【NAGOMI -AFLULU-】
リンゴ酸 ぐぐっと寄せて 渋ずどん




こないだはじめて飲んだ「吉野杉の樽酒」が美味しかった長龍酒造さん。たまたまお蔵さんのある広陵町に行く機会があったので、ちょっと寄ってみました。
長龍酒造さんは、元々は大正12年(1923年)、現在の大阪府八尾市に酒販店・飯田商店として創業。その後は多角化に成功し。現在では飯田グループとして、長龍酒造や綾菊酒造、酒販店、物流、食品製造、原料米販売、精米機械の販売、自在派遣業、飲食業、コンビニ経営までされています。その経営については、日本酒メディア・SAKE Streetさんの「酒米、製造、海外展開。日本酒業界で唯一無二の多角的経営に挑む飯田グループの哲学とは」という記事に詳しく解説されています。めっちゃ面白い記事。これを読んだから、お蔵さんにも行ってみたいと思ったんです。


広陵町のお蔵さんには、長龍ブリューパークという施設があり、休日にはそこでお酒やビールを飲んだり食事をしたり芝生広場で遊んだりできます。春には高田川の桜並木を一望しながらお花見もできるそう。実際行ってみたら、建物も広場もめっちゃきれい。芝生広場では何組もの家族が遊んでました。車だったからその場で飲むことはできなかったけど、せっかくだから現地でしか売っていない限定酒を買ってきました。
それが今回のNAGOMIさん。『お客様に「和み」のひとときを提供したいという想いから「NAGOMI -AFLULU-」と考えてみました』だそうです。
こちらは、原料米に「春陽」を使った純米酒。
春陽と言えば、4MMP。春陽は もともと、腎臓疾患の方向けに開発された低タンパクの食用米でした。でも、タンパク質が少ないということは日本酒の雑味の元も少ないということで、酒米としても使われています。そして、春陽を使って酒造りをすると、4MMP(4メルカプト4メチルペンタン2オン・C₆H₁₂OS)という香り成分が出やすいんです。
4MMPは、ブドウ品種「ソーヴィニヨンブラン」などにも含まれる香りで、ライチ・マスカット・白ワインのような華やかでフルーティーな香りと言われています。一方で、ワイン業界では「猫の尿のような香り」と例えらることも。以前4MMPが出ていると言われる山の壽さんのフリークス2を飲んだところ、猫の尿はわかりませんでしたが、革製品を水に漬けて放置した後に半乾きにしたみたいなにおいを感じました。
今回のNAGOMIさんはどうなのか、さっそく飲んでいきましょう。
色はほんのり黄色いですね。
上立ち香、爽やかミントとマスカット。奥にツンっとアルコール。ワイン系の香りなのは間違いありません。でも4MMPについてはよくわかりませんでした。
口当たり、なめらかするんとリンゴ酸。酸味がぐぐっと寄せてきて、渋味もずどんと現れる。
甘味はほんのりおとなしく。渋味に押されてすぐ消える。旨味もあるけど目立たずに、アル感ふわっと飛んでいきます。
含み香は、控えめだけどくっきりと。爽やか酸とアルコール。後味は、しっかりブドウの渋味がずずん。
僕の味わいチャートは苦渋を一緒にしてるけど、このお酒の場合、苦:渋は1:4くらい。酸渋中心だから、単体よりは食事に合わせたいお酒ですね。



合わせるなら洋食系が良いです。ただ、酸がけっこうしっかりしてるから、「豆乳とチーズのなんちゃってリゾット」では負けました。カマンベールチーズでもまだ弱い。そこで、ゴルゴンゾーラピカンテというブルーチーズを用意しました。これは大当たり。チーズの強い塩旨で、お酒の甘味もふわっと出てきて、それを酸が切ります。うっま!!
ジブリで例えると「思い出のマーニー」の主人公・杏奈。物語前半の杏奈ですね。かわいいんだけど、酸が尖ってて、苦渋も強いです。
好き度:★★★☆
思い出のマーニー
— カルメン(オーイェーズ) (@karumem) 2023年1月13日
杏奈ちゃんの一挙手一投足に目が離せない
彼女が他者とどういう距離感(物理的にも)でいるのか、いつ頬を赤らめたのか、いつデコだしするのか、いつ絵に色がつくのか、その色をつける道具はいつ誰にもらったものなのか…言い出したらキリがないですが、とにかく観ていてずっと面白い pic.twitter.com/d2mFhudHKa


【DATA】
蔵元:長龍酒造株式会社(奈良県北葛城郡広陵町)
造り:純米酒
原料米:春陽
精米歩合:70%
アルコール度数:15~16% ・・・ 普通
製造年月:2025年9月
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