【天寶一 純米吟醸 ローズマインド】
バラ酵母 やさしい甘酸 熟成感
お久しぶりの天寶一さん。広島県福山市・(株)天寶一さんのお酒です。
天寶一さんの「寶」は「宝」の異体字。細かすぎて画面ではなんて書いてあるのかも判別できませんね。ウ冠に王+缶+貝。漢検準1級レベルの漢字です。
ちなみに「天寶一」は全国向け銘柄で、地元用に「天宝一」という表記のお酒もあるらしいです。ああ、こないだ広島に行ったときに探せば良かったなあ。
広島の西条は日本三大酒処のひとつだし、実際酒蔵さんもいっぱいあります。でも福山市では、天寶一さんが唯一の酒蔵なんだそうです。まあ、広島ってめちゃくちゃ広いですからね。前にバイクで関西から山口まで走った時、いつまでたっても広島が終わらなくて広さを実感しました。福山市は広島のいちばん東で、岡山との県境。調べてみたら、西条からお蔵さんまで、道のり70km以上離れてました。
そんな福山は、バラの町。終戦間際の1945年8月8日に空襲で市街地の80%が焼失してしまい、その後、「街に潤いを与え、人々の心に和らぎを取り戻そう」とバラを植え始めたんだそうです。ローズマインドというのは、福山の戦後復興から半世紀の歩みのなかで誕生し、根付いた言葉。戦後復興のシンボルでもあり『思いやり・優しさ・助け合いの心』という意味を持っています。
福山市の市の花も、もちろんバラ。2025年には世界ばら会議福山大会の開催も決定しています。
このお酒は、そんな福山のバラ酵母を使ったお酒。
福山大学の生命工学部生物工学科・分子生物学研究室が、福山で栽培された真紅のバラ「ミスターリンカーン」から分離した花酵母です。
この酵母、他にもワインやパン、ビールにも使われているみたい。全部を食べ/飲み比べするのも楽しそうですね。
花酵母は最近よく飲んでて、品種は違いますが、こないだ飲んだ「よこやま プリンセスミチコ」もバラ酵母でした。
知らずに飲んでましたが、とてもいろんな想いのつまったお酒だったんですね。それでは味わいを見ていきましょう。
香りはほんのり糖甘と、かすかにレモンと不思議なコク。
口当たりは、やさしい甘味とかわいい乳酸。ほんのり熟成風味もいます。
そこから甘味とレモンの酸が、ぽわっと広がり、ふわっと消える。きれいなお酒ですね。後味もきれいで、いつの間にかいなくなってます。
温度が上がってくると、レモンの酸苦が少し出てきて、それもかわいい。
おだやかで、レモンの若々しさもあるけど熟成感もあるという、不思議なお酒でした。
ジブリで例えると「魔女の宅急便」のドーラさん。キキのお母さんの薬を買いに来る、かわいらしいおばあちゃんです。
好き度:★★★★
ドーラさんって名前だった!!#魔女の宅急便 pic.twitter.com/bL8DUgIoSu
— ドラみん🏺💐📻✈️🌱通知見落としがち (@dorraming) 2020年3月27日
【DATA】
蔵元:株式会社 天寶一(広島県福山市)
造り:純米吟醸
原料米:広島県産 千本錦
精米歩合:55%
アルコール度数:14% ・・・ 低め
日本酒度:-5 ・・・ 甘口
酸度:2.6 ・・・ 高い
酵母:ばら酵母
製造年月:2023年4月
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