【櫻正宗 純米大吟醸 協会1号酵母】
低アルで きれいな酸旨 飲み応え
お久しぶりの櫻正宗さんです。
櫻正宗さんは、とにかく来歴がめちゃくちゃ面白いお蔵さん。前にも書いた内容ですが、1年ちょっとぶりなので、もういちど紹介します。
まずは、ラベルにも大きく書いてある通り、協会1号酵母の発祥蔵が櫻正宗さんです。
1号酵母は櫻正宗の酒母から分離され、当時最も優れた酵母として、大正5年から昭和10年(1916~1935年)の間、日本醸造協会から頒布されていました。
しかし次第に使われなくなっていき、一時はもう存在しないと思われていたそうです。ところが、それが協会で保管されていたことが判明。櫻正宗さんの元に60年ぶりに帰ってきたのだとか。おかえりなさい!
次は、元祖正宗という話。「正宗」が付いている日本酒はたくさんあります。正宗の一覧を載せているサイトによると、正宗の名を冠する日本酒は、全国で149種類もあるそう。その元祖、最初に正宗の名を付けたのが、櫻正宗の6代目蔵元・山邑太左衛門さんなんです。
そもそもなんで日本酒の名前が正宗なのか。正宗というと、元々は鎌倉時代末期から南北朝時代初期に活躍した日本刀の有名な刀工であり、その作品ですよね。
時に天保11年(1840年)。当時「
ちなみにこの話にはオチもあります。明治時代になって商標制度ができたとき、蔵元は当然「正宗」を商標登録しようとします。でも、あまりに正宗が付いたお酒が多すぎて普通名称扱いされていまい、なんと商標が取れなかった。だから、しかたなく櫻正宗にしたんだそうです。
そして、灘の宮水。お蔵さんがあるのは日本三大酒処のひとつ、兵庫の灘です。灘と言えば名水として名高いのが、灘の宮水。名水あってこその酒処ですからね。これを発見したのも櫻正宗さんの6代目なんです。凄っ!
最後にもうひとつだけ。灘中学校・高校ってありますよね。生徒の半数は東大に合格・進学するというスーパー進学校。その灘高を設立したのが、灘の酒蔵・菊正宗さん・白鶴さん・そして櫻正宗さんの蔵元です。ほんと凄いなあ。
だいぶ前置きが長くなりました。それでは飲んでいきましょう。
まずは雪冷え(5℃)くらいでいただきます。
上立ち香、ほんのりやさしい米旨酸。上品ですね。
口当たり、するっときれいな旨酸味。そこから酸旨広がって、酸味はふんわり引っこみつつ、きれいな旨味がじんわりと。
温度が上がって花冷え(10℃)くらいになると、旨味がしっかりしてきますね。でもするっときれいなまま。そして、13度の低アルなのにアルコール感が程よく出てきて、飲み応えがあります。
涼冷え(15℃)まで上がると、酸味もくっきり。
この子、温度によってかなり表情が変わりますね。雪冷えだと旨味がおとなしくて、きれいさが強調されます。花冷えになると旨味が出て、涼冷えだと酸くっきり。
きれいなのも良いんですが、このお酒の本領はやっぱり旨味だと思うんですよね。花冷えくらいがいちばん好きでした。面白かったから、味わいチャートは3つを並べます。
酸味中心の辛口クラシックという、あんまり得意じゃないタイプ。でも、素直に美味しいと思えるきれいなお酒でした。
アテに合わせたのは、お昼ごはんに作った「ガリバタ醤油のしらたき和風パスタ」と「キャベツと油揚げの和風ナムル」。こういう、出汁や旨味の効いた食事にめちゃくちゃ合いますね。しっかりしつつきれいなので、優秀な食中酒です。
このしらたきパスタ、僕のしらたきレシピの中でもかなりの自信作なんです。ダイエットにも良いし、お酒にも合う!
ジブリで例えると「風立ちぬ」の黒川夫人。きりっとカッコ良くてやさしい、素敵な大人の女性です。
好き度:★★★★
#展開が熱くてむせび泣いた映画のシーン
— オクターヴ (@TreeTre93040406) 2023年7月11日
「風立ちぬ」
劇場で声が出ないようにして、むちゃくちゃ泣いたんだよね。こうきたら先がわかるってのもあったし、黒川と黒川夫人の口上が絶妙に場を明るくさせて、一世一代の仲人役をやってのけたって感じがしたのよ。 pic.twitter.com/PDuYcDlEGC
【DATA】
蔵元:櫻正宗株式会社(兵庫県神戸市東灘区)
造り:純米大吟醸
原料米:兵庫県産 山田錦
精米歩合:50%
アルコール度数:13% ・・・ 低い
酵母:協会1号酵母
製造年月:2023年3月
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