【亀齢 無濾過 五段仕込純米酒 八九 】
濃厚な 米甘乳酸 どすんずずん
こないだ
こちらは、お店のお姉さんに「変態で美味しいよ」ってお勧めされたお酒。
最初、八九というのは精米歩合かと思ったんです。ずいぶん低精白だなあって。でも違いました。八九は麹歩合。
普通のお酒では、麹歩合は20~30%なんですが、この子の場合、それが89%。つまりほとんどが麹で、掛米はちょっとだけ。
麹とは、お米に麹菌が繁殖したもの。ただのお米とは違い、麹菌のはたらきでお米のデンプンが分解されて糖になっています。それが89%ということは、糖がアルコール発酵で使いきれずにたくさん残って、甘くなることが予想されますね。
そして五段仕込み。通常のお酒は、酒母を造った後、3回に分けてお米と水を足していきます。それが三段仕込み。それをもう1回追加するのが四段仕込みで、糖分が残って甘口になりやすいんです。ってことは、五段だともっと甘くなるはず。
実際今回の八九は、日本酒度がマイナス25の大甘口。亀齢さんといえば、広島を代表する辛口酒のイメージがあるから、大甘口がどんななのか想像がつきません。楽しみ。さっそく飲んでいきましょう。
香りははっきり乳酸甘。うん、変態。めっちゃ美味しそう!
口に含むと甘酸どすん。お米の甘味と乳酸と。それがずずんと広がります。うまっ!
後半は、旨味苦味も出てくるけれど、甘酸が強くてそれどころじゃない。
含み香、乳酸甘アルぽわん。後味やっぱり甘酸苦。でも不思議。こんなに力強いのに、その後味がいつの間にかいなくなって、美味しかった満足感だけがじんわり残ります。なるほど、たっぷり糖分を強い酸とアルコールでぶった切ってるんですね。凄い酒質設計。さすが亀齢さん。
濃厚すぎてたくさん飲むお酒じゃないけど、面白いしめちゃくちゃ美味しかった!!
アテは、鯨ステーキ。肉らしい旨味がたっぷり乗ったしっかり赤身と甘辛にんにくソースの掛け合わせがめちゃくちゃ美味しい。そしてお酒がそれに全く負けず、甘ずどん。
ジブリで例えると「ハウルの動く城」のサリマン先生。ハウルのお師匠さんで、強大な魔力と権力を持つ魔法使い。すました顔をしていますが、ハウルそっくりのお小姓を何人も侍らす、本物の変態です。
好き度:★★★★☆
「総理大臣と参謀長を呼びなさい。この馬鹿げた戦争を終わらせましょう。」(サリマン先生)
— LussaPedersen (@LussaPedersen) 2023年1月6日
ところで、ハウルの動く城には、変形セーラー服の少年たちが登場します。
サリマン先生、分かっていらっしゃる・・・(?!) pic.twitter.com/srK2KQ9ucZ


【DATA】
蔵元:亀齢酒造株式会社(広島県東広島市)
造り:純米 無濾過 五段仕込み
精米歩合:70%
麹歩合:89%
アルコール度数:17% ・・・ 高い
日本酒度:-25 ・・・ 大甘口
酸度:3.1 ・・・ 高い!
アミノ酸度:1.7 ・・・ 高い
酵母:自家培養酵母
製造年月:2024年3月
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