【天美 純米吟醸】
上品な 爽やかすっきり 至福酒
こないだ2年熟成を飲んだばかりの白天さん。
藤岡杜氏の退職が発表されたため、藤岡さんの白天を飲めるのはこれが最後になるかもしれません。黒天はいつものお店に1本確保してあるんですけどね。
数えてみたら、白天を飲むのはこれで6杯目。最初に飲んだのが2021年だから、1年に2杯のペースで飲んでいます。でも実は、火当ての白天ははじめて。これまではずっと生でした。
そして、今回の天美さん、キャップに天美ロゴが入っています。これだけでちょっとうるっときます。このロゴキャップ、藤岡さんが楽しみにしてたんですよね。
それでは、ひと口ひと口を大切に飲んでいきましょう。
香りは控えめマスカット。おだやかなんだけど、とてもきれいです。
上品な、ブドウとリンゴの果実の甘味。わずかな渋味も気持ち良い。こんな気持ち良い渋味ははじめてです。
前に飲んだ白天より上品な感じ。火当てだからかな? でも物足りなさは全くなくて、甘渋後味がめちゃくちゃ幸せ。この渋味のおかげで食事に合うのに、単体でもめちゃくちゃ美味しい。
はああああ、幸せ。
初日はまずは味見だけ。のつもりだったんですが、飲めば飲むほどさらに美味しい。インパクトのある美味しさじゃなくて、上質さでじわじわ感動します。
と、ここで一旦時間は飛んで、これを書いているのは飲み終わってから4時間後。なのに、口の中にまだ後味の甘渋爽やかさが残ってる気がします。それもベタベタした変な残り方じゃなくて、爽やかすっきり幸せ感。なにこれ凄い。
2日目は、味が開いて甘味がじゅわん。上品さは残したまま、リンゴのジューシーさが出てきました。そしてやっぱりめちゃくちゃ美味しい。
アテに何を合わせるか、一晩考えて作ったのが「冷凍水餃子で超簡単なんちゃってラザニア」。冷凍の水餃子とレトルトミートソースにチーズをぶっかけて焼くだけの、簡単でジャンクで激ウマな、ラザニアっぽい謎料理です。考えて作っただけあって、素晴らしい結婚(マリアージュ)。トマトの酸旨と水餃子の旨ほの塩で、お酒の爽やか甘酸がふわりと溶け合って、どちらもさらに美味しくなります。
ほんと至福。
ジブリで例えると「風立ちぬ」の13歳くらいの菜穂子ちゃん。上流階級の上品さと天真爛漫なかわいらしさを両方持っていて、フランス語の詩を投げかけるくらい優秀。
好き度:★★★★★
菜穂子「Le vent se leve(風が立つ)」
— キャッスル@ジブリフリーク (@castle_gtm) 2019年4月12日
二郎「Il faunt tenter de vivre(生きようと試みなければならない)」
これはフランスの詩人であるポール・ヴァレリーの「海辺の墓地」の一節。
冒頭の「風立ちぬ、いざ生きめやも」は堀辰雄の訳で、自身の小説「風立ちぬ」で引用しました。#風立ちぬ pic.twitter.com/ng8p2URssP
【DATA】
蔵元:長州酒造株式会社(山口県下関市)
造り:純米吟醸 火当て原酒
原料米:山田錦
精米歩合:60%
アルコール度数:15% ・・・ 普通
酵母:協会901号酵母
製造年月:2023年11月
追記:
その後、12月ロットの、藤岡杜氏の最後の白天もいただきました。味わいはほとんど変わらないのですが、写真は新たに撮りました。
こちらは、VTuberおコメちゃんの主催している、満月の夜にお酒と生け花を楽しむ #酒月華ぷろじぇくと に投稿した作品です。今回のテーマは「好き」。ということで、大好きな天美さんに合わせました。
黄水仙の葉でハートを作り、花の向きには「下を向くこともあるけれど、また前を向き、そしてさらに上を向いてください」という願いを込めています。
また、黄水仙の花言葉は「もう一度愛してほしい」「私のもとへ帰って」「愛に応えて」。またいつか、藤岡さんのありったけの愛が詰まったお酒を飲める日を待っています。
ちなみにこのハートは、
・水仙の根元数センチを切る
・中の部分を取り除いて外側の円筒(ハカマ)だけ残す
・そこに長さを揃えた葉の根元側を差し込む
・葉の先端側も差し込む
という手順で作りました。
僕は生け花は素人なので「水仙 生け方」で検索して出てきた動画を見て、ヒントにしています。先端を差し込むところはその場の思いつきですが。
藤岡さんの白天を飲めるのは、これが最後になるかもしれません。本当に素晴らしいお酒でした。ありがとうございました。
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