こるね酒

原則毎日AM11時更新+α。日本酒好きのホルン吹きです。飲んだお酒を、ジブリ映画のキャラやシーンに例えながら紹介します。異論反論大歓迎。日本酒に詳しくない方でも、ジブリ作品に詳しくない方でも楽しんでいただけるように書いていきます。

【初心者向け】超カンタン 熱燗の楽しみ方[特集]

熱燗 やり方 初心者 方法 簡単 かんたん 

10月に入って急に気温も下がってきましたね。
そろそろ熱燗が美味しい季節になりました。
というわけで、初心者でも家でできる、超簡単な熱燗の楽しみ方を解説します。

こないだ、ある方が「熱燗やりたいけど、どうすれば良いかわからない」とおっしゃってたんです。そんな方は多いと思うんですよね。僕も昔はそうでしたし。
熱燗って、コツさえ守ればカンタンなんです。特別な道具を揃える必要もありません。これを覚えたら日本酒の楽しみ方が一気に広がるので、ぜひ試してみてください。
(ベテランガチ勢の皆様から見たらいろいろとツッコミどころはあると思いますが、そこはぬる燗くらいの生暖かい目で見てやってください)

 

覚えることは2つだけ!


①熱燗=50℃
②1合(180ml)ならレンジ(500W)で1分
最初にまず結論。今回は初心者向けなので、ややこしいことは全部すっ飛ばします。覚えることはこの2つだけ。これさえ守れば簡単に熱燗を楽しめます。
でも、たぶんまだ不安ですよね。以下でちょっと詳しく解説します。

 

温度について

さっきから熱燗熱燗って言ってますが、実は日本酒は温度帯によって呼び方が決まっています。ぬる燗=40℃とか上燗=45℃とか。呼び方は5℃~55℃まで全部で9種類(+常温)。なぜそんなにあるかと言うと、温度がちょっと変わると味わいが劇的に変化することがあるからです。

でも今回は初心者向けなので、そんなの覚える必要ありません。覚えるのは、熱燗=50℃だけでOK

大事なのは、50℃って意外に低いということ。
お茶が美味しい温度は80℃って言いますよね。それより30℃も低いんです。アルコール(エタノール)の沸点は78℃なんですが、70℃あたりからどんどん蒸発していきます。その温度になると、アルコールの刺激がツンと刺さるので、飲みにくくなっちゃう。その場合は、少し冷ますと飲みやすくなります。逆にぬるい場合は、加熱するのは簡単。だから、温度は上げすぎないようにしましょう。

※瓶やカップ酒を燗するときの注意点:酒瓶やワンカップなどのガラスカップは、耐熱ガラスではないものがほとんどです。急な加熱や冷却はしないようにご注意ください。


電子レンジで加熱するときの注意

熱燗は、湯煎で作るのが基本です。でも、湯煎の弱点は、めんどくさいことと、温度がわかりにくいこと。温度計や熱燗器をお持ちの方は湯煎をおすすめしますが、そうでなければ電子レンジの方が簡単です。

1合(180ml)のお酒を熱燗にする場合、電子レンジが500Wなら1分、600Wなら50秒だけ加熱してください。
お酒の量や電子レンジのワット数が違う場合は、適宜調節。お酒の量が90mlなら時間を半分にすればだいたいOK。大事なのは加熱しすぎないことです。実際、とあるVTuberさんの配信中、電子レンジで加熱しすぎてお酒が爆発し、配信を中断せざるを得なくなったことがあります。アルコールって気化すると結構簡単に引火しちゃうので、ほんとご注意ください。

お酒は、マグカップに入れるのが手っ取り早いです。ただ、マグカップのまま飲むのはあんまりおすすめしません。理由はあとで説明します。
熱燗=とっくりのイメージがありますが、とっくりは電子レンジに入らない場合があるので、レンジ燗したい場合はご注意を。

また、レンジ燗は基本的に温度ムラができてしまいます。上の方が熱く、下の方はぬるいままになってるので、お箸などで混ぜてから飲みましょう

熱燗におすすめのお酒

基本的には辛口のお酒が燗に合います。瓶に辛口って書いてあるものを選んでみてください。実は甘口のお酒の燗も面白いんですが、そこは慣れてきてからのチャレンジということで。
いちばん良いのは、地酒をいっぱい置いてる酒屋さんに行って「初心者なんですけど熱燗向きのお酒ってありますか」と聞くこと。カッコつけずに初心者ということを伝えた方が優しく教えてくれると思います。

僕がひとつおすすめを挙げるなら、ひとつ前の投稿でレビューを書いた「菊正宗 樽酒」。スーパーやコンビニで普通に売ってるカップ酒なんですが、これが美味しい上に、燗にもめっちゃ合います。迷ったときはコレ!
こちらに詳しいレビューを投稿しているので、よかったらご覧ください。
ちなみにこのお酒を常温からレンジ(500W)で1分加熱すると、55度になりました。

 

熱燗におすすめの酒器

熱燗には平杯が合います。陶器のおちょこでもOK。ポイントは香りが溜まらないことです。
フルーティーなお酒を冷酒で味わう場合は、ワイングラスのように香りが溜まりやすい形の方が楽しめます。ただ、熱燗の場合はアルコールの蒸発量が多いので、香りが溜まる酒器だとツンとしちゃうんです。そういう意味で、容量の多いマグカップなども避けた方が良いですね。


平杯なんて持ってないよという方は、料理に使う小皿でもOK。写真のだとちょっと大きいですが、こぼれにくいのが良いです。あと、100均に行けばいろんなおちょこが売ってるので、それを買うのもアリですね。もちろん、専用の酒器を買うのも楽しいです。お気に入りの酒器で飲むお酒は美味しさが3割増しくらいになりますよ。

 

熱燗すると味はどうなる?

温度によって味はかなり変わります。実はこれは、味自体が変わっているというよりは、人間の感じ方のせい。人間の味覚と温度の関係をグラフにすると、下の図のようになります。
温度 味覚 熱燗
温度が上がると甘味は感じやすくなり、体温近くのときに最も高くなる。ただ、熱燗(50℃)に近くなると感じにくくなって、逆にすっきりしてきます。苦味も体温より高くなると急に感じにくくなる。酸味は温度の影響を受けません。
ただ経験上、燗にすると酸味が強くなることが多いように思いますね。これは別のメカニズムが働いていると思うんですが、理由は知りません。ご存じの方、教えてください。

ともあれ、熱燗(50℃)くらい温度が高くなると、甘味を感じにくくなってすっきりします。そこから少し温度が下がって40℃(ぬる燗)くらいになると、より甘く感じます。レンジ燗の場合は器が温まっていないので、お酒の温度が下がるのが速いです。むしろそれを逆手にとって、温度が下がっていくときの味わいの変化を楽しみましょう。
下に、菊正宗樽酒の常温と熱燗の味わいチャートを載せておきます。比べると違いがわかって面白いですね。


熱燗は酔いやすい?

酔うかどうかは、体内のアルコール濃度で決まります。だから、飲むアルコールの量が同じなら、酔いやすさも同じはずです。でも、熱燗は酔いやすいイメージありますよね。これは、温度が高い方がアルコールが吸収されやすいからです。また、温かい方が代謝も活発になり、吸収されたアルコールが回りやすいということもあります。

ただ、吸収が速いだけで、体内のアルコール量は同じなんですよね。早く酔いを感じる分だけ飲む量が少なくなったら、二日酔いにはなりにくいです。逆に冷酒は酔いを感じにくくて量が多くなりがち。「親父の小言と冷酒は後で効く」ということわざがありますが、そういうことです。

 

今回の初級編は以上です。燗酒はほんと面白いし美味しいので、ぜひ試してみてください。明日は、湯煎をする場合の中級編を投稿予定です。中級編と言っても、使う道具はひとつだけ。文字数も初級編より少なくなる予定です。そちらもお読みいただけると幸いです。→10/17追記:中級編アップしました

10/17追記:こちらの記事の告知をX(Twitter)で出したら、こんなリプをいただきました。

なるほど!!!!
注ぎやすいし洗いやすい。なにより風情があります。これは凄いアイディア!!!
稲荷Yrah!さん、ありがとうございます。

 

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