【芳水 無為淡霞 純米吟醸無濾過 生成り】
やわらかい 酸と旨味が じわじわり
はじめましてのお酒、徳島県三好市・芳水酒造の芳水さんです。芳水の由来は、お蔵さんの傍を流れている吉野川。お蔵さんから歩いて行ける距離に、多くの奇岩がある景勝地・美濃田の淵があり、ここは「芳乃川(よしのがわ)」・「芳水(よしのみず)」と詠まれていたんだそうです。
吉野川と言えば、利根川・筑後川と並び、日本三大暴れ川のひとつ。ちょうどついこないだ、筑後川の波を由来とする若波さんを飲んだばかりなので、これも奇縁ですね。こうなったら、群馬県・山川酒造さんの「利根川育ち」も飲んでおきたいところ。どこかに置いてないかな。
無為淡霞という名前もカッコいい。無為とは手を加えないこと。無濾過だからかな? 淡霞=淡い霞の名の通り、うすにごりだそうです。
関西人的には「剥いたんか?」って感じですけどね。
それでは飲んでいきましょう。
見た目はほとんど透明。にごりはほとんどありませんでした。
香りはどっしり甘旨アルコール。クラシックタイプですね。黒糖の甘さと穀物の旨さ。カドの取れたアル感も気持ち良いです。
口当たり、とろんとおだやか酸旨ふわん。やさしい乳酸、お米の旨味。そこから、やわらかい酸と一緒に旨味がじわじわり。甘味は意外に控えめだけど、ほんのり蜜が全体をまとめてくれます。
含み香は、くっきりアル酸、鼻に抜ける。その酸は、意外にマスカット系のフルーティーで、アルコール感も気持ち良いです。
クラシックとフルーティーを両方感じられて美味しいですね。わずかな蜜の感じが熟成っぽかったのでラベルを見てみたら、2022年1月製造でした。2年もの!? でもとてもきれいで、言われなければ熟成とはわからないくらい。
アテは、お酒をひと口飲んでから選んだ焼鳥。肝のタレです。これ、焼き具合が絶妙で、とろとろやわらか。味わいはおだやかだけど、お酒と合わさると両方が豊かにほわわん。うっま!!
ジブリで例えると「耳をすませば」の北さん。聖司くんのおじいちゃん(西さん)の音楽仲間の、メガネかけてる方です。この人、西さんやもうひとりの南さんよりも若いおじさんに見えますが、実は70歳。言われなければそんな年には見えません。音楽を楽しんでるのが若いですね。
好き度:★★★★
宮崎駿のジブリ版『耳をすませば』で「カントリーロード」を歌う場面には「西南北」がいて「東」がいない。
— 岡江 門(途方もない妄想に取り憑かれた男) (@okaemon10) 2023年1月9日
おそらく元ネタは宮沢賢治『雪渡り』の「鹿の子の歌」で間違いないだろう。 pic.twitter.com/gKoslGVxbJ
【DATA】
蔵元:芳水酒造有限会社(徳島県三好市)
造り:純米吟醸 無濾過生酒
原料米:福井県産 五百万石
精米歩合:55%
アルコール度数:16.7% ・・・ 高め
日本酒度:+4.2 ・・・ 辛口
酸度:1.7 ・・・ 高め
アミノ酸度:1.3 ・・・ 普通
酵母:協会9号酵母
製造年月:2022年1月
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