【大七 生酛純米古酒 不倒翁】(だいしち ふとうおう)
ふっくら酸甘旨な、優しい熟成酒
「つぎのみどり」に引き続いて、馴染みのお店の量り売りでテイクアウト。生酛造りで有名な福島・大七の熟成酒です。大七はずっと気にはなってたんですが、いただくのは初めて。はじめましてがちょっと変化球ですが、それも面白いですね。醸造年度は2013年だから、7年熟成かな。
不倒翁って名前、カッコいいですね。
「おぬしらは先に行くんじゃ」
「フフフ、たかが老人ひとりに何ができる?」
「ぐわぁー。ぐ、ここでワシが倒れる訳にはいかんのじゃ!」
「な、何っ、アレをくらってなぜ立ち上がれる!?」
って感じで。でも実際は、こんなアツい展開とは関係なくて、不倒翁というのは起き上がりこぼしのことなんだそうです。何度倒れても起き上がってくる生命力を、このお酒に重ねたのだそう。
色ははっきり黄色くて、いかにも熟成。テンション上がります。
香りも熟成で、乳酸を中心に、焦げ感のあるナッツと蜂蜜と稲の花。老ね(ひね)ている感じはなくて、いかにも熟成なのに活き活きしています。なるほど生命力!
口に含むと、まずはふっくら酸味。若さのあるハツラツ酸味ではなくて、お年寄りの茶目っ気といたずらっ気な感じ。優しい甘味もしっかり感じます。中盤からは、酸味は残しつつ旨味がよっこらしょっと広がります。で、飲み下した後も、その旨味と酸味が、想い出のように余韻にじんわり長く残る。しみじみ美味しい!
調べたら、スペックも出てきました。
使用米:五百万石 → ふむふむ。ぶっちゃけお米の違いなんて、新酒でも微妙なのに、古酒だと全くわかりません。
精米歩合:69%(扁平精米)→ ほう、扁平精米なんですね。普通の精米だと、精米後のお米はほぼ球状になるんですが、扁平精米ではお米の形のまま小さくなります。低精白でも雑味がでにくいそう。高千代なんかでよく見かけますね。たしかに雑味はありません。
使用酵母:協会7号 → いわゆる真澄酵母。香りが高く、最も広く使われているそうです。
アルコール度数:15度 → もっと低く感じます。古酒になるとアルコールの刺激感はだいぶまろやかになってますね。
日本酒度:+5 → ちょっと辛め。これはびっくり。もっと甘く感じました。
酸度:2.2 → だいぶ高め。でも、とげとげしさはありません。
アミノ酸度:1.2 → だいぶ低め。なるほど、アミノ酸度低めだから熟成しても意外にすっきりなんですね。
ジブリで例えると「耳をすませば」の南さん。聖司君のお爺さんの音楽仲間で、口ひげ赤蝶ネクタイでタンバリン叩いてる人。活き活き中高年。歳は取ってるけど、心は若々しいです。
「耳をすませば」という作品、ジブリの中では珍しい青春恋愛映画です。でも僕は、この映画のテーマは「自分の好きなように生きる」だと思うんですよね。ぶっちゃけ恋愛はオマケ。主人公の周りの人は、お父さんもお母さんも、聖司君もお爺ちゃんズも、みんな自分の好きなことを追求しています。そしてその中で主人公も自分のやりたいことを見付けます。それがわかってからこの作品が大好きになりました。
満足度:★★★★☆
耳をすませばの天沢聖司のじいちゃんの友達が、南さんと北さんだなんて… pic.twitter.com/KO7Hdj20Qy
— サキコ (@kaonashi_san) 2014年4月28日
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