【菊正宗 セセシオン】
低アルな 濃厚芳醇 フルーティー
菊正宗さんが今年9月に発売した新商品・セセシオンです。
菊正宗さんは、言わずと知れた超大手酒造メーカーさん。大手メーカーは、安いお酒を大量生産で造っているというイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。確かにそういうお酒もあることはあるんですが、一方で大手ならではの研究開発力を活かした美味しいお酒もいろいろ造られています。僕は菊正宗さんはけっこうたくさん飲んでて、菊正宗さんの特集記事も書いているくらいです。特にギンパックなんかほんと凄い。
そんな菊正宗さんの新製品。発売直後から、某日本酒掲示板では結構話題に上っていて、気になっていました。でもこれがなかなか見つからないんですよね。菊正宗さんのBtoCのメイン販売チャネルはスーパーマーケットだと思うんですが、やっぱり実績のない新製品がスーパーの棚を取るのは難しいんでしょうか。でも、いろんなスーパーを巡っているうちにようやく見つけることができました。
ちなみに、商品名の「セセシオン」というのは、19世紀末の芸術家グループで、クリムトを中心として結成されたウィーン分離派のことです。それまでの伝統的で保守的な芸術界から脱して、自由で革新的な表現を目指したグループ。僕も全然詳しくないんですが、ちょうどこないだ、山田五郎さんのYouTubeチャンネル「オトナの教養講座」のクリムトの会を見たばかりだったので、その繋がりが面白かったです。山田五郎さんのチャンネル、芸術について歴史や下世話な話を織り交ぜながらわかりやすく解説してくれて、めちゃくちゃ面白いですよ。おすすめです。
首掛けPOPには、大きく「驚きのJUICY & TASTY (略) 芳醇な味わい」と書いてありますね。そしてブドウとプラムの絵。まあ、クリムトをリスペクトした名前を冠するなら当然その方向性でしょうね。
まずは、しっかり冷やした雪冷え(5℃)でいただきます。
香りは、ほんのり柑橘を感じるフルーティー&フローラル。なんの花かはわかりませんが、花のような香りを感じます。
口当たりは、するっと夏蜜柑+スイカのフルーティーな甘酸っぱさがくっきり。そしてそのフルーティーさが、一瞬後にじゅわっっと広がります。うんうん、ジューシー。後味は若葉の苦味とフローラルで、余韻がじわーんと長いです。
甘くて美味しい。
このお酒、スペックは公開されてはいませんが、日本酒度がめちゃくちゃ低くて、酸度がかなり高そうな味わいです。今まで飲んだお酒の中だと、一ノ蔵さんのひめぜんを、もう少し普通に寄せた感じ。ちなみにひめぜんさんは、日本酒度:-70.0~ -60.0・酸度:4.6~5.3のド変態。同じ方向性かと思ってた菊正宗さんのギンパックよりも、味わいを濃厚芳醇にしていますね。
温度はやっぱり低めが良さそうです。上がってくると、酸と雑味が出てきてジャマしちゃう。
アテに合わせたのは、梨の生ハム巻き。オリーブオイルと黒コショウが良い仕事してます。梨の甘味と生ハムの旨塩味を、オリーブオイルが調和して上品。それに黒コショウがアクセントを足しています。梨だけより生ハムだけより美味しい。そしてセセシオンにも合ってる。お酒が濃厚芳醇だから、梨だけよりも、生ハムやオリーブオイルの脂感や黒コショウのパンチを足した方が合う気がします。
スペックは、
造り:普通酒
アルコール度数:12~13% ・・・ 低い
酵母:CRU2酵母
酵母は聞いたことありませんし、特に説明もありません。たぶん菊正宗さんが開発した独自酵母でしょうね。このあたりがさすが大手の技術力。
ジブリで例えると「崖の上のポニョ」のポニョ。低アルだけど濃いです。好きな気持ちに正直で、それを追いかけた感じ。
満足度:★★★☆
ポニョ「これ全部食べれば皆既月食になるよ~」 pic.twitter.com/l5E9C3b0Jy
— しでぼー (@fukuhara15) 2022年11月8日
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