こるね酒

原則毎日AM11時更新+α。日本酒好きのホルン吹きです。飲んだお酒を、ジブリ映画のキャラやシーンに例えながら紹介します。異論反論大歓迎。日本酒に詳しくない方でも、ジブリ作品に詳しくない方でも楽しんでいただけるように書いていきます。

[特集]天美(長州酒造)

今日は特集記事。僕がめちゃくちゃ推してる天美さんの紹介です。

天美

銘柄特集は、これまでに、月桂冠月桂冠②菊正宗W(ダブリュー)KEGをやってきました。ただ、正直なところ、今回がいちばん気合が入っています。だって、天美さん好きすぎるんです。書きたいことがありすぎて、かなりの長文記事になりました。これでも、一度書いた文章をばっさりカットしてるんですけどね。

ほんと語りだしたらキリがないんですが、ひとまずお蔵さんの紹介をしましょう。

長州酒造ってどんなお蔵さん?

天美を醸すのは、長州酒造(株)さん。元々は、山口県下関市菊川町に、「長門菊川」という銘柄を造る児玉酒造(株)というお蔵さんがありました。でも、既に15年ほど酒造りをしておらず、廃業を考えていた。そこに現れたのが、長州産業(株)という会社です。長州産業は、太陽光発電システム・有機ELバイス製造装置・半導体・液晶パネル製造装置などを製造する会社。日本酒とは無縁です。でも、長州産業の岡本社長は「地域の文化である酒蔵が消えるのは惜しい」と、日本酒業界への新規参入を決意します。そうして、児玉酒造の免許を譲り受け、長州酒造が誕生しました。

ところが親会社の長州産業、もちろん酒造りは未経験です。そこで、杜氏を招聘することになりました。そして白羽の矢が立ったのが、藤岡美樹さん。

杜氏・藤岡美樹さん

僕は藤岡さんの人柄が大好きで、仕事に向かう姿勢を尊敬しています。造るお酒に毎回「美味しくなーれ」と愛情たっぷりに語りかける姿には、僕もお酒を応援したくなります。そして、「微差は大差」の姿勢でお酒に向き合われている姿に、こちらも背筋が伸びます。

藤岡さんは、微生物の勉強をしたくて東京農業大学醸造学科に入学。元々は、日本酒は得意じゃなかったそうです。でも、同級生には酒蔵の息子がいっぱい。その一人、茨城県にある同級生の実家に行き、しぼりたてのお酒を飲ませてもらったら、あっという間に日本酒の虜になったんだとか。

そして大学を卒業後、藤岡さんは八咫烏を醸す奈良の北山本店で酒造りの修行を開始。その後、杜氏を募集していた神奈川県小田原市の相田酒造店に転職したのですが、そこは酒造りをする間もなく3カ月で倒産してしまいます。
でもそこで、大学の先輩が社長を務める香川県の川鶴酒造に入社することができます。それが2007年。そして、現在でも大人気の商品「讃岐くらうでぃ」を開発。
このあたりの流れは、「日本酒コンシェルジュ通信」というサイトに2016年当時の藤岡さんのインタビューが載っています。これがめちゃくちゃ面白いので、気になる方はぜひご一読ください。

そして2016年10月、藤岡さんは川鶴酒造の杜氏に昇格、就任1年目で全国新酒鑑評会で金賞を受賞します。

その後2018年に、藤岡さんは出身地である三重県松阪市の近く、大人気銘柄・作を造る三重県鈴鹿市清水清三郎商店に移籍。ところがその頃に、長州産業の岡本社長から、杜氏就任の声がかかります。最初は断った藤岡さんも、岡本社長の不退転の決意に触れて挑戦を決意。2020年からの酒造り開始に向け、準備を開始します。

酒蔵設立まで

実はその時点では、まだ酒蔵は影も形もなく、あるのは土地と井戸だけ。でも逆に、酒蔵の設計に藤岡さんの意見を反映させることができました。蔵の設計から自分の思うようにできるというのは、凄いことですね。
ただ、新しい酒蔵を建てるというのはとても大変なことです。藤岡さんは、三重の清水清三郎商店で酒造りをしながら、休日には下関に行って打合せをする日々を過ごします。

そんな酒蔵を建てている途中、2019年7月の長州酒造さんの様子が、きき酒師漫才師「にほんしゅ」北井さんのブログで見ることができます。銘柄名もまだ決まってない頃です!

そして2019年12月26日、新しい蔵が完成し、藤岡さんは家族で下関に移住します。
当初は2020年5月から醸造開始する予定でした。ところが新型コロナウイルスの影響で延期。それでも2020年11月10日、ついに最初のお酒「天美 the first」が発売されました。

ここまでは、日本酒メディア・SAKE Streetさんの記事に詳しいです。こちらも素晴らしい記事。

ちなみに長州酒造の公式サイトを見ると、創業 1871年/設立 1952年とあります。これは、長州酒造さんの前身となった児玉酒造さんの創業年ですね。また、公式サイトは今でも「天美・長門菊川 醸造元」となっているんです。長門菊川の銘柄は造っていないのに。もちろんこれは、老舗に見せようということではなく、児玉酒造の想いを引き継ぐという、岡本社長と藤岡杜氏の決意の表れなんでしょう。
こんなところにも藤岡さんの人柄が出ていて、これを見つけたとき涙が出そうになりました。

この新しい酒蔵、見学施設も充実していますし、カフェも併設されています。行ってみたいなあ。参考までに、実際に酒蔵見学をされた方の動画を載せておきます。

 

天美というブランド

ブランド名「天美」は、「稲を育む太陽にちなみ 日本古来の神様である天照(あまてらす)と 酒を意味する「美禄」から一文字ずついただき 太陽の恵みで醸す美しい酒であれ と命名しました」だそうです。そして、特徴的なマークは、発酵をイメージしています。

 

天美の味わい

それでは、天美はどんな味わいなのか、見ていきましょう。

まずは、スタンダードな純米吟醸特別純米。通称、白天&黒天です。天美全体に共通する特徴ですが、フルーティーでフレッシュで爽やかできれい。そしてとてもバランスが良いんですよね。突出したところがなくて、全体的に上質です。
その中で、白天はちょっと爽やかさが大きく、洋食向き。黒天は旨味しっかりで、合う食事の幅が広いです。どちらも通年販売ですが、冬季は生酒になります。でも、火入れもかなりフレッシュなんですよね。

お次はにごり系。雪天は新酒ですね。去年も一昨年も、天美さんの初リリース記念日・11月10日にいただいています。バナナ桃甘 爽やか酸味でめちゃウマ!
そして桃天!! 全部美味しい天美さんの中でもいちばん好きなお酒。まあ、いちばんは1つとは限りませんが。ピリシュワ桃甘 酸ぽわん。お酒を飲み慣れていない初心者さんからバリバリ玄人さんまで、激褒めしてる人がたくさんいます。実際、個人で5本以上買ってる人を何人か知ってます。超おすすめ。
ただ、桃天さんはちょっと注意が必要。この子、栓がめっちゃ飛びます。冷蔵庫の中でも飛ぶことがあるので、開栓後は横置き厳禁です!

 

そして、お米違い純米大吟醸4種。去年の企画で、1ヶ月に1本出てきたんですが、全部めちゃくちゃ美味しかった! 今年ももうすぐ第1弾の赤磐雄町が出荷開始。めっちゃ楽しみ♪ 4本ともおすすめですが、どれか1本だけでも飲んでみてください。

 

最後は、純米大吟醸生原酒。お値段もけっこうしますが、とにかく上質です。JALファーストクラスにも採用されたくらい。ファーストクラスに乗る財力はありませんが、それくらいの贅沢感が味わえますね。

 

ちなみに天美さん、開栓後にさらに美味しく化けることもよくあります。おすすめは開栓後3日目くらい。というか、それ以上なかなか残らないんですよね。ともかく、買われた方は時間変化も楽しんでください。

合わせるアテについては、ここまで出てきたお酒の写真にも出ていますが、イチゴがめっちゃ合うんです。もうすぐイチゴのシーズンが終わっちゃうから、ぜひ早めに合わせてみてほしいですね。他にも、チーズは鉄板。洋食全般合わせやすいですが、鯵のお造りに合わせて感動したりもしたので、汎用性がめちゃくちゃ高いですね。

天美さん、ほんと好きすぎます。何度感動させられたやら。だって、上に挙げた9本のうち、好き度★5が6本あって、あとの3本も★4.5です。もう圧倒的。

 

さいごに

天美さんはもう既に人気銘柄なので、飲んだ方が多いと思います。でも、もしまだ飲んでない方がいらっしゃったら、どれでも良いので、ぜひ一度飲んでみてください。どれも安定してめちゃくちゃ美味しいです!! これからも応援します!

 

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