こるね酒

原則毎日AM11時更新+α。日本酒好きのホルン吹きです。飲んだお酒を、ジブリ映画のキャラやシーンに例えながら紹介します。異論反論大歓迎。日本酒に詳しくない方でも、ジブリ作品に詳しくない方でも楽しんでいただけるように書いていきます。

龍の尾 >澤村雄一郎さん(コクリコ坂から)[ジブリ酒]

龍の尾(たつのお) 純米吟醸

シロップ甘 米旨アル苦 ぽわっうまっ!

龍の尾

龍の尾
龍の尾
龍の尾

はじめましてのお酒、山口県周南市・男自慢酒造さんの龍の尾です。知らないお酒だったんですが、佇まいが素敵ですね。

男自慢というガチムチしてそうな名前は、大正末期に銀座にあった料理屋「男じまん」に由来するそう。このお店には多くの画家達が集まりその中には「麗子像」で知られる岸田劉生もいて、清酒「男自慢」をこよなく愛していたんだとか。男自慢のラベルの文字は岸田劉生の自筆の書です。

今回のお酒・龍の尾の名前の由来は、お蔵さんの目指す味のイメージ。龍が静かに尾をたなびかせながら天空の雲間に消えてゆくイメージで龍の尾としたんだそうです。カッコいい。

それでは飲んでいきましょう。

香りぽわんとメロンとお米。おおっ! これは美味しいやつ。

口に含むと、フルーティーな酸を中心に、シロップ甘とお米の旨味とアル苦がぽわっ。うまっ!
そこから甘苦が、そして一歩遅れて旨味もじゅわっ!

最初は酸から入るけど、全体の印象は甘苦。力強いし荒々しさもあるけど、どこか気高さもあります。これは、苦手と思ってても抱かれたら惚れちゃうやつ。男自慢というだけあって、男らしい色気がたっぷり。裏ラベルにも描いてはないけど、1801号酵母っぽい色っぽさです。

アテは、鶏唐甘酢にも揚げパンカレーにもホタテのネギ炒めにも合います。お酒の甘味もしっかりあるけど、その奥の米旨が合ってる感じ。

ちょっと面白かったのは、初めて食べたジャックフルーツ。黄桃の缶詰のシロップのような幸せな甘味のフルーツなんですが、歯ごたえがシャクシャクくにくにで独特。めっちゃ美味しい! お酒に合わせると、お酒の甘味は消えるけど、猛々しい旨味がふおおおっと立って、これはこれで魅力的。

ジブリで例えると「コクリコ坂から」の澤村雄一郎さん。主人公・海ちゃんの、大好きなお父さんです。色気たっぷりなイケメン。意思が強そうで爽やかで友達思い。まさに男自慢。

好き度:★★★★☆

龍の尾

龍の尾

【DATA】
蔵元:男自慢酒造株式会社(山口県周南市)
造り:純米吟醸
精米歩合:55%(40%と55%をほぼ同量使用で平均48%)
アルコール度数:16% ・・・ 高め
製造年月:2024年1月


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日の丸 >ユンカースのドイツ人(風立ちぬ)[ジブリ酒]

日の丸(ひのまる) HYPER DRY 特別純米

酸アルの HYPER DRY 超辛口

日の丸

日の丸
日の丸
日の丸

はじめましてのお酒、日の丸さん。秋田県横手市・日の丸醸造さんのお酒です。
日の丸醸造さんと言えば、通常銘柄は「まんさくの花」。これまで「日の丸」という銘柄があったわけでもなさそうです。でもなぜ新しい銘柄名で発売したのかと言えば、このお酒が試験醸造で、他のお酒とは全く違う味わいだから。それが証拠に公式サイトにも、注意マーク「⚠」とともに目立つように『このお酒は試験醸造酒のため「まんさくの花」とは味もコンセプトも異なることをご理解下さい』と書いてあります。

ちなみに僕もいま知ったんですが、⚠は「きけん」で変換できます。

このお酒は、HYPER DRYという名の通り、日本酒度+25の超辛口。日本酒度の最高値は、おないだ飲んだ山法師 爆雷の+28ですが、+25というのも恐ろしく高い値。公式サイトによると、日本酒度+28前後まで持っていく余地はあったそうです。でもそこまで上げると、酵母が自分の作ったアルコールにやられて死んじゃって苦味が爆増するから、あえて+25で止めたんだとか。単に数値を上げたわけじゃなくて、味にもこだわったということですね。

さあ、どんな味わいなんでしょう。恐るおそる飲んでいきます。

香りはくっきり米旨アル。お? 甘さは確かに全くなさそうだけど、思ったよりきれいな感じです。硬派。

口に含むと、ほの酸苦。乳酸酸味がぽわっとふくらみ、追って旨苦渋味がじわり。そして強アルずしんと響きます。

当然のように甘味は全くありません。アルコール度数も高い。でも意外に荒々しくはないですね。その代わり、酸苦がくっきりしています。

僕は酸中心のお酒はあんまり得意じゃないんですが、この子、酸とクラシック辛口が好きな人には響くんじゃないかな?

難しかったのはアテ。本命だと思ってたベビーホタテにもコハダの漬けにも何か合いません。揚げパン+カレーにもあんまり。お酒の苦味がジャマしちゃってるっぽい。
合わせるなら、脂のたっぷり乗った大トロとかかな。脂で苦味を包みつつ、お米の旨さを引き出すことを期待します。

ジブリで例えると「風立ちぬ」の、ユンカース社にいるドイツ人。日本から来た客人であるはずの二郎や本庄達に対して、にべもないつっけんどんな対応をします。甘さなんてどこにもない。

好き度:★★★

日の丸

日の丸

【DATA】
蔵元:日の丸醸造株式会社(秋田県横手市)
造り:特別純米 一度火入れ 原酒
原料米:秋田酒こまち
精米歩合:55%
アルコール度数:18% ・・・ 高い
日本酒度:+25 ・・・ 激辛
酸度:1.7 ・・・ 高め
アミノ酸度:1.5 ・・・ 普通
酵母:協会9号酵母
製造年月:2024年2月


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ソガ・ペール・エ・フィス > 加代さん(風立ちぬ)[ジブリ酒]

Soggaソガ pèreペール et filsフィス LE SAKÉサケ ÉROTIQUEエロティック NUMERO ヌメロ UN アン

フルーティー 白ワインっぽさと 米ふわり

ソガ・ペール・エ・フィス

ソガ・ペール・エ・フィス
ソガ・ペール・エ・フィス

こないだTROIS(トロワ・3)を飲んだソガペさん。今回ははじめてのUN(アン・1)です。TROISもその前のDEUX(ドゥー・2)も、その前の「Liz à Saké Naturel」も賞味期限から半年過ぎててめっちゃ美味しかったんですよね。今回は久しぶりの新酒です。

UNというのはフランス語の「1」。ソガペさんは協会1~6号酵母しか使わないというこだわりのお蔵さんで、この子は協会1号酵母櫻正宗さんから分離された酵母ですね。

そもそもお蔵さんっていうのも微妙で、小布施ワイナリーさんはその名の通りワインを造っています。で、ワイン製造がお休みの冬の間だけ、趣味で日本酒を造ってる。だから生産量は少なくて、しかも人気が高いから、めっちゃ入手困難です。そして、趣味なのにというか、趣味だからなのか、こだわりが半端なくて、それが裏ラベルにびっしりと書かれています。

さて、久しぶりのソガペ新酒、飲んでいきましょう。

香りはひかえめ白赤ブドウ。マスカットの後ろにデラウエアとほんのりレーズンもいる感じです。

口に含むと白ワイン。ワインっぽい酸とほんのり青リンゴと甘夏。フルーティーな酸を中心にブドウの渋味がじゅわっとふくらみ、その渋味を残して他の味は引いていきます。
白ワイン系の味わいなのに、最後にふわっと出てくる旨味がお米。面白っ!

アテはやっぱり洋食に合わせたい感じ。洋食かどうかは微妙だけど、今回の中では、揚げパン+カレーが良かったです。少し甘めのカレーとサクサク揚げパンをお酒の酸が切って、フルーティーさがほわわん。

ジブリで例えると「風立ちぬ」の加代ちゃん。主人公・二郎の妹です。にい兄様のことが大好きなんだけど、逆にツンっとしてしまう。洋風が合うので、冒頭の子ども加代ちゃんじゃなくて、洋服加代ちゃんですね。

好き度:★★★★

ソガ・ペール・エ・フィス

ソガ・ペール・エ・フィス

【DATA】
蔵元:小布施ワイナリー株式会社(長野県上高井郡小布施町)
造り:純米 生酛 生原酒
原料米:長野県産 美山錦 ・・・ 小布施さんは全量美山錦です
精米歩合:59%
アルコール度数:15% ・・・ 普通
酵母:協会1号酵母
製造年月:2024年2月


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白鷹 >じいじ(もののけ姫)[ジブリ酒]

白鷹(はくたか) 伊勢神宮御料酒】

酸旨苦 どクラシックな辛口酒

白鷹

白鷹
白鷹
白鷹

はじめましてのお酒、日本三大酒処のひとつ、灘・西宮郷にある白鷹(株)の白鷹さんです。スーパーで買ってきたお酒なんですが、特A地区吉川産の山田錦を使っているというのが凄い!

白鷹さんは、1862年(文久2年)に、初代辰馬悦蔵さんが創業。幕末ですね。
ん?辰馬? 辰馬と言えば、白鹿辰馬本家酒造さんですね。関係あるのかな?
と思って公式サイトを見てみたら、ちゃんと載ってました。辰馬悦蔵さんは、白鹿の辰馬家からの分家だそうです。なるほど白鷹さんは白鹿さんと親戚だったんですね。ちなみに5代目までは辰馬家の方が社長でしたが、現在の6代目社長は澤田朗さんという方です。

今回のお酒は、伊勢神宮御料酒。御料酒とは、伊勢神宮の神々の食事の時に供される清酒のことです。あまたある蔵元から、唯一白鷹さんだけが御料酒に選ばれたことを記念した特別純米酒。それは凄い!

さあ、どんなお酒かな? さっそくいただきます。

香りはおだやか、ほのツンアルコール。

口当たり、なめらかするりと淡く入って、クラシックな乳酸を中心に旨苦アルがほわん。最後にそれがぐっと広がって、苦渋後味じわっと残る。
どクラシックな辛口酒。

これは単体で飲むお酒じゃないですね。和食と合わせたら力を発揮するタイプの食中酒っぽいです。醤油よりも出汁と塩味が良さそう。

というわけで作ったのは、「やみつき塩豚レタス焼うどん」。うちの定番焼きうどんです。うん、これこれ。出汁塩で合わせたのが大成功でした。


ジブリで例えると「もののけ姫」のじいじ。冒頭のエミシの里のシーンで見張り台にいた老人です。歳は取ってもしっかりしていて、厳しい時代を生きてきた風格を感じます。

好き度:★★★☆

白鷹

白鷹
白鷹

【DATA】
蔵元:白鷹株式会社(兵庫県西宮市)
造り:特別純米 生酛造り
原料米:兵庫県特A地区吉川産 山田錦
精米歩合:70%
アルコール度数:16~17% ・・・ 高め
日本酒度:+3 ・・・ ちょい辛
製造年月:2023年12月


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結ゆい >先輩魔女さん(魔女の宅急便)[ジブリ酒]

結ゆい(むすびゆい) 特別純米 きたしずく 生原酒】

くっきりと ぽわ酸ほの甘 フルーティー

結ゆい

結ゆい
結ゆい

はじめましてのお酒、茨城県結城市・結城酒造の結ゆいさんです。
はじめましてと言っても、同じお蔵さんの富久福と、みちこざくらはだいぶ前に飲んでます。結ゆいさんもずっと飲みたかったんですが、ようやく会えました。

覚えている方も多いと思いますが、2022年5月11日、国の登録有形文化財でもあった結城酒造さんの酒蔵二棟が、火事で焼失してしまいました。
その後、北海道の三千櫻酒造さんの力添えで、蔵元杜氏の浦里美智子さんが北海道に渡り、三千櫻酒造さんで酒造りをされています。今回のお酒も三千櫻酒造で造ったもの。しかもお米も、北海道の酒造好適米・きたしずくです。

そんな苦労を乗り越えて造られたお酒。しっかり味わいましょう。

香りは爽やかフルーティー。メロンとマスカットと爽やかアルコールがほわん。

口当たり、酸味がぽわん、ほの甘味。くっきり酸味がふくらんで、後半出てくる旨苦じわり。酸味中心フルーティーだけど、その中心にはしっかりクラシックが主張しています。含み香は、ハーブと酸とアルコールがツンっ。

酸味が中心だからそんなに得意なタイプじゃないんだけど、この子は素直に美味しかったです。

アテは、隣のお客さんの差し入れをおすそ分けでいただいた、グリル梵というお店のビーフカツサンド。これがめちゃくちゃ合いました。甘口ソースの効いた旨味たっぷりのカツに、お酒のフルーティーさがほわあ。

ジブリで例えると「魔女の宅急便」の先輩魔女さん。ちょっとツンとしたかわいい魔女さんで、去り際がちょっと気取って爽やかです。でも、芯には1年間苦労した経験がしっかり蓄積されてそう。

好き度:★★★★

結ゆい

結ゆい

【DATA】
販売者:結城酒造株式会社(茨城県結城市)
製造者:三千櫻酒造株式会社(北海道上川郡東川町)
造り:特別純米 生酒
原料米:きたしずく
精米歩合:60%
アルコール度数:16% ・・・ 高め
製造年月:2024年2月


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巖 >ニシンのパイを作るおばあちゃん(魔女の宅急便)[ジブリ酒]

(いわお) 十一代 旨味純米酒

おだやかな やさしい蜜に 包まれて

巖

巖
巖

はじめましてのお酒、巖さん。群馬県藤岡市・高井(株)さんのお酒です。
「巖」は「巌」の旧字体。意味としては、岩とか、ゴツゴツした大きな石とかです。巌窟王とか、君が代の歌詞に出てくる「巌となりて」くらいでしか見たことのない字。漢検1級 / 準1級レベルの漢字です。

銘柄名の由来は、西郷隆盛の甥であり、日清日露戦争の英雄にして「陸の大山、海の東郷」と云われた大山巖 元師・陸軍大将の名前だそう。なるほど、漢字のイメージに違わずいかついですね。

高井(株)さんは享保14年(1729年)に初代・高井作右衛門さんが創業。最盛期は3000石(一升瓶換算で30万本)を造っていたのですが、最近はかなり生産量を落としていたそうです。そんな中、2022年に10代目高井作右衛門さんが逝去。その頃には既に資金繰りが破綻し、会社存続の危機に直面していました。

そんな酒蔵を継いだのが、現在の社長・伯耆原幹夫さん。それまでホームページはおろかチラシさえ作っていなかった蔵を救うべく奔走し、昨年はクラウドファンディングも立ち上げて目標比145%の433.8万円を調達されています。
僕はそのクラファンは知らなかったのですが、読むと応援したくなりますね。ぜひ無事に300周年を迎えてほしいです。

今回のお酒「十一代」は、高井家11代目・高井幹人さんのこと。いろいろ調べると、高井幹人さん、凄い方みたいですね。慶應義塾大学商学部に入学後、京都大学文学部へ転学。卒業後は一般企業の営業職として働きますが、29歳で家を継ぐ決意をして実家に戻られます。そこから酒造りを始められて、かなりファンも付いていたよう。ファッション・カルチャー雑誌・GQ JAPANに、2013年の記事が残っていました。

しかし、2020年頃、高井幹人さんは実家を離れられます。何があったのかはわかりません。でも、それを残念がる声をあちこちで見ました。現在はどこかの酒蔵で酒造りをされているようです。

このお酒は、2023年に発売されたもの。上記クラウドファンディングの活動報告によると、「高井家十一代目が精魂込めて仕込んだお酒に、満を持して陽の目を浴びる機会が訪れました」とのこと。群馬県前橋市の酒販店・高橋与商店さんのサイトには『高井の営業さんと問屋の担当者と以前会話した内容から察すると高井幹人氏が醸した純米酒ブレンドしたものと思います』と書かれていました。『蔵に眠っている当時の幹人氏が醸したお酒は、恐らくこれが最後になるのではないかと推測します』とも。

実はこのお酒を選んだのは、単に11という数字が入ってたから。僕は数字の付いたお酒をいろいろ飲んでるんですが、11~20では11と15だけがまだだったんです。でも偶然に、とても貴重なお酒に巡り合えたみたい。心して飲んでいきましょう。


香りはとてもおだやかで、ほのかに蜜甘熟成感。熟成感がやさしくて、ほわほわ気持ち良い。あ、これは美味しいやつ。

口当たりはきれいにするり。そこから軽い熟成っぽい蜜甘酸がふわり。味と言うより含み香が熟成な感じですね。甘味酸味がほわっとふくらんできれいに消えていきます。
うっま!!!

熟成感はありますが、劣化はまったく感じず、おだやかな蜜甘と乳酸がやさしく包んでくれます。美味しかった~。


アテには、さつま揚げを注文。ここのさつま揚げ、やさしい甘味としっかり旨味で好きなんですよね。お酒にもばっちり合いました。

ジブリで例えると「魔女の宅急便」の老婦人。ニシンのパイや、キキへのプレゼントのケーキを焼いてくれる人。きれいな歳のとり方をしていて、上品なやさしさで包んでくれます。

好き度:★★★★☆

巖

巖
巖

【DATA】
蔵元:高井株式会社(群馬県藤岡市)
造り:特別純米
精米歩合:60%
アルコール度数:16~16.5% ・・・ 高め
日本酒度:+2 ・・・ ちょい辛
酸度:1.5 ・・・ 普通
製造年月:2023年8月


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[特集]鬼ころし

鬼ころし

鬼ころしというお酒をご存じの方は多いでしょう。コンビニやスーパーで普通に売ってますしね。僕は、鬼ころしはパックで売ってる安いお酒で、年配の方が飲むものという印象を持っていました。同じような印象を持っている人は多いんじゃないかな?
でも、実際にはどうなんでしょう? 僕も鬼ころしを飲んだことはないですし。というわけで、コンビニで売ってるメジャーな鬼ころし3種類を買ってきました。これを飲み比べするとともに、鬼ころしについて深掘りしたいと思います。

 

鬼ころし、飲んだことある?

と、その前に、みなさん鬼ころしって飲んだことあるのか?美味しかったのかのアンケートを取ってみました。ご協力いただいたみなさん、ありがとうございました。

これは面白い結果が出ましたね。最も多いのは、「飲んだことある&好き」という回答。飲んだことがある人の中では過半数が好きと答えていますが、苦手という方もけっこういます。一方、飲んだことのない人では「苦手そう」が圧倒的。つまり、大多数が飲まず嫌いということです。飲んだら意外に美味しいかもしれませんよ。
ただし、このアンケートの回答者は、僕のブログの読者さんやフォロワーさんを中心に、日本酒が好きな方が多いと思われます。日本人全体の意見とは異なる場合があることにご注意ください。

 

鬼ころしってどんなお酒

さて、まずは鬼ころしとはどんなお酒なのかについて調べてみましょう。鬼ころしは辛口のお酒の代名詞ともなっており、実際に辛口が多いようですね。
Wikipediaによると、鬼ころしは「鬼のように頑強な男でも酔い潰れてしまうほど純度の高い酒」とのこと。
ちなみに元ネタは平安時代にまで遡ります。実在の武将・源頼光大江山に住んでいた鬼・酒呑童子(しゅてんどうじ)を酔わせて打ち取ったという伝説が元々の由来。そこから、鬼も退治できるほどのお酒を鬼ころしと呼ぶようになりました。

ただ、個人的にはひとつ疑問があるんです。
「大江山絵詞」でも「御伽草子」でも、酒呑童子を酔い潰したお酒って、毒酒なんですよね。そんな名前を付けていいのかな?

 

鬼ころしの歴史

先程「3種類買ってきた」と書いた通り、鬼ころしは単一の銘柄ではなく、いろんなお蔵さんから発売されています。Wikipediaには19種類が載っていますね。一説には100を超えるとも言われています。でもこの「鬼ころし」という名称、いつからあるのでしょう?
調べても確実な答えは見つからなかったけど、ある程度の目星は付けることができました。

元祖・鬼ころしを称しているのは、岐阜県高山市老田(おいた)酒造店さんの「飛騨自慢 鬼ころし」。老田酒造店さんは1720年(享保5年)創業。第8代将軍・暴れん坊・徳川吉宗公の治世で、享保の改革の真っ只中。江戸に町火消「いろは組」が作られたのがこの年です。老田酒造店さんの公式サイトには、年代は明記されていないものの、『古い時代より辛口の酒を造り、地元の方々より「老田の鬼ころし」として愛飲され続けています』と書かれています。また、exciteニュースに老田酒造店に伺ったという記事があり、そこでお蔵さんが「おそらく当社が“鬼ころし”を作った最初の蔵だと思います」と語られています。

そしてもうひとつ参考になるのが、同じく多数のお蔵さんから出ている「正宗」。前に櫻正宗さんの記事で書いたように、正宗という銘柄も多数のお蔵さんが使っています。その発祥も1840年と江戸時代。元祖・櫻正宗さんの正宗が有名になったため、マネをする酒蔵が次々に現れました。まあ、商標の制度もない時代ですからね。その後、明治17年(1884年)に日本最初の商標法である「商標条例」が制定されます。でもその頃には、あまりに正宗というお酒が多すぎて普通名称扱いされていまい、櫻正宗さんは正宗の商標を取れなかった。鬼ころしもこれ同じじゃないでしょうか?
つまり、鬼ころしが誕生したのは、江戸中期から明治初期までのどこかという推測ができるわけです。

 

鬼ころしを飲んでみよう

今回飲んだのは、清洲城信長日本盛武蔵之国一之宮の3本。いずれもコンビニで買ってきたものです。細かいレビューやお蔵さんの紹介については個別の記事を見ていただくとして、ここでは比較表を見てみましょう。

鬼ころし 比較

価格はどれも1合で100円ちょっと。かなり安いですね。今回は紙パック3種だけですが、ほかにいくつか調べた他社の鬼ころしも、安いものが多かったです。
製法については、清洲城信長さんと日本盛さんが糖類・酸味料を添加している典型的な安酒なのに対して、武蔵之国一之宮さんはアル添のみというところがとても好印象。
味わいはどれもやっぱり辛口寄りですが、清洲城信長さんは日本酒度が普通の範囲の+1ですし、比較的飲みやすかったです。後味は、武蔵之国一之宮さんが、妙なべたつきが無くて良いですね。
好き度は3本で見事に分かれました。ちなみに2023年に僕が飲んだ372杯の好き度分布はこんな感じ。
  ↓

好き度

これを見ると、鬼ころしは全体的に低いのがわかります。ただこれは、僕がどちらかと言うと甘口の方が好きだからということが影響しています。

 

鬼ころしはどんな人におすすめ?

もちろん僕が飲んだのは今回の3本だけです。他にタイプの違う鬼ころしもあるかもしれません。でもあえて、今の状態で鬼ころしをおすすめするとしたら、普段から日本酒を飲み慣れていて、辛口が好きな人、もしくは、単に速く安く酔いたい人です。
初心者さんにはおすすめできません。正直、あんまり飲みやすくはない。辛口のお酒は、単体で飲むよりも料理と合わせて力を発揮するタイプが多いので、より美味しく飲むなら合うアテが欲しいですね。お店ならそのあたりを店員さんに頼ることもできますが、鬼ころしって居酒屋ではあんまり見ないんですよね。
ちなみに、1円あたりのアルコール含有量で言うと、どれもだいたい0.2ml/円くらいで、ストゼロとだいたい同じです。どちらを飲むか、またはどちらも飲まないかはお好みで。


という訳で、鬼ころしの特集でした。僕の好みではないものもありましたが、ひとえに鬼ころしと言っても思った以上に差があったのが面白かったです。
なお、僕の好みのお酒を知りたいという方がいらっしゃったら、こちらの記事をご覧ください。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


更新履歴:2024/4/14 アンケート集計完了を受け、「鬼ころし、飲んだことある?」の部分を改訂しました。

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