【月桂冠 純米大吟醸 生酒】(げっけいかん)
常温保管可能生酒!これが大手の技術力!
またもや月桂冠です。こないだ「THE SHOT黒」、カップ酒「月」、純米大吟醸「鳳麟」を飲み比べしたんですが、どれも美味しかった。鳳麟すごかったなあ。
で、今回いただくのは、鳳麟とは別の純米大吟醸です。
これ、びっくりしたのが、常温棚に置いてあるのに生酒なんです。ほんとに大丈夫? 生酒って基本は要冷蔵で、常温放置しようものならすぐに変質しちゃうんですよね。スーパーの人が間違って置いちゃったんじゃないことを祈りつつ購入です。
瓶のデザイン、良いですね。よく見ると単純な徳利型じゃなくて、断面が多角形。そしてそれぞれの面が微妙に曲がっている複雑な構成になってます。こういう形状にすると、宝石のカットと同じで反射がキレイに出るんですよね。ラベルデザインについては、ちょっと長くなりそうなので後で語ります。
さて、よーく冷やしてからいただきます。
おっ! 香り良いですね。フルーティーな青りんご感と気持ち良いアルコールがくっきり。なるほど、瓶に大きく「香り華やか」と書くだけのことはあります。そして何よりフレッシュ。生酒っぽい! って、生酒なんですが。
口当たりは、するん。そして1拍置いてから林檎ような甘酸っぱさと旨味がじゅわっとジューシーに広がります。甘アルの含み香も良い感じ。最後は気持ち良い苦味がほんのり現れて後味を切ってくれます。でも、余韻は口の中にじんわり長く残る。美味しい!
温度が上がってくると、後半の苦味が主張してくるようになりました。僕はかなりキンキンに冷やした方が好み。もう一度冷やすとまたするする飲めて、280mlがあっという間になくなりました。って、え!?、これ280mlなんですね。通常の小瓶は300mlなので、ちょっと珍しい。
調べてみたら、公式サイトに情報が載っていました。「精密なろ過により酵母や火落菌を除去し、さらに限外ろ過と呼ぶ超精密ろ過により、酒中の麹を由来とする酵素を極限まで取り除くことで、酒質の変化を少なくし、しぼりたての鮮度感を保持しています」だそうです。この技術によって、生酒なのに常温保管が可能なのだとか。流石大手メーカーの技術力!
ラベルデザインも良いですね。高級感を出しつつ、「香り華やか」という一番のウリをしっかり主張しています。僕は日本酒のラベルデザインに足りないのはこれだと思うんです。デザインにこだわりのあるお蔵さんのお酒は、雰囲気を出すのは上手。でも、お酒の特徴が伝わらない。
マニアの人であれば、ラベルに書いてある情報から味の想像をすることはある程度できます。特定名称とかスペックとか、わかる人にはヒントになる。でも、大多数の人にはそんなの伝わらないんですよ。だから、酒屋さんに行ってもどれを買ったらいいのか全くわからないし、敷居が高いように感じる。
僕は、本業はメーカーで商品開発をしているんですが、パッケージデザインするときにまず考えるのは、キャッチコピーの部分です。何を伝えれば買ってもらえるのかを考えて、それが一番伝わるように優先順位を付ける。文字数を減らして読んでもらえるようにするのも大事。地酒のラベルでは、カッコいいものはたくさんあるんですが、これができているものは正直ほぼ皆無。
でもまあ、気持ちはわかります。キャッチコピーを全面に出すと、高級感もカッコよさも減りますからね。さっきあえて「地酒のラベル」って書いたんですが、日本酒全体を見るとパック酒なんかはちゃんと書いてあるものが多いんですよね。やっぱり大手は一般消費者をよく見ています。その中でも上手だと思うのが月桂冠さん。THE SHOTシリーズなんて、商品名がそのままキャッチコピーになってますからね。あとは、渡辺酒造店さんの蓬莱シリーズも良いです。どんなお酒かはわからなくても、商品名で興味をうまく惹いてくれます。
僕もカッコいいラベルは大好き。新政のデザインなんて惚れ惚れします。でも、マニアだけが盛り上がるような業界はいずれ衰退しちゃう。美味しい日本酒をずっと飲みたいから、お蔵さんには一般消費者が選びやすいという観点のデザインも大事にしてほしいです。
ジブリで例えると「紅の豚」のサンドラさん。フィオのいとこです。すいません、また超マイナーキャラ。さっきあんなこと偉そうに言ったのに、伝わらない例えをしちゃう。ポルコの飛行艇を直しに集まったピッコロ一族の女性のひとりです。一言で言うと、きれいな大人のお姉さん。美人さん揃いのピッコロ一族、ジリオラさんは華やかで、マリエッタさんは優しそうなのに対して、サンドラさんは自分をしっかり持っている大人な感じがします。
満足度:★★★★
ピッコロ一族の女達#ジブリ #紅の豚 pic.twitter.com/9wSzrxRr7S
— TAKUMI™ (@takumitoxin) 2015年6月9日
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