【御湖鶴 純米吟醸 山恵錦】
フルーティー アルツン酸甘 美人さん
こないだ、いかにも地元モノっぽいクラシックなラベルの辛口純米をいただいた御湖鶴さん。今回は、ずっと飲みたかった大本命の山恵錦です。
このお酒は、国際的なお酒の鑑評会・IWC(インターナショナルワインチャレンジ)2021でチャンピオン=世界一に輝いたお酒。お店のホームページで入荷情報を見て、飛んでいきました。やっと会えた! 肩のIWC受賞ラベルが眩しい!
それでは、さっそく飲んでいきましょう。
香りは、アル甘ツン。お、結構アルコール感がくっきりですね。でもそれが上質で美しい。ほんのりマスカットのフルーティーさもあります。
口に含むと、きれいなフルーティー酸甘が、くっきり軽やかに踊ります。これは美人さん。
味わいはそのままおだやかに引いていくけど、その代わりに現れる含み香がまた素晴らしい。アルツンフルーティーほの苦が、美しく鼻に抜けていって恍惚。
アテは、ひと口飲んでから決めたチーズの味噌漬け。こちらのお店では何度か食べてる、間違いない一品です。そりゃもう合わないわけがない。ほんのり旨味を増強されたクリームチーズとワサビの相性がヤバいです。それが、お酒の甘味をほんの少し引き出してくれて、さらに幸せ。
アルコール感がくっきりしているので、初心者さんにはあんまり向かないのかもしれません。でも、それを楽しめる酒飲みさんなら、この美しさにやられると思います。美味しかった~!!
スペックは、
蔵元: 磐栄運送 諏訪御湖鶴酒造場 (長野県下諏訪町)
造り:純米吟醸 瓶燗一回火入れ
原料米:山恵錦
精米歩合:50%
アルコール度数:16% ・・・ 高め
酵母:長野C酵母(アルプス酵母)
製造年月:2022年8月
お蔵さんは、磐栄運送。え?って思いますよね。運送会社さんです。
実は、元々御湖鶴という銘柄は菱友酒造というお蔵さんで造られていました。しかし、菱友酒造は2017年に自己破産。その事業を引き継いだのが、福島県の運送会社・磐栄運送さんなんです。杜氏に長野県千曲市の酒蔵で醸造責任者をしていた竹内重彦さんを迎え、再起を図ります。
その後、老朽化していた蔵を抜本的に改修。最新の機器を導入し、ICTを駆使した新しい酒蔵に生まれ変わります。そして新蔵稼働から2期目の2020BYでいきなり世界一。しかも、生まれてまだ間もない長野県のお米・山恵錦を使っての受賞です。
でも、この受賞は最新の機械やICTだけが要因じゃありません。竹内さんの「美味しい酒を造るために一切妥協はしない。機械化やICT技術の導入はするが、手間暇をかけた方がよい作業はとことん人手に頼る」という方針のなせる業。職人ですねえ。カッコいい。
僕は、職人の本質は伝統を守ることじゃなくて、良いものを追求するこの姿勢なんだと思います。
御湖鶴さんをジブリで例えると「紅の豚」のジリオラさん。フィオの、超絶美人のお姉さま。自分が美人なことをよく知っていて、自信もあって、ちょっとツンとしてます。でもそこが良い。それに、やっぱり陽気なイタリア娘。フィオが出発するシーンで、嬉しそうに換装用の部品をフィオに渡してるし、はしゃいで見送るのがかわいいです。
満足度:★★★★☆
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