こるね酒

原則毎日AM11時更新+α。日本酒好きのホルン吹きです。飲んだお酒を、ジブリ映画のキャラやシーンに例えながら紹介します。異論反論大歓迎。日本酒に詳しくない方でも、ジブリ作品に詳しくない方でも楽しんでいただけるように書いていきます。

呑鶴 > 小野寺さん(コクリコ坂から)[ジブリ酒]

呑鶴(どんづる) 無濾過生原酒

家畜米? 蜜甘豊かで 力強い

呑鶴

呑鶴

ひとつ前の金鼓さんに続いて呑鶴さん。こちらも大倉本家さんのお酒です。どれを飲んでも変態で、全部美味しい大倉さん。この銘柄ははじめましてですね。

この銘柄名は呑鶴ですが、同じ読み方の屯鶴峯(どんづるぼう)という奇岩群が、お蔵さんのある奈良県香芝市二上山にあります。銘柄もたぶんこちらが由来でしょうね。

屯鶴峯
(PhotoACからお借りした屯鶴峯の写真)

ちなみにこの屯鶴峯には、大戦中、陸軍が本土決戦時の指令所として作った巨大な防空壕があります。結局使われなかったようですが。でも、「屯鶴峯」でググると「心霊」が検索候補に挙がるのはちょっと怖い。

まあ、そんなことは気にせずにお酒に戻りましょう。
飲む前にいきなり結論ですが、この子、変態揃いの大倉さんの中でもとびきりの変態です。味わいの前に、ラベルもお米も変態的。

試しに、「呑鶴 2022」で画像検索してみてください。あんまりたくさんはヒットしませんが、同じ呑鶴の中でもいろんなデザインのものが出てきます。実はこのお酒、ラベルが何種類もあるんです。この子を角打ちで飲んだ酒屋さん・なら泉勇斎さんの棚に並んでるのも、全部が違うラベルでした。なんで? 意味わかんない。面白いけど。

そしてなにより、お米です。原料米は「ホシアオバ」。このお米のことをご存知の方は少ないと思います。僕もはじめて聞きました。だってこれ、家畜の飼料用のお米ですもん。

大倉本家さん、元々は香芝市ふるさと納税の返礼品として金鼓を出品してたそうです。でも、普通のお酒だと、他のお酒と差別化できない。まあそもそも、大倉さんは全然普通のお酒じゃないんですけどね。でも一般人はそんなことわかりませんから。で、アイディアを練っていたところに、役所の人から地元で作ってる飼料米を使ってみないかと提案があったんだそうです。提案する方もする方だけど、それが中二病を自認する蔵元杜氏の琴線に触れちゃった。で、できたのがこのお酒です。ノリノリだな!!

さあ、飲む前に既に変態なこの子、どんなお酒なんでしょう?
若干ビビりつつ、飲んでいきましょう。

香りは乳酸米旨アル。熟成豊かで力強い。ああ、この安定の変態さにむしろほっとします。

口に含むとやわらかく、酸味中心、甘旨ぼん。そこから蜜甘一気にずしん。そして旨味もぐいぐいと。
強いんだけどやわらかく、そしてなにより雑味がない!! うまい!!
後味も、乳酸中心甘旨じわん。

大倉さんらしく濃くて強いんだけど、きれいです。家畜というイメージは全くありません。面白っ!!
精米歩合55%まで磨いているということもあるんでしょうが、食用米と違って雑味のもととなるタンパク質が少なかったりするんですかね?

ジブリで例えると「コクリコ坂から」の小野寺さん。主人公・海ちゃんと風間君のお父さんの親友で、外航船の船長さんです。この人、おじさんで、いかつい顔をしていて、体格もがっしりしてるんだけど、やさしくて清潔感があるんですよね。カッコいい大人の男です。

好き度:★★★★

呑鶴

呑鶴

【DATA】
蔵元:株式会社 大倉本家(奈良県香芝市)
造り:普通酒 無濾過生原酒
原料米:ホシアオバ
精米歩合:55%
アルコール度数:17% ・・・ 高い
日本酒度:-3 ・・・ 甘口
酸度:2.6 ・・・ 高い
製造年月:2023年8月

55%まで磨いていてきれいなお酒なんですが、「純米吟醸」などの特定名称を付けるためには、農産物検査法によって3等以上に格付けされたお米を使わなければいけません。今回はそもそもが飼料米だから特定名称は名乗れないんですね。だから普通酒となっています。

呑鶴

今回の記事を書くにあたり、6/17付けの奈良新聞の記事「大和酒蔵風物誌」を参考にさせていただきました。めちゃくちゃマニアックで面白い記事! WEB版の方はさらにボリュームがあります。蔵元のインタビューも必見!

 

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