【帰農 】
燗酒で 旨味開いて ほわほわん


はじめましてのお酒、三重県・元坂酒造さんの帰農。元坂酒造さんと言えば、メイン銘柄は「酒屋八兵衛」。前に飲んだ無濾過生原酒がやたらパンチの鋭いお酒だったのを覚えています。
この帰農は、2021年に発売した新ブランド。「全ての産業は農に帰す」をコンセプトに、自社田で育てた伊勢錦というお米を使ったお酒です。伊勢錦は、山田錦のルーツのひとつと言われており、かつては近畿を中心に酒米として使われていました。しかし、酒米の品種改良が進むとともに使われなくなり、戦後まもなく生産されなくなります。それを、元坂酒造さんが1989年に復活させたんだそう。
このお酒、お店のお姉さんによると、燗が良いとのこと。というわけで燗でいただきます。でも、まずは冷酒で味見してみましょう。
香りは、やさしいアルセメフレッシュ。アルコールもセメダイン感も、ほんのりおだやか美味しそう。
味わいも、控えめ甘酸から入って、旨味がふわっと広がります。精米歩合80%のアルコール16度だから力強そうだけど、意外にやさしいですね。
味見してるうちに、燗ができてきました。楽しみ♪ 本命の燗酒を味わっていきましょう。
おっ! 香りが既に開いてます。セメダイン感は減って、お米の甘旨ほわわわん。
味わいも、しっかり旨味を中心に、甘味も酸味も出てきました。一方、かすかにあった苦味は消えています。うま~。やさしさは残しつつ、精米歩合80%らしい力強さも出てきて、豊かな味わいです。
温度帯は、とびきり燗(60℃)だとすっきり度が上がって、ぬる燗(40℃)だとほわほわやさしい。どっちも美味しいですね。
アテは、引き続いてマフグのたたき。これがまた素晴らしかった!
フグって、正直、かなり淡白な肴だと思うんです。味がしないと言ったら大袈裟だけど、ほんのかすかな旨味を楽しむ上級者向けの料理という印象。若造にはまだ早いって言われそう。今回のたたきも、とても繊細な味わいです。
でも、お酒と合わせると、明らかにお酒の味がそのまま飲むときと違います。味わいが強くなるんじゃなくて、深くなる感じ。ほわほわうまああああ。
これがフグの味わいか! めちゃくちゃ美味しかったです。
帰農さんをジブリで例えると「魔女の宅急便」のフクオさん。パン屋のご主人です。やさしい力持ちって感じ。派手じゃないけど、めちゃくちゃ良い仕事します。
好き度:★★★★
『魔女の宅急便』のフクオさんの技術って凄かったんだな…#魔女の宅急便#ブリティッシュベイクオフ pic.twitter.com/Y2yZMok3XP
— えんがわの炙り (@engawa_roast) 2022年8月4日
【DATA】
蔵元:元坂酒造株式会社(三重県多気郡)
造り:生酛 生原酒
原料米:伊勢錦
精米歩合:80%
アルコール度数:16% ・・・ 高め
製造年月:2022年9月
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