というブログの記事を参考にさせていただきました。この問題についてしっかり調べられてて、各酒蔵への質問状も出されていて、とても参考になりました。ありがとうございます。
もののけ姫のサン。
— ヒヒョ@ワカメになりてぇ! (@hihyo20032000) 2022年6月5日
この表情を見たとき、当時のヒヒョ少年の性癖が歪み始めました。 pic.twitter.com/cc6NAUwTKr
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