こるね酒

原則毎日AM11時更新+α。日本酒好きのホルン吹きです。飲んだお酒を、ジブリ映画のキャラやシーンに例えながら紹介します。異論反論大歓迎。日本酒に詳しくない方でも、ジブリ作品に詳しくない方でも楽しんでいただけるように書いていきます。

[ジブリ酒]敷嶋 > サン(もののけ姫)

敷嶋しきしま 純米吟醸 夢山水 生原酒】

復活蔵! 苦味がずずん でもきれい

敷嶋

敷嶋
敷嶋

はじめましてのお酒、愛知県半田市・伊東(株)の敷嶋さんです。今年ぜひ飲んでみたかった銘柄!

元々敷嶋さんは、江戸時代中後期の天明8年・1788年に創業し、全国に名が知れた人気銘柄でした。敷嶋の銘は、当時人気だった江戸の国文学者・本居宣長の詞「敷嶋の 大和心を 人問はば 朝日に匂ふ 山桜花」から取られたんだそう。「敷嶋の」は「大和」にかかる枕詞で、大和・日本の異称です。
しかし時代は流れ、生産は縮小。2000醸造年度を最後に休業、酒造免許も返上してしまいます。

そのままでは消える運命だった敷嶋さん。でもここで、後に9代目蔵元となる伊東優さんが立ち上がります。優さんは、休業した当時はまだ中学生。家を継ぐ気もなく、普通に大学に行って、普通に就職していました。
転機は2014年。先々代7代目蔵元だった祖父・伊東基夫さんのお通夜の席でした。そこで、冷蔵庫に眠っていた14年物の生酒をはじめて飲んだら、その美味しさに驚いたんだそうです。

そこで優さんは敷嶋復活を決意。その準備にかかります。まずは別嬪を醸す山形の鯉川酒造や、愛知の長珍酒造で修行しつつ酒蔵復活の道を模索します。しかし、一度手放した酒造免許を再取得することができません。その後、天下錦を醸す三重県・福持酒造場で働きつつ、タンク1本だけの製造委託という形で、敷嶋の銘を冠するお酒を復活させました。時に2020年3月。復活の決意から6年。休業から19年ぶりの復活でした。

その後、紆余曲折あって酒造免許を買い取り、愛知県半田市でお酒造りを始めることができたのが2021年12月。つまり、今回飲むお酒が1期目です。自社製造は21年ぶり。そんなわけで、ぜひとも飲んでみたかったんです。
そんな人生の詰まったお酒、心して飲んでいきましょう。

香りは、お米の甘さとアルコール感がほわん。おっ、意外にアルコール感がくっきりですね。
口に含むと、最初からしっかり甘苦と、ほの酸味。そこからさらに、苦味がずずん、アルコールどどん。

なんで!?
こんなに苦味が強いのに、全然イヤじゃないし、きれいな印象すらあります。うまっ!
甘アルの含み香も、じわわん後味も良いですね。

1期目の新しい造りということで、勝手にモダンな酒質を予想していたんですが、実際はかなり野太い力強いお酒でした。これは、製造責任者である長珍酒造で酒造りしてした中原悠太さんの影響? それとも、お通夜の席で飲んだ昔の敷嶋さんの継承? どちらにせよ、美味しかった~。


アテに合わせたのは、かにみそコロッケ。口当たりサクっ、滋味じわん。外側の食感と中の味わいの複雑なやさしさが、全然違います。そのコントラストが楽しいし、めちゃくちゃ美味しい。敷島さんの力強い甘苦味にも、ばっちり合ってました。

スペックは、
造り:純米吟醸 生原酒
原料米:夢山水(79%)、山田錦(21%)
精米歩合:50%
アルコール度数:18% ・・・ 高い

夢山水は、愛知の酒造好適米です。でも、僕がこれまで飲んだのは、愛知の山崎醸さんと、奈良のKURAMOTOさん、山梨の甲斐の開運さん。意外に他県でも使われてるのかな?

ジブリで例えると「もののけ姫」のヒロイン・サン。苦味がたっぷりで力強い。デレるとちょっとかわいいです。

満足度:★★★★

敷嶋

敷嶋
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