［ジブリ酒］天美＞海ちゃん(コクリコ坂から)

【天美（てんび）純米大吟醸長州山田錦】

なめらかさ天美の未来が垣間見え

大好きな天美さんの、4ヶ月連続でリリースされるお米ちがい純米大吟醸。ついに最後の4本目、酒米の王様・山田錦です。ちなみに、「コート上の王様」(ハイキュー)は自己チューで横暴な独裁者のアダ名。でも酒米の王様は、杜氏の言うことをよく聞く素直な子なイメージがあります。杜氏さんの意思が反映しやすいお米、どんなお酒になってるんでしょうか。

このシリーズ、第1弾の赤磐雄町も第2弾の廣島千本錦も第3弾の播州愛山もめちゃくちゃ美味しかった。そして最後が地元のお米というのも、気合が入ってそうです。
こちらも気合を入れて楽しんでいきましょう。

開栓は、やっぱり元気ですね。火入れなのに、冠頭(アルミキャップ)を外したらフタがじんわり浮いた感じ。少し開けると、中の空気が芳香とともにぷしゅっ。この香りだけでもう素晴らしいです。

グラスに注いで香りを嗅ぐと、すっきり白ブドウのきれいなフルーティー。香りはこれまでの天美さんと似た印象です。

口に含むと、・・・えっ？

味わいは確かに天美さんなんです。ピリシュワフルーティー甘酸でめちゃくちゃ美味しい。でも今回はその中に、今までにない柔らかさと滑らかさを感じます。元気で爽やかなのに、とろんとなめらか。なにこれ！いつも美味しかったけど、さらに素晴らしい。

口当たりは、はつらつとした白ブドウの酸と桃の甘味がフルーティー。それが口の中を移動していくうちに、とろんとやさしくなる。飲み込むころには、なめらかふわん。喉を通る感覚がありません。凄い！うんんんまーーーー！

アテは、初日は3品用意しました。。

まずは、千本錦で大当たりした鯵のお造り。これはもう結婚(マリアージュ)するのわかっています。鯵の、生臭さもある美味しさを、天美さんがふわっと塗り替えてくれてウマーーー。塗り替えるといってもペンキのベタ塗りじゃありません。水彩のように、鯵の旨味を活かしてさらに美しくしてくれます。幸せ～。

次は、夏の味わい・湯引きハモ。酢味噌も付いていましたが、こちらは早々に諦めました。なんかお酒とケンカしてる。でも定番の梅肉は良いですね。美味しかった。でもまあ、結婚まではいかないかな。

最後は、またまたベビーチーズ。天美さんとは毎回合わせてる気がします。今回は、生ハム入りの、大人のベビーチーズにしてみました。チーズ＋生ハムで、旨味塩味がしっかりがっちり。そこに天美さんの甘味酸味アルコール感が加わって、バランスの良い美しい形ができ上がります。これは素晴らしい。大恋愛というよりも、5年くらい同棲してお互いの良いところも悪いところも全部わかった上での、しっとり幸せな結婚という感じです。

日を改めて、2日目のアテは福島の桃。実家から送ってきた立派な桃なんですが、これは残念ながら合いませんでした。桃単体ではめちゃくちゃ美味しいんだけど、お酒と合わせると甘味同士が打ち消しあっちゃった。
(うちの実家は福島ですが、別に桃農家じゃないので、近所の農園のを買って送ってくれただけです)

3日目。味わいに酸が立ってきて、甘味も少し増しています。より華やかになってる。アテ1品目はミニトマトのカプレーゼ。ミニトマトの甘味酸味・モッツァレラチーズのほのかな風味とお酒がよく合ってます。無事結婚。2品目の「無限パスタ」ともばっちり合いました。バズレシピのリュウジさんのレシピで、うちの定番パスタです。定期的に作りたくなる激うまパスタ。鶏肉の旨味とお酒の爽やかさの組み合わせが素晴らしいです。

はじめにも書いたけど、山田錦って、僕の中では優等生のイメージなんです。先生(杜氏)のいうことをよく聞いて、どんな教科もそつなくこなす感じ。だから今回も、上手にまとめてくるんだろうなって予想していました。
でも、藤岡先生(杜氏)は、そんなので満足する人じゃなかった！先生の理想はもっと高くて、山田錦君もその期待に応えて頑張りました。山田錦君だからこそ見えた天美の現在の理想形が、このお酒なんじゃないかな。
来期の天美がますます楽しみになる、そんなお酒でした。