こるね酒

原則毎日AM11時更新+α。日本酒好きのホルン吹きです。飲んだお酒を、ジブリ映画のキャラやシーンに例えながら紹介します。異論反論大歓迎。日本酒に詳しくない方でも、ジブリ作品に詳しくない方でも楽しんでいただけるように書いていきます。

優勝 > エボシ御前(もののけ姫)[ジブリ酒]

優勝(ゆうしょう) 革命君 厳選袋吊り雫酒】

くっきりで きれいな甘味と アルコール

優勝

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はじめましてのお酒、優勝さん。福井県吉田郡永平寺町・田辺酒造さんのお酒です。
なんともド派手なラベルと、印象に残る銘柄名。でもこんなの初めて見ました。
ん?永平寺町の田辺酒造さん? ああ、去年飲んだ「越前岬」のお蔵さんですね。そして永平寺町と言えば、黒龍酒造さんと、白龍の吉田酒造さんがあるところ。田辺酒造さんは、黒龍酒造さんから900mのご近所さんです。

今回のお酒は、熱い想いのこもったお酒なんです。
そもそもの始まりは、東京都江戸川区小岩にあった「革命君」という酒屋さん。このお店は、斎藤哲雄さんが、「小さな酒蔵応援団」というコンセプトで、日本各地の小規模でも優秀な酒蔵を発掘して紹介していたお店。過去形で書いている通り、斎藤さんは故人。2010年に急性骨髄性白血病を発病し、病と患いながら2014年に革命君を立ち上げます。その後、闘病しながらお店を続けられていたものの、2021年4月に亡くなられました。享年43歳。とても熱い方だったようで、ファンも多かったようです。

そして、生前の斎藤さんが田辺酒造さんに依頼していたのが、この本醸造の袋吊りというお酒。袋吊りとは、搾る前のお酒(醪・もろみ)を酒袋に入れ、自重でぽたぽた落ちる雫を集める方法。袋しぼり・吊るししぼり・雫取り・斗瓶取りなどとも呼びます。通常は醪に圧力をかけながら搾るのに対して、袋吊りは圧力をかけないので、雑味のないとてもきれいな酒質になります。僕も大好き。でもたいへんな労力と時間がかかるので、通常は高級酒でしか行いません。それを、吟醸ですらない本醸造でやるというのはかなり異例。まあ、普通酒なのに袋しぼりで造った「悠 チョッと普通じゃない普通酒」みたいな例もあるから皆無ではないんですが、普通はこんなことしませんね。でも斎藤さんには考えがあったのでしょう。本醸造の旨味を残しながら雑味のないお酒にしたかったのかな? そしてそれにぴったりだったのが田辺酒造さんのお酒だったのでしょう。

その想いに2年越しで応えたのがこのお酒。そして通常の越前岬ブランドではなく、このためにかつて造っていた「優勝」という銘柄を復刻させたのだとか。しかも一度きりの限定酒ではなく、これが2シーズン目だそうです。「優勝」には病に打ち勝つという意味も込められています。このお酒を販売されているのも、斎藤さんを通じて田辺酒造さんと縁ができ、しかも同じ病気と闘った経験を持つという、うえもと商店さん。もう涙が出そうです。心して飲んでいきましょう。

香りはほのツン甘アルコール。お、これはなかなか強いアルコール感。でも澄んでますね。きれい。

口当たり、いきなりくっきり甘ぽわん。シロップと桃とアルコールの甘味。後から広がるアルコール由来の苦味とお米の旨味とマスカットの酸もはっきりです。そしてアルコール感が強い! でもそれが良い!
なるほど高アル本醸造の袋吊り。研ぎ澄まされた甘アル苦がどわっと広がり飛んでいく。
後味ほどよく苦渋じわん。含み香アル甘ぽわぽわん。

 ジブリで例えると「もののけ姫」のエボシ様。とても優しく、美しく、そして苛烈な力強い女性です。

好き度:★★★★

優勝

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【DATA】
蔵元:田辺酒造有限会社(福井県吉田郡永平寺町)
造り:本醸造 袋吊り雫酒 生原酒
原料米:福井県産米
精米歩合:65%
アルコール度数:19% ・・・ 高い
上槽日::2023年12月8日
製造年月:2024年4月
販売者:うえもと商店
発案者:斎藤哲雄

 

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