【明日の日本を語る酒 純米吟醸】
やわらかく おだやかなのに 存在感



はじめましてのお酒、明日の日本を語る酒さん。長いし、なんか主張が激しそうなお酒ですね。
こちらは、福島県喜多方市・喜多の華酒造場さんのお酒。喜多の華や金澤屋、蔵太鼓のお蔵さんですね。喜多の華と金澤屋は、どちらもめちゃくちゃ美味しかった!!
喜多の華酒造場さんは大正8年(1919年)創業。当時は「星正宗」という銘柄だったのですが、その後昭和18年(1943年)に戦時体制下で物資や労働力を軍需産業に集中させることを目的とした企業整備令の影響で廃業してしまいます。しかし、戦後になって復活。『酒のまち喜多方で一番を目指す事と、皆様に喜び多くすばらしい事(華)がある様に』という願いをこめて「喜多の華」という銘柄名とされました。
蔵元杜氏は、4代目になる星里英さん。蔵元の3姉妹の長女として生まれますが、大学卒業後は印刷会社に就職します。しかし、誰かが継がなければ蔵がなくなってしまうとのことで、会社を退職。26歳で、東京農業大学醸造学科の短期大学部(当時)に入学します。蔵に戻ったのは2013年。里英さんの4つ年上の旦那さん・慎也さんも、元は同じ印刷会社の営業マン。里英さんが蔵に戻るのに合わせ、2023年10月に婿入りして喜多方に移住されました。
そうして酒造りをはじめた里英さん。その1年目に、3代目蔵元杜氏のお父さんからいきなりタンク1本をまるまる任されます。そうして生まれたのが「喜多の華」。メイン銘柄だった辛口の「蔵太鼓」とは別の、華やか甘口なお酒でした。
その後も里英さんは福島県清酒アカデミーで勉強し、2016年には蔵として久々に挑戦した全国新酒鑑評会で大吟醸「きたのはな」が金賞に輝きます。里英さんの努力のたまものでしょうし、福島県清酒アカデミーも凄いです。
さてそれでは飲んでいきましょう。
香りはふんわり乳酸と、ほんのかすかに野生のケモノっぽさ。って書くとヤバそうに思うけど、それが嫌じゃないどころかなぜか魅力的なんです。なんだこれ?
口当たり、なまらかさわやかするりんと。やわらか酸味も現れて、ぽわんときれいなアルコール。控えめ甘旨ふんわりと。
含み香は、やわらかくっきりアルコール。後味ふんわり渋甘味。
全体的にやわらかくておだやかなお酒ですね。なのにちゃんと存在感があって美味しいです。不思議なお酒。
あたたまって涼冷え(15℃)くらいになると味わいが開いてくるけど、やっぱりなめらかやわらかで、渋苦後味が少し出てくるけど、それもアリ。本命は涼冷え~常温ですね。燗にもしてみたいです。
商品名から主張の強そうなお酒かと思ったけど、飲んでみたらやさしい良いお酒でした。美味しかった!

アテは、引き続きイカとセロリの塩辛。やわらかしっかり旨塩味に、セロリの爽やかさ加わって不思議な味わい。それをお酒が包み込んで中和し、ほのかな甘味だけが残ります。不思議! 美味しい!
ジブリで例えると「魔女の宅急便」のオキノさん。主人公・キキのお父さんです。やさしくて控えめで主張しないのに、印象に残ってます。
好き度:★★★★
アシスタントの巣立ちにつき、また魔女の宅急便のオキノさんを。いつもお知らせメールを仕込んでいる時は「明日旅立つことになりました…」という電話を各所へしている気持ち。
— Erica Teramoto (@Erica4306) 2023年6月2日
連絡が済んだけど本当の巣立ちはまだ先なので、今はベッドに座ってまだ目の前にいるキキを見ながら「頑張れよ」の気持ち。 pic.twitter.com/xbHiYoBw5p



【DATA】
蔵元:合資会社 喜多の華酒造場(福島県喜多方市)
造り:純米吟醸
精米歩合:50%
アルコール度数:16% ・・・ 高め
製造年月:2025年8月
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